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肩関節の痛み【侵害受容器の分布を踏まえて】

リハ塾の松井です!

臨床でも多い肩関節の痛みですが、マッサージやストレッチでその場は痛みが和らいでも、すぐに戻ってしまうケースって少なくないですよね。

そんな場合、何が考えられるでしょうか?

・問題点が絞り切れていない
・介入する部位が見当違いの部位
・評価がうまくできない

などありますが、侵害受容器の分布を考えると、痛みを起こしやすい組織は決まっているんですね。

なので、それを理解しておくと、評価も進めやすいし問題点も絞りやすいので、全く見当違いの介入をすることは少なくなります。

そこで、今回は肩の侵害受容器の分布から、肩の痛みについて解説します!


肩関節の受容器分布

痛みは主に以下の3つの要因に分けられます。

・侵害受容性疼痛
・神経障害性疼痛
・心因性疼痛

今回は侵害受容性疼痛に焦点を当てて解説します。

侵害受容性疼痛は、その名の通り侵害受容器が痛み刺激を感知し、それが上行して脳へ伝わることで痛みを認知します。

そして、侵害受容器は皮膚、筋、筋膜、腱、骨膜、靭帯、関節包などに存在しますが、受容器が豊富な組織とそうでない組織に分けられます。

腱板断裂術後の15例を対象とした研究では、腱板、肩峰下滑液包、烏口肩峰靭帯のいずれにおいても、パチニ小体、ルフィニ受容体、ゴルジ様受容器、自由神経終末が存在していたと報告しており、それぞれ以下のように各受容器の分布の割り合いを報告しています。(参考文献①)

<腱板>
パチニ小体、ルフィニ受容体、ゴルジ様受容器(機能的神経終末):54.3%
自由神経終末:29.2%
パチニ小体が最も多く、関節腔側と肩峰下滑液包側を比較すると、滑液包側に機能的神経終末、自由神経終末ともに密度が高い
腱板滑液包側が最も神経終末が多い

<肩峰下滑液包>
機能的神経終末:35.8%
自由神経終末:50.7%
自由神経終末が最も多い

<烏口肩峰靭帯>
機能的神経終末:52.7%
自由神経終末:39.2%
最も神経終末が少ない、腱板滑液包側と比較して1/3

各受容器の役割を少しおさらいしましょう。

・パチニ小体:加速度の認知
・ルフィニ受容体、ゴルジ様受容体:運動位置の認識
・自由神経終末:痛みの受容体

これを踏まえて何が考えられるかと言うと、神経終末が多い、腱板の滑液包側と肩峰下滑液包で特に痛みを感じやすく、肩の固有感覚を中枢へ伝える役割としても重要であることが言えます。

また、ウサギによる研究ですが、腱板の中でも棘上筋に侵害受容機能および固有受容機能を有する機械的感受性単位が多く認められた報告しています。(参考文献②)

あくまで可能性ですが、腱板の中でも棘上筋、しかも滑液包側で特に痛みを感じやすく、肩の固有感覚を伝える機能としても重要である可能性があります。

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