痛みの解釈【関節と筋肉の痛み】
リハ塾の松井です!
臨床では必ずと言っていいほど、患者さんの「痛み」の訴えを聞きますよね。
そんな時、こんな悩みありませんか?
・痛みを訴えられるけど、その痛みをどう解釈していいか分からない
・何で痛いのか分からない
・そもそも、何で痛くなるのか分からない
こんな悩みを解決すべく、今回は臨床でも多く遭遇するであろう関節と筋肉の痛みの解釈を解説していきます!
関節痛のメカニズム
関節包や靭帯には、侵害受容器が分布しています。
その中には、圧刺激や伸張刺激などの機械的ストレス、炎症など化学的刺激にも反応する受容器が存在します(参考文献①)。
関節の痛みは、関節包や靭帯の受容器が機械的あるいは化学的刺激に反応した結果起こります。
そのメカニズムは以下の通りです。
関節内に炎症が起こる
↓
滑膜の増殖
↓
関節内の占拠物が増えるため、関節内圧が高まる
↓
増殖滑膜細胞により関節液の産生が増加
↓
関節内圧がさらに高まる
↓
関節運動により急激な関節内圧の上昇と下降を繰り返す
↓
関節の受容器が侵害刺激を感知し痛みを感じる
関節に炎症を起こさないためにはどうするか。
関節の内圧を高めないためにはどうするか。
炎症あるいは内圧が高まっていて痛い場合、どうするか。
これを考えていく必要がありますね。
筋肉痛のメカニズム
筋肉による痛みの原因として考えられるのは、主に以下の4つです。
・筋や結合組織の損傷
・筋スパズム(筋攣縮)
・筋虚血
・トリガーポイント
筋や結合組織の損傷
筋肉にはLloyd-Huntによる神経線維の分類における、Ⅲ群繊維とⅣ群繊維に分類される侵害受容器が痛み刺激を中枢へ伝達します(参考文献②)。
Ⅰa群:筋紡錘の環らせん終末に分布、伸張反射に関連
Ⅰb群:ゴルジ腱器官に分布、筋腱移行部に加わる伸張刺激を感知
Ⅱ群:筋紡錘の散形終末、屈曲反射に関連
Ⅲ群:筋の伸展や収縮、非侵害圧刺激に反応、温度や化学刺激に感作し虚
血、低酸素、侵害性の局所的筋内圧の上昇にも反応するようになる
Ⅳ群:温度刺激に反応、虚血や局所の筋内圧の上昇、侵害受容性の化学刺激
にも反応
また、筋膜や筋腱移行部に痛覚繊維も存在するため、筋肉の損傷によって痛みを感じます。
筋スパズム(筋攣縮)
筋緊張が高まると、筋繊維や筋膜に張力が加わり、それが受容器を刺激します。
また、筋収縮によって血管が圧迫され、血流障害が生じ、発痛物質が産生されて痛みが起こります。
筋虚血
上述しましたが、血管が圧迫されて血流障害が生じると、発痛物質が生じることで痛みが起こります。
また、血流障害が長期化すると、血流を促進して酸素と栄養の供給と排液が促進され、結果的に炎症が起こります。
それがまた痛みを起こす要因になります。
トリガーポイント
トリガーポイントとは、慢性的な筋疲労が持続した時や外傷により、筋肉あるいは筋膜内の索状硬結内に出現する過敏性のスポットを指します。
トリガーポイントのある部位から離れた部位にも関連痛を引き起こすことが言われていますが、詳細はここでは割愛します。
索状硬結とは、筋肉の短縮と関係があるとされており、筋肉あるいは筋膜内に形成されるロープ状のしこりのようなものを指します。
まとめ
何で痛みが起こるのかって意外と分かっているようで分かっていないかったりしますよね。
でも、痛みが起こる原因をちゃんと知っておくと、どう介入すべきかも明確になりますし、何より自分のすることに迷いがなくなります。
よく分かっていないまま介入しようとするから、何となくルーティンの筋トレやROMexをするだけになってしまいます。
今回は関節と筋肉だけに絞ってお伝えしましたが、細かく見ると痛みを起こす要因はまだまだたくさんあります。
臨床でよく分からない痛みに遭遇した時は、よく分からないまま介入し続けるのではなく、ちゃんと調べてみてくださいね!
参考文献
1.Wyke B : The neurology of joints. Ann R Coll Surg Engl. 1967;41(1):25-50.
2.Thomas Graven-Nielsen et al : Painful and non-painful pressure sensations from human skeletal muscle. Exp Brain Res. 2001;159(3):273-83.
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