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株式会社ピンクハウスを解雇された時の話

元アパレル販売員のひかるです。
人生において2社目の会社で解雇された時の話をします。


なお、株式会社ピンクハウスという会社は2022年時点で存在しません
現在もある「ピンクハウス」とは異なる「ピンクハウス」だと思ってお読みください。

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直営店への転職

直営店とは、メーカーが運営し、そこに所属するスタッフはメーカーに直雇用されています。
メーカーがショップを運営するのは当たり前では?と思いますよね。
ショップの何割かは販売代行会社という別組織が入っています。

販売代行会社に関する詳細は下記に詳細を書いています↓
「アパレル業界の地獄・販売代行会社について」


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私は販売代行会社の「ピンクハウス」から
株式会社ピンクハウスが運営する「ピンクハウス」へ移りました。
雇用形態上では「転職」ですが、
お客様からすると「店舗異動」に見えたと思います。

中途雇用ではあるものの、それまでの販売キャリアを認められ、
産休を取る店長の代理ポジションを与えられました。
展示会や他店舗ヘルプの為の出張、
販売トレーナーによる店長研修など
販売キャリアの中で一番勉強をさせてもらいました。

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販売課の廃止

私が入社した前後はスタッフ教育に熱を入れている時期だったらしく、
販売トレーナー制度やディスプレイ研修などがスタートした直後でもありました。
スタッフの販売力向上に尽力していたチームがあるにもかかわらず、
販売課廃止の決定は下されます。
これは販売トレーナーや営業担当者には知らされず、
役員や一部営業責任者達の間で決定されていたようでした。

販売課の廃止、つまりその課に所属する社員は行き場を失う=解雇です。
提案されたのは、

「販売代行会社」の社員になること。

ピンクハウスの○○店は今後△△という販売代行会社が運営します、
ピンクハウスの販売員を続けたいなら販売代行会社に入社して下さい。
雇用形態については話がついています、安心して△△へ。

あほでしょ?
誰がこんな提案を喜んで受け入れます?

しかも私は販売代行会社出身です。
販売代行会社の酷さは熟知しています。
(雇用条件は口先だけの約束で守られることはないということも)

ただ、退職を拒否し続けていても居場所がなくなるのは事実。
契約月になれば売り場に立つのは私たちではなく販売代行会社の社員です。

退職届を提出すれば退職金を出します

当時の私は入社一年未満で、本来であれば退職金は出ませんでした。

特例として「退職金」を出します、条件は「退職届」の提出です。

もうね、お口ぽかーんですわ。

面談をしたのはインゲボルグの営業部長でしたが、
内容のあまりの酷さに怒りや悲しさを通り越し吹き出してしまい、
一緒に話を聞いていたインゲボルグのスタッフに面談終了後、
お、ま、えwwと笑いながら怒られました。

「解雇」という単語を徹底的に避け、絶対に使用せず、また認めようともしませんでしたが、これは誰がどう見ても解雇。

しかも、
販売代行会社のスタッフに引き継ぎを行え、
顧客を紹介しろ
、って

自己都合での退職ならともかく、
解雇宣告されてそこまでやる必要あります?

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販売員のモチベーションが下がるとどうなるか

販売課廃止の通告があった直後です、
それまで梅田阪急店と売上1位、2位を競っていた
横浜高島屋店がランク外に転落しました。
(横浜そごうだったかも)

本社側は、販売員も顧客もブランド愛が強いから、
販売員は販売代行会社に移るだろう、
顧客はたとえスタッフが退社しても購買を続けるだろう、
と安易に考えていたのだと思います。

解雇しますと言われて、
服を売ろう、メーカーに尽くそうって気に誰がなるというのか。

また販売員と顧客の繋がりを甘く見過ぎだったと思います。


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そこからピンクハウスの終わりが始まりました。


売上減少にともなう店舗の閉鎖、またはショップ規模の縮小が相次ぎます。

金子功が別ブランドを立ち上げ、顧客が別ブランドへと流れる中を
ピンクハウスに留まって頑張ってくれていた
直営店の販売スタッフを全員解雇したのです。
当然の結果ですよね。

私は面談の際、インゲボルグの営業部長に、
この措置は「株式会社ピンクハウス」を存続させるために必要な、
痛みを伴う改革なのだと説明されました。

そんな説明を受けても、
会社に捨てられるという思いは変わりません。

その改革の結果、数年経たずに「株式会社ピンクハウス」はなくなります。

販売課を廃止すると決めたのが、
経営コンサルタントによる助言なのか、
ビギグループ役員達の決定なのか、
末端にいた私にはわかりません。

バブル崩壊後の景気後退により、
販売課を廃止しなくても結果は同じだったかもしれない。

けれど私は、
販売課を廃止し、
販売員を解雇した結果が、
「株式会社ピンクハウス」の消滅きっかけだと思っています。

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*と、書いた後でよくよく考えたら、販売課廃止のトリガーになったのは
NATURE TRAILですね。
NATURE TRAILは全店舗直営店、その上カフェまで運営し、
採算が取れていなかったはずなので。