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悪意の搾取と怒りのポルターガイスト #1 序章


また悲しい事件が起きてお茶の間をざわつかせている。

加害者は関与否定でまだ刑が確定がされていないので詳しくは書けないが、ある程度の年齢のかたは、この事件を知って、過去に何度も忌まわしい"搾取殺人事件"が起きていることを思い出したに違いない。


他人の財産を根こそぎしぼりとる(このことを"搾取"という)ためには、殺人も辞さない人たちがこの世には存在する。

しかもそのやり口は直接的ではなく、マインドコントロール化におきながら、じわじわと蛇の生殺し状態で相手の金にむさぼりつく。忌まわしさにもほどがある。気持ち悪くて吐きそうだ。


わたしは、このての搾取事件  …事件になりかねなかった出来事にちょっとだけ触れたことがあった。


それは当時仲が良かった友人杏子さん宅で、一緒にお茶のみをしていた杏子さんのママ友B﨑さんの体験だった。

しかし、B﨑さんは、わたしとは直接に親しかったわけではなくて、わたしが杏子さん宅で彼女たちの会話に混ざる日は、いつも、年上だった彼女たちの会話を聞いている、そんな感じだった。



ある夏の日のこと。


庭でガーデニングをしていると、後ろに誰かが立っている気がしてしょうがない。


庭の雑草をとったり、花を植え替えたりと夢中になっている瞬間に「ぁ、誰か来た?」と人の気配を感じて振り返ってしまう。


けれども毎回振り向いても誰もいない。玄関に続く庭があるだけだった。


何度も繰り返すうちに、気になったので背中でその人の気配を感じてみた。



中年の…   白いポロシャツを着たちょっと色黒のガッチリとした男性…

なにも語らず、ただ、わたし越しに庭を眺めてる、そんな雰囲気だった。


まぁ、そんな気がする、だけのこと。

こんなのはたいがいの思い込みだ、と、いつもそう思うようにしている。


でも…    結局答えはちゃんとそのあとにやってきてしまうのだ。

最悪、誰かとの縁が切れるという運命のオマケつきで。



搾取の話にもどる。


搾取をしようとした人間は、成人した子どもをもつ中年夫婦で、仮にA山とする。

彼らは、杏子さんのママ友B﨑さんの姑の妹の子ども。つまり夫のいとこ夫婦だった。


B﨑さんからは、それまでお茶のみで、搾取夫婦A山の話は聞いたことがなかったが、彼女の夫と姑、夫の姉の愚痴をよくきかされていた。


彼女の夫は所有欲求が我慢できない性格。

欲しいものは高額だろうと借金しても手にいれたい性分だった。ブランドを好み、なにを買うにも「高いものはいいもの」という概念から離脱できない。それは普通のサラリーマンにおいてはなかなか家計のやりくりが大変だった。

しかしそれは母譲りだという。息子と同じく姑もまた金遣いの荒い人であり、自分が思い付いたことは(特に自分が得する事柄)、相手の気持ちもお構いなしに行動するという。

そして夫の姉も強敵だった。

自分の娘たちをB﨑さんの住む都会の専門学校に通わせるため、B﨑さんになんのことわりもなくB﨑さんの家に居候させたという。住居費光熱費食費がかからないからだった。

金遣いの荒い夫とわがままな姑、勝ち気で強引な夫の姉、トリプル災難だった。


しかし、結婚当初は、夫の親戚筋から信じられないほどの『最強の搾取ボス』が出てくるとは思わなかったという。

最強の搾取ボス夫婦が動き出したのは、ある人物の自死がキッカケだった。


(つづく)