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腸脛靭帯の硬さ、ほぐすのが正解?
リハ塾の松井です!
臨床であるあるな問題の1つに「大腿外側の硬さ」があります。
もう少し具体的に言うと、腸脛靭帯の硬さが挙がることが多いかと思います。
腸脛靭帯は脛骨外側に付着し、硬さがあると膝関節屈伸の動きに影響を与えます。
また、腸脛靭帯は大腿外側全体にかけて走行する長い組織という特性上、腸脛靭帯に頼った姿勢・運動制御によって遠心性にパツパツに伸張されていることも多々あります。
なので、硬いからといってマッサージやモビライゼーションを安易に選択することは逆効果になる場合もあるため、機能的に使えることが重要です。
ですが、腸脛靭帯自体は大腿筋膜が肥厚したもので、収縮組織ではないのでではないので腸脛靭帯に付着する筋肉によって間接的に機能的な制御が求められます。
今日はこの辺りについて解説していきます!
まず、腸脛靭帯に付着する筋肉は以下の4つです。
・大腿筋膜張筋
・大殿筋上部繊維
・外側広筋斜頭
・中殿筋
そもそも、腸脛靭帯は「大腿筋膜張筋および大殿筋に由来する筋膜の肥厚」と定義されています(参考文献①)。
なので、大腿筋膜張筋、大殿筋は腸脛靭帯と関係していることは分かります。
腸脛靭帯の近位では前方繊維と後方繊維に分かれており、前方は大腿筋膜張筋、後方は大殿筋上部繊維がそれぞれ連結しています(参考文献②)。
そして、大転子より遠位で2つの繊維は合流します。
外側広筋は長頭と斜頭に分かれ、斜頭は大腿外側筋間中隔と腸脛靭帯に起始を持つことが言われています(参考文献③)。
ちなみに、外側広筋斜頭は外側広筋の外側下部に当たる部分を指します。
大腿筋膜張筋と大殿筋が腸脛靭帯の近位に位置するのに対し、外側広筋斜頭は遠位に位置していますね。
そして、中殿筋の起始は教科書的には腸骨翼外側面ですが、殿筋膜にも起始を持つとされています(参考文献④)。
腸脛靭帯は大腿筋膜の肥厚した部位と言いましたが、大腿筋膜も殿筋膜も場所で名称を変えているだけで、深筋膜で繋がっている筋膜同士です。
なので、中殿筋も殿筋膜を介して腸脛靭帯と繋がりを持っているということが言えます。
なので、腸脛靭帯の硬さを評価する際、上記の4つの筋肉の影響を考えることがポイントです。
例えば、大腿筋膜張筋は股関節屈曲・外転・内旋の作用を持ちますので、股関節屈曲・内旋位で緩みます。
その肢位で股関節を内転させた時の抵抗感と他の3つの筋肉を緩めた肢位での股関節内転の抵抗感を比較します。
大殿筋上部繊維なら、股関節伸展・外旋で緩みますし、外側広筋なら膝関節伸展位で緩みます。
緩ませた時の腸脛靭帯の抵抗感が少なくなる筋肉ほど硬さを助長している可能性が高いということが言えます。
なので、腸脛靭帯を直接マッサージするのではなく、影響を与えているであろう筋肉をストレッチなどで長さを作ってあげると腸脛靭帯の硬さも軽減できる可能性が高いです。
闇雲に「硬い」部位をほぐすだけということはせずに、全体的な繋がりを考えた介入をしましょう!
参考文献
1.Birnbaum K et al : Anatomical and biomechanical investigation of the iliotibial tract. Surg Radiol Anat 2004 26 (6): 433-446
2. Alejandro Mena-Chavez J et al : Muscloaponeurotic area of the hip and clinicophotographic scaling system. Plast Reconstr Surg Glob Open 2015 3(6):423
3.I Becker et al : The vastus lateralis muscle: an anatomical investigation. Clin Anat 2010 23(5):575-85
4.F Gottschalk et al : The functional anatomy of tensor fasciae latae and gluteus medius and minimus. J Anat 1989 166:179-189
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