分回し歩行を分析するための3つのポイント
リハ塾の松井です!
今回は脳卒中の歩行に関する質問をいただきました。
<ご質問内容>
歩行分析はどこから始めると理解しやすいでしょうか?
麻痺側下肢の振り出しが一本の棒のような振り出しになっている方がいます。 原因分析が難しいです。
振り出しが分回し様になってしまう脳卒中の患者さん、多いですよね。
よくある歩容ではありますが、スムーズな歩容に変えていくのは簡単ではありません。
そもそも、歩行分析自体が見る部分が多く、焦点を絞らないと訳が分からなくなってしまいます。
そこで、今回は質問のような分回し歩行を分析するためのポイントを3つに分けて解説します!
脳卒中患者の歩行の問題点として、大きく以下の3つに分けられると思います。
①IC→MStの重心の前上方への移動が乏しい(体幹直立位をとれない)
②MSt→PSwにかけての股関節伸展、足関節背屈が乏しい
③立脚期全体を通して下腿の前傾が乏しい
質問にある、麻痺側下肢の振り出しが一本の棒のような振り出しになっていて原因分析が難しいというのは、②の「MSt→PSwにかけての股関節伸展、足関節背屈が乏しい」が原因としては考えられます。
脳卒中患者の歩行における大きな問題として、PSwにおける運動エネルギーの低下が報告されています(参考文献①、②)。
MSt、TStで股関節伸展、足関節背屈によって、股関節屈筋と足関節底屈筋が十分に伸張されることで、元に戻るエネルギーを使って下肢の振り出しが起こります。
つまり、ここで十分な股関節伸展、足関節背屈が得られないと分回し様の振り出しで代償するしかないということです。
そして、十分な股関節伸展、足関節背屈を出すには①の体幹直立による重心の前上方移動が起こらないと難しいです。
さらに、③の下腿の前傾が起こらないと重心を持ち上げることも難しいですし、持ち上げた重心(位置エネルギー)を運動エネルギーに変換してその後の歩行周期に繋げることも難しくなります。
つまり、全部繋がっているんですね。
また、細かく見ると、足関節や股関節の背屈・伸展可動域や伸筋の出力も必要になります。
なので、まとめると、まずは上記の3つに分けて考えた時に何がその方にとって大きな問題となっているのか。
そして、その問題は何が原因なのかを細かく分解(可動域や筋力)して考え、それに対して介入し、効果判定するという流れですね。
もっと細かく見ると色々評価すべきことはあるかと思いますが、いきなり細かく考えていても解決しないことが多いので、まずは大枠を捉えることから始めてみてください!
参考文献
1.G Chen et al : Gait deviations associated with post-stroke hemiparesis: improvement during treadmill walking using weight support, speed, support stiffness, and handrail hold. Gait Posture. 2005;22(1):57-62.
2.G Chen et al : Gait differences between individuals with post-stroke hemiparesis and non-disabled controls at matched speeds. Gait Posture. 2005;22(1):51-6.
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