タクシーで知るケニアのコロナ事情
日本一のかご屋を目指す、かご専門店ORIKAGOのひかるです。
先日書いたとおり、私は今、アフリカのケニアに出張に来ています。コロナ禍での出張がどうなるのか、不安もある中で空港に到着し、いつも迎えに来てくれるタクシー運転手のトニーさんと再会。
思わず、習慣で握手してしまってから「あ・・・握手はダメだった」と気付いて平謝り。お互い、手を改めて消毒してから訪問先のマチャコス市へと向かいました。
空港からアパートまで、大体車で一時間ちょっとの道のりですが、毎回この時間はトニーさんから情報収集します。協力工房のスタッフとは常にチャットで連絡を取っているものの、彼女たちはあまりニュースを見ないので情報が偏ることも。トニーさんは知識も豊富なので、前回訪問時からの社会情勢の変化などを根掘り葉掘り聞きます。(写真は協力工房スタッフ。全員マスクを着けています)
もちろん、今回は「COVID」「パンデミック」がキーワード。工房のスタッフさん達からはあまり話題が上がらなかったので、実際はどのくらい影響があったのか聞いてみました。
真っ先にトニーさんが言ったのは「いや~、まさか自分が生きている間に教会が閉まる日が来るとは思わなかったよ!」でした。どんな困難があっても、日曜日にはみんなで教会に行くのが習慣の国で、密になるからと数ヶ月間、教会は閉鎖されていたそう。このことが、より一層みんなの危機感を高めたようです。
今は教会は再開しているものの、2回までだった日曜礼拝が5回になって、入るときは手洗いと消毒が必須。席を離して誰も隣に座らないよう、徹底されているとのこと。
当たり前のように通っていた教会が閉鎖され、学校も閉鎖され、さぞみなさん不安な気持ちになっただろうに… と話を聞きながら一人暗い気持ちになってしまったら、トニーさんの反応は意外と明るいものでした。
「2020年が教えてくれたんだ。病の前で人は平等だって。ニュースを見ても、アメリカのようにもっと経済的に豊かで医療も発達している国がケニアよりはるかに苦しんでいる。アフリカは色々遅れているけれど、それでも前向きに頑張ってるんだよ」
私はこの言葉にハッとさせられました。
最初にアフリカでコロナの感染が見つかったニュースを見たときは、私もやはり、現地の医療事情を知っているからこそ心配でした。Yahooニュースのコメント欄でも「アフリカで広まったらもうおしまい」というような悲観的なよく見られたのを覚えています。
事実、亡くなられた方も多く、倒産した会社も多くあったようです。マチャコス市の病院では物資と人手不足で28歳の若い医師が亡くなり、それを機にストライキが起きています。(写真はサッカースタジアム。検査及び感染者の隔離施設になっています)
それでも、実際に現場に来てみると、道ではマスク売りのおばさんが箱一杯に詰めたカラフルな布マスクを販売していて、スーパーの前では美人なお姉さんが手洗い用の石鹸を手にかけて出迎えてくれるサービスがあって、馴染みの顔に会うと、握手ができないからと笑顔で手を振って挨拶してくれて。(写真はスーパーの前の手洗いセットとハンドソープを配るお姉さん)
私が初めてアフリカに来てからずっと魅せられている「生きる力」やたくましさを改めて実感させられています。
「病の前ではみな平等。でも、この危機でたくさんのいいこともあった。手洗いが増えて、風邪を引く人も減った。きっとここからは神様のお導きと共に良い未来があるんだよ」と最後に締めくくったトニーさん。
ピンチをチャンスに変える底力と前を向く姿勢。私も見習って、2021年を明るい一年にしよう!と日本にいたときよりも返って元気をもらった道中でした。
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かご専門店ORIKAGO 代表 岡本ひかる
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