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銭湯を12ヶ所巡れば、きっと東京が好きになる〜みんくる銭湯コラボ「銭湯のススメ2024」感想〜

祝・みんくる 都バスマスコット25周年

 2024年7月8日はみんくるが都バスマスコットになって25周年の記念日だ。 
 今回は7月8日のみんくるの日を記念して、私なりにみんくる銭湯コラボの感想を書いてみた。

「なぞ。」の多い東京

 東京はよく分からない。特に上京者にとってはよく分からないことの連続である。あまりにも多すぎる歩行者の群れ。みんな何しに来ているのか。
複雑怪奇な駅のターミナル。都市に慣れたかと思った頃に、知らない面が顔を出し、まだまだ東京を知らないことに気づく。

 東京は「なぞ。」で満ちているのだ。

みんくるは謎だらけ

 さて、「なぞ。」が多い東京にふさわしいキャラクターがいる。
 都バスマスコットキャラクターのみんくるだ。

みんくる(筆者作成)

 みんくるは公式設定で「なぞ。」の多いキャラクターとされている。性別も、個体数すらも分からない。

 しかしみんくるにもハッキリしたことがある。都バスが好きだということだ。都バスの魅力を知ってもらうために日々奮闘するみんくる。そんなみんくるに銭湯コラボの仕事がやってきた。

銭湯のススメ2024とは

 牛乳石鹸・BEAMS JAPANが行っている銭湯の魅力を発信するプロジェクト「銭湯のススメ」に都営バスが参加し、「銭湯のススメ2024」が行われた。
 これは2024年2月6日から3月22日まで実施され、BEAMS JAPANからはオリジナルグッズが発売されたり、特別ラッピングバスが運行されたりした。
 中でも、目玉企画は銭湯スタンプラリーである。都内約440件の銭湯のうち、異なる12ヶ所の銭湯を巡り、スタンプラリーをすると、先着4000名にBEAMS JAPAN特製のみんくると牛さんがあしらわれたオリジナルソックスが手に入る。
 要は、たくさん銭湯を巡ったら景品を手に入れられるのだ。
 銭湯を12ヶ所巡る。

 12ヶ所???
 違う銭湯を???
 巡る???

 あまりの多さに辟易した私は思わずイラストを描いてしまった。

銭湯のススメ2024応援ファンアート

 みんくるは公式動画「みんくるのモーニングルーティン」において毎朝10分間手を振り続ける運動を行うなど、ストイックな一面がある。  
 もしかして、みんくるにとっては12ヶ所違う銭湯を巡ることなど朝飯前だったのだろうか?ストイックに湯を巡り、湯上がりの牛乳をごくごくと飲むみんくるが脳裏に浮かぶ。
 みんくるも頑張っている。ファンも頑張ってみようじゃないか!
 こうして私は銭湯を12ヶ所巡り続け、銭湯の新たな魅力をさがしに行くことになった。

まず、回数券を買おう!

 東京の銭湯は一回520円で入ることができる。いわゆるアミューズメントな温浴施設が1000円前後の値段になってることを思うとかなり安い。

 では、まず入口で入浴券を買って…と思うが、ちょっと待つべきだ。

 みんくるコラボで銭湯を12ヶ所巡る場合、回数券「都内共通入浴券」を買った方がお得である。回数券は10枚5000円で、都内の銭湯組合に加入しているところであれば、どこでも使える。銭湯に行けば、だいたい券売機で売っているだろう。まさしくスタンプラリー挑戦者向きの券なのだ。
 しかし、銭湯のススメ2024のホームページにはそれを記載していない。正直、書いてあっても良かったと思う。銭湯のススメに本気になるなら、これは必需品である。

こんなものも必要だった

 銭湯は、タオルは必需品だ。場所によってはレンタルタオルがあるが、費用を考えると必ず持っていた方が良い。濡れたタオルを入れるビニール袋もセットだ。
 シャンプーとリンス・ボディソープは持って行った方が良い。12ヶ所行った銭湯のうち、ほとんどにはリンスインシャンプーとボディソープが備え付けられていたが、何もない場所もあった。備え付けのリンスインシャンプーは悪くはないのだが、髪がきしむ感じが気になる人もいると思う。馴染みのシャンプーやリンスを小ボトルに持っていくのもよいし、試供品を使ってみるのもおすすめだ。
 また、スキンケア用品も大事である。おすすめはトラベルサイズのセットで、ドラッグストアにいけばいくつか売っていると思う。私は無印の洗顔料と化粧落としの小サイズを購入した。化粧水や乳液は試供品を持って行った。
 さらに用意しておきたいのは小銭だ。ロッカーが100円硬貨で開け閉めするタイプがほとんどなので、100円がないと、苦労する。意識的に小銭にくずしておく必要がある。
 盲点なのだが、眼鏡ユーザーは必ずメガネケースを持っていくべきだ。銭湯のロッカーはそこまで大きくないので、コートにタオルに財布に…と荷物を入れていくとパンパンになる。メガネケースがなくて眼鏡を置いて大丈夫かとひやひやしてしまった。ケースを持っていこう。

大田区の黒湯銭湯巡り!

 当時の私は忙しい日々を過ごしていた。スタンプラリーの期限が近づく中、私は1日で銭湯を巡りまくる計画を立てた。大田区を巡ろう。私はそう決めた。
 大田区は都内で最多の銭湯数を誇っているため、一日で湯めぐりしやすい。また、黒湯と呼ばれる温泉が分布していることでも有名であり、520円で温泉に入れるというお得な銭湯も多数存在している。結果的に、午後から巡りはじめて、1日で4ヶ所の銭湯に入ることができた。歩きでぼんやりと大田区をめぐることができるので、休日の過ごし方としてもおすすめだ。

①ヌーランドさがみ湯

 京急線に乗り、雑色駅で降りる。少し歩けば、ヌーランドさがみ湯が見えてくる。健康ランドに近い雰囲気がある。ヌーランドさがみ湯のおすすめは、黒湯露天風呂だ。本格的な露天風呂で、ちょっとした庭を眺めながら風呂に入ることができる。少し地下になっているような構造のためか、小動物気分で庭を眺めつつ、黒湯を堪能できた。
 湯あがりには、ソファーに座りつつフルーツ牛乳を堪能した。心地よさが体を満たす。銭湯の醍醐味だ。

②はすぬま温泉

 ヌーランドさがみ湯を出て、西六郷公園(タイヤ公園)の方向に向かう。JRの線路を歩道橋で渡る。JRの歩道橋には鉄道好きの子どもが熱心に電車を見ていた。子どもがいるからか、運転手さんもファンサをしてくれることが多いのがほっこりとした。
 ほどなく歩くとJR蒲田駅が見えてくる。このまま歩いても良かったのだが、東急池上線に乗りたい好奇心が勝ったので、一駅先の蓮沼駅まで乗車する。蓮沼駅を降りれば、名前の通りはすぬま温泉はすぐそこだ。

はすぬま温泉の外観

 12ヶ所巡ったうち、どの銭湯も好きだが、一番おすすめしたいのは、はすぬま温泉かもしれない。2017年にレトロモダンな銭湯にリニューアルオープンしているので、内装がとにかく素敵だ。ステンドグラスやランプがかわいい。銭湯の壁画も見事で、奥には山と滝が描かれ、入り口側には山の峰々が描かれている。見ていて楽しくなる。
 水風呂、炭酸泉、天然温泉があるのだが、個人的には天然温泉は熱かった。どちらかというと私は炭酸泉の方が好きだった。39~40度くらいで、ぬるめではない適温の炭酸泉だ。ぬるぬるしていたのも湯ざわりが良い。ヌーランドさがみ湯がしっかりと黒い黒湯なのに対し、はすぬま温泉は薄く茶色く透き通った温泉だった。

③黒湯の温泉 ゆ~シティー蒲田

 はすぬま温泉を後にし、水槽があるという改正湯を目指す。住宅街が入り組んだ道のため、マップとにらめっこしながら進んでいった。残念ながら、今回はお休みしていた。ということで、ゆ~シティ蒲田を目指した。
 呑川沿いを歩きながら、蒲田駅の東側へ進む。夕暮れと吞川の風景と、湯あがりののんびりとした気分が合う。橋を渡ると、ゆ〜シティー蒲田が見えてきた。

 ゆ~シティー蒲田はヌーランドさがみ湯と雰囲気が似ていた。
 私がロッカーにコートを必死に押し込んでいると、隣で「ロッカーが狭い」とぼやいているご老人がいた。お気持ちはわかります。冬場だったのでどうしても荷物がかさんでしまう。
 内湯は高低差のある湯舟があり、ちょっと面白い。湯がとめどない水量で出ているのも印象的だった。ゆ~シティー蒲田にも、ヌーランドさがみ湯同様に露天風呂がある。訪問した時は、内湯にはそこまで人がいなかったのに、黒湯の露天風呂にはたくさん人がいた。ここの露天は岩風呂だ。岩風呂の黒湯に入りながら、空をぼんやりと眺めることができる。寒い冬の風も、今は気持ちがいい。露天に人が多いのも分かる。ここで過ごすのが良い時間だからだ。

④蒲田福の湯

 ゆ~シティー蒲田を後にし、5分ほど歩く。すっかり日は暮れて、暗い中知らない道を歩くのは少し不安になる。明るいものを見つけると、目的地の蒲田福の湯だった。
 蒲田福の湯は2016年にリニューアルオープンしている綺麗な銭湯だ。
 お風呂自体はこじんまりとしており、そこが落ち着く良いポイントでもある。熱めの湯、ジェット&泡風呂、ぬるめの湯というラインナップだった。ぬるめの湯は岩風呂になっているので、ちょっと洞窟気分が味わえる。特に気に入ったのはぬるめの湯の中の水中ライトだ。レインボーに色がゆっくりと変化していくので、癒される。しかも色の変化のスピードがゆっくりなので、本当に落ち着く。どんな色の変化をしているんだろう…?と観察しているうちに、頭がぼんやりとしてきて、癒されてしまう。
 湯あがりに名物のピザを食べた。本格的なおいしさなので、販売している土日祝の夕方に狙って来るのがおすすめだ。

蒲田福の湯の本格ピザ

 銭湯に短時間で4回入り続けるというなかなかできない体験をし、一日を終えた。4ヶ所とも特徴があり、それぞれ魅力があって楽しかった。これでスタンプラリー12ヶ所中4ヶ所を押せたので、3分の1を一日で制覇したことになる。

都バスで…巡れましたか…?

 その後、暇さえあれば東京銭湯HPの「東京銭湯マップ」を見て、どこから攻略していこうか、どこが行きやすいのかを考えていた。銭湯マップではグーグルマップに銭湯の位置が重なって表示されるので網羅性がある。
 都バスとのコラボなので、できたら都バスを使用したかったのだが、グーグルマップだけではバスの路線と照らし合わせられなかったので、自分ではルートを考えづらかった。
 銭湯のススメコラボフリーペーパーを活用して、都08系統沿いの湯めぐりを実践することはできた。スカイツリーを眺めながら、墨田区と台東区、荒川区の銭湯を回るルートである。観光地とも重なるルートなのも良い。

 しかし、素人にはバスとの組み合わせで銭湯を巡るルートを考えるのが難しかった。都バス路線図「みんくるガイド」と「東京銭湯マップ」をにらめっこしてみたものの、銭湯巡りのルートがさっぱり考えられない。結局、駅にほど近い銭湯に行ってしまうことが多かった。これではみんくるも泣いてしまう。スタンプラリーのために1日に4回も銭湯に入りまくるやつが現れるとは公式も考えなかったのかもしれないが…。
 もし、次回もみんくる銭湯コラボがあるならば、ぜひとも都バスで巡れる多種多様な銭湯ルートの紹介をお願いしたいところだ。

靴下ゲット、長かった…

 なんとか12ヶ所を巡り、景品の靴下をゲットした。銭湯1回520円×12回なので、回数券なしだと6240円払っていることになる。
 BEAMS  JAPANの靴下ということもあってか、とにかく生地が分厚くて良い。しっかりとしている。みんくると牛さんのイラストも、とってもかわいい。コラボグッズのTシャツや、ワッチキャップと合わせるのも相性が良いだろう。これは、12ヶ所巡ったからこそ得られるクオリティは確かにある!

 正直、先着4000名だったので、途中で景品が途切れてしまわないか心配だった。特に、私はコラボ期間の後半に追い上げをかけていたので余計に心配だった。コラボ期間の後半は、景品引き換えのできる銭湯でも、景品がなくなっていたところもあったので、これだけ回っておいて手に入らない可能性も高まっていたのだ。
 結局のところどんな状況だったのか気になり、コラボ期間終了後に、景品引き換え状況を確認した。23区の銭湯ではのきなみ売り切れ、多摩地域にやや在庫が残る状況になっていた。欲しい人にはいきわたりながらも、在庫を抱えすぎることのない良いイベントだったのではないだろうか。

銭湯巡りから見る東京

 銭湯のススメ2024を通して、異なる銭湯12ヶ所巡りをすることができた。みんくる目当てとはいえ、達成するのはかなり大変だった。だが、銭湯を詳しく知ることができ、銭湯への自信がついた。
 巡ってみて思ったのは、東京の銭湯の特色の豊かさだ。薬湯や蒸し風呂、露天風呂、温泉など、様々な種類の湯があり、520円で楽しむことができる。物価高の現在、銭湯には逆風が吹いているともニュースで聞いたことがある。この豊かな銭湯文化を少しでも支えられたら…と思う。

 東京は色んな見え方がごちゃごちゃにある都市だと思う。まだまだ私は、東京というものが掴めないでいる。東京と聞いて、乱立するタワマンを想像するかもしれないし、首都機能を有するパワフルさを想像するかもしれない。
 私は、銭湯巡りを通して見る東京がすごく好きだ。湯あがりのふわふわとした身体で歩く東京が好きだ。川のせせらぎを聞いたり、家の前にあるプランターの植物を眺めたりするのが好きだ。スカイツリーを眺めながら、次の銭湯へ向かうなんでもない道が好きだ。

 普段の私は、家と駅を往復してばかりで、見えるものがマンネリ化していた。それを今回は、銭湯を軸にして街歩きができたのがとても新鮮だった。

都バスから見る東京

 話は変わるが、私は動画「みんくるショッピング」が好きだ。都バスの路線を紹介しつつ、おでかけを具体的に提案してくれる。みんくるが好奇心旺盛におでかけしているのもかわいいし、いつも見えなかった都バスの路線がくっきりと浮かび上がるようで、同じ旅路を歩みたくなる。都バスから見る東京を垣間見れるようで、楽しい。
 都バスは、関東大震災の際に応急的に都民の足を確保するために生まれたという。東京の銭湯は関東大震災をきっかけに現在の豪華で堅牢な宮造り様式で建築することが定番となったらしい。銭湯のススメ2024のHPに書かれていた共通点だ。はじめはコラボのこじつけに思っていたが、どちらも生活に根差したものなのは、間違いない。地に足がつく、生活のある、東京。そういう東京が、私は好きなのかもしれない。

 東京は謎が多い。みんくるも謎が多い。でも、みんくるは都バスの魅力を教えてくれる。それは、東京の魅力でもあると思う。
 12ヶ所銭湯を巡るのは大変だった。でも、楽しかった。そして、少し東京のことが好きになれた。12ヶ所巡らずとも、きっと東京が好きになる。
 素敵な機会をくれたみんくるに感謝を!そしてこれからも、都バスのことを教えてほしいと思うのであった。

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イカの光りどころ
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