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何となくで見栄を張って英語論文を読むのは辞めよう

リハ塾の松井です!

本日の質問は論文読解についてです。

日頃、臨床をしていると必ず疑問にぶち当たりますが、それを解決するために論文を読むことは研究をしない臨床家であっても必須です。

今日は英語論文の読み方や論文の読解方法について、僕なりの考えをまとめました。

<ご質問内容>
論文を読む、検索するのが苦手です。
日本、海外の論文に限らず読む、探すことが出来るようになる為、何か良いステップ、方法があれば教えて頂きたいです。
ちなみに、僕もたくさんセミナーに通って臨床に活かすことができていないので、臨床をベースに勉強していくスタイルに変換しようとしている最中です…。



まず、論文を読むなら日本語論文だけでなく、英語論文も読んだ方が絶対に良いです。

言語別にwebサイトを分けると、英語のサイトは全体の半分以上あるのに対し、日本語は約3~4%くらいしかありません。

如何に日本語で得られる情報が限られるか分かりますよね。

今の時代、英語ができなくてもGoogleの翻訳機能やDeepLといった翻訳サービスもあるので、それらを駆使することである程度は読むことができます(もちろん翻訳が怪しい部分もあるので、全てを鵜呑みにしない方が良いです)。


そして、論文の読み方ですが、最初から最後まで隅々まで読むのはそれはそれで良いですが、かなり効率が悪いです。

別に自分が必要としていない情報まで読むことになるので、情報の整理が大変ですし、時間が膨大にかかってしまいます。

なので、論文の基本的な構成とどこを読めば良いのかを知っておくと、読むスピードも得られる情報の質も上がるはずです。

基本的な構成は以下の通りです。

・Title(題目)
・Abstract(要約)
・Introduction(背景)
・Methods(方法)
・Results(結果)
・Discussion(考察)
・Conclusion(結論)

臨床家が論文を読むと仮定すると、論文を読む目的としては臨床での疑問を解決したいことがほとんどだと思います。

例えば、TKA術後の膝痛に対する大腿四頭筋の筋トレがどれくらい効果があるのかとか。

被殻出血後の運動麻痺に対する効果的な介入方法が知りたいとか。

そんな場合にお勧めの読む順番としては、以下のようになります。

1.Abstract
2.Introductionの最後
3.Discussionの最初
4.Results
5.Discussion

Abstactで全体の内容を把握、Introductionの最後で研究の目的を知り、Discussionの最初で方法と結果に対する考察、Resultsで詳細な結果を確認し、再度Discussionに戻って考察を全て読むという流れです。

特にResultsは最初から読み始めると、細かい数字が多く、理解するのも時間がかかるので、図表を見て必要があれば文字を読んで確認するので良いと思います。


また、論文にはエビデンスレベルがあり、エビデンスレベルが高いものから読むと良いです。

エビデンスレベルの高いものから順に並べると以下のようになります。

・システマティックレビュー
・ランダム化比較試験(RCT)
・コホート研究などの分析疫学的研究
・症例報告などの記述研究
・専門家の意見

とは言え、エビデンスレベルが高い=質が高い論文とも言い切れません。

データに偏りがあったり、サンプルサイズの大きさに問題があったり、研究デザインや方法に問題があることもあります。

例えば、高齢者100人を調査しましたという研究があったとして、対象となる高齢者が街中で歩いていた高齢者なのか、施設へ入所している高齢者なのかでは全然違いますよね。

質の高い研究かどうかを測る方法として、Pedro Scaleというものがあります。

Pedro Scaleについては理学療法士協会が解説されたものがあるので、参考にしてみてください。

論文を読む際は、エビデンスレベルとPedro Scaleを参考に質にも拘れると良いですね。


まとめると、

・日本語の情報に比べ、英語の情報の方が圧倒的に多い
・翻訳ツールを駆使すれば、英語が出来なくてもある程度は理解できる
・最初から最後まで隅々と読まず、要点を絞って読む
・エビデンスレベルを考慮
・エビデンスレベルだけに捉われず、質にも拘る

慣れないと大変ですが、少しずつでも今回紹介したように読む癖をつけていくと、長期的には質の高い情報を効率良く収集できるはずですよ!


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