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トレンデレンブルグ歩行の中殿筋以外の原因を探る方法

リハ塾の松井です!

臨床で出会う跛行の1つにトレンデレンブルグ歩行がありますよね。

若手の頃は「トレンデレンブルグ歩行だから中殿筋が弱いな、中殿筋を鍛えよう!」という安易な考えをしていました。

実際、中殿筋を鍛えたからといって全ての方が跛行が改善するわけではないし、トレンデレンブルグ歩行があっても中殿筋の筋力低下のない方もおられます。

ということは、トレンデレンブルグ歩行=中殿筋の筋力低下という思考を一旦捨て、「片脚立位時に骨盤水平位を保持できない」と視点変える必要があります。

今日は片脚立位時に骨盤水平位を保持できない原因を考えてみます。


トレンデレンブルグ歩行で中殿筋が弱いことが原因!と言うのは、立脚期に骨盤が反対側へ傾き、相対的に同側股関節が内転位になってしまい、骨盤を水平位に保てないことが挙げられます。

これも1つの要因ではありますが、骨盤を水平位に保てない原因は本当に中殿筋の筋力低下だけでしょうか?
以下にトレンデレンブルグ歩行が起こる原因として考えられる要因を挙げてみました。

考え方としては、トレンデレンブルグ徴候が前額面での問題なので、前額面の要因から考えてみると整理しやすいです。

・同側股関節外転制限(内転筋群の短縮、過緊張)
・反対側股関節内転制限(中殿筋、大腿筋膜張筋、大殿筋上部繊維の短縮、過緊張)
・体幹反対側への側屈制限(腹斜筋群、腰方形筋、脊柱起立筋、大腰筋の短縮、過緊張)
・同側膝関節の外反(内転筋群、薄筋、小殿筋、大腿筋膜張筋、半腱・半膜様筋、腓腹筋内側頭の短縮、大殿筋、中殿筋後部繊維、縫工筋、外旋六筋、大腿二頭筋、腓腹筋外側頭の弱化)

次に、前額面以外の要因も考えてみます。

・同側股関節伸展制限
・体幹伸展制限
・同側膝関節伸展制限
・同側足関節背屈制限
・股関節の不安定性(大腰筋の筋力低下)

歩行時、股関節、膝関節が伸展位になることで、遠方への推進力を得て前へ歩くことができます。
ですが、伸展制限があると代償的に前額面や水平面へ動かざるをえません。

言い換えると、骨盤を水平位に保ったまま前方へ歩きたいのに可動域制限や筋力低下でそれができないので、代償運動が起こります。

それが、股関節の内転だったり体幹の側屈だったりすると、トレンデレンブルグ歩行となるわけです。

では、そのための評価をどうしたらいいいのか?
僕が臨床でもよく用いる方法ですが、片脚立位で評価をします。

見るポイントは以下の2つです。

・どこが固定されているか
・どこが動いているか

片脚立位を保持できない場合、動いている部位を固定すると安定するのか?
固定されている部位をどの方向へ誘導すると安定するのか?

これを検証していきます。

トレンデレンブルグ歩行の場合は、歩行中の立脚期中に骨盤が反対側へ傾き、股関節が内転位になってしまうので、動いている部位は骨盤と股関節ですね。

じゃあ、骨盤を徒手的に固定すると上手く片脚立位を保てるのかどうか。
それとも、膝や足関節、胸郭などを固定した方が上手く保てるのかどうかを評価します。

もっと発展させると、股関節を内旋位にした方が良いのか、外旋位の方が良いのか。
それとも、体幹を回旋させた方が良いのか、側屈させた方が良いのか。

これで上手く片脚立位を保持できるのなら、上記で言う固定されていた部位が股関節や体幹にあたり、その動きを引き出してあげたことで上手く片脚立位がとれたという解釈になりますよね。

こういった評価をすると、同じトレンデレンブルグ歩行が出てしまう方でも評価結果は異なるはずです。
となると、原因は自ずと中殿筋の筋力低下だけではないということが分かりますよね。

特別な手技とかではなく、普段やっている評価や介入を工夫するだけでも考察が深まりますので、是非試してみてください!


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