見出し画像

花 「誰かのために」プロジェクト2015 佐藤朱 投稿記事(写し)

この記事は、
2015年3月12日、
AKB48チーム8宮城県代表(当時)の
佐藤朱さんがブログに投稿した記事になります。
ホームページリニューアルにつき、
当該投稿が閲覧できなくなってしまったため、
書き写しさせていただきます。

――――――――

あの日から4回目を迎える3月11日

私たちには何ができるのだろうと
改めて考えさせられる日でした。

私が震災を経験したのは
中学2年生の時でした。

その日は
次の日に控えた卒業式の準備をしていて、
その最中に地震は起こりました。
4分弱揺れていたそうですが
もっともっと長く感じました。
大きな地震が落ち着き、約1時間後、
中学校には避難してきた地域の方々がたくさん集まり、一気にそこは避難所と化しました。
校舎の4階に上がり窓から学校の外の景色を見ました。
私はその光景が何なのかはじめは理解できませんでした。
それは勢いのおさまった津波が学校の校門のすぐ手前まで静かに迫ってきていたのでした。
そして静かに雪は降ってきていました。

その日の夜は電気もなく、学校の外で何が起きているのか何も分からないまま、取り外したカーテンにくるまり、余震の絶えない不安な夜を過ごしました。
窓の外の海の方は火事が一晩中絶えませんでした。
やっと朝が来た喜びを、私は今でも覚えています。
また家族と再会できたのも夜が明けてからでした。

その後、だんだん情報が入ってくるようになり、何が起きてしまったのか少しずつわかりました。
でもどこかで信じられないという思いがずっとありました。
自宅に戻れるまでのしばらくの間、中学校の体育館での避難所生活を余儀なくされました。
友人の中には家、そして家族を失ってしまった子もいて、本当にこれが現実なのかと悲しみや絶望ばかりがこみ上げてきていました。

電気が通ったのは2週間後、お風呂に入れたのは10日後でした。
体育館での共同生活によりプライベートな空間はありませんでした。

日常は一気に奪われてしまいました。
ですが、失うものばかりではありませんでした。
少しでも助けになりたいと炊き出しやボランティアなどで全国からたくさんの方が次々と支援に来てくださいました。
そのたくさんのあたたかな気持ちが本当に嬉しくて、遠く離れた場所でも思ってくれている人はいて、みんな繋がっているんだと人と人との絆を感じることができました。
自衛隊の方や炊き出しに来て下さった方がくれたお味噌汁のあたたかさを忘れることができません。


4年が経つ今、私の生活は日常に近い形に戻ることができています。
ですが海の近くの地域は未だ消えることのない傷跡が残っていてそこをいつも近くで感じます。
今でも思うのですが、
私はもし時を戻せるのなら、
せめて地震がおさまった後、早く海から離れて、もっと安全なところへ逃げてと多くの方々に叫びたいです。

それはもう叶いません、
ですが今回の経験でたくさんのことを多くの人が学ぶことができました。
私はそれを途切らせることなくずっとずっとずっと伝えていくことがまず、自分にできるやるべきことなのだと思います。
また宮城県の支援に携わって下さった方々への感謝の気持ちを忘れず、そしていつか恩返しができるように今を精一杯生きることが大切だと思いました。

少しでも復興に近づくようにこれからも自分にできることから行動していきたいと強く思います。


これは私が初めての被災地訪問の際に、
スタッフさんに震災での経験を伝えるために書いたものです。

あの日の出来事は自分の中でも少しずつ整理がついていたはずでした。

しかし、
3月11日にという日に
今回献花させて頂いた石巻市門脇町の何もなくなってしまったあの場所に立つと
4年前の記憶や感情が、
あの時のまま、鮮明に蘇ってきて、
地震直後、
何が起こったのかわからずに自分は避難していた頃、
のどかだったあの景色は変わり果てていて…

しかもあの日のように雪まで降ってきました。

知らず知らずのうちに涙が溢れていました。

私は、途切れることなく伝えていくためには
具体的にどんなことができるだろうと考えました。

追悼式や被災地、献花をするため、
実際に足を運ぶこと、行動していくことが1番大切なことだと思います。

自分がすることで
家族、友人も気づき、
行動に移してみようと思えるきっかけになるかもしれない。

それが広がり、繋がっていけば、
たくさんの方々が思い出すようになり、
より強く記憶は刻まれていくことができるのではないのかなと思うんです。

本来、私がこのようなことを書くことができる立場ではないのかもしれません。

でも身近でこの目で見てきたこと、
心で感じてきたことをこの日だからこそ、
ありのままに書きとめておきたいと思いました。

私達は忘れない、
そして伝え、繋げていきたい。

この花としおりに託された思いを
しっかりと受け止めて…



広渕小学校のみなさん、
そして来てくださったみなさん、
本当にありがとうございました。


2015年3月12日
佐藤朱