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言葉を疑う谷川俊太郎さん

 ひかりの羽のお手紙のおまけに、今回はオリジナルオラクルカードをつけようと思いつく。カードはずっとずっと作ってみたかったもので、過去に何度もトライしたことがあったけれど完成していなかった。今回「お手紙につけよう!」と思い立ち昔のデータを開いてみると、そこにはほぼ完成している「ひかりの羽のオラクル〜天使が見た人間の愛とか恋とか編〜」があったのだ。過去のわたしはきっと、データだけをほぼ完成させて印刷の工程を迷っていたのかもしれない。そんなこともすっかり忘れていたので、わたしは過去の自分からのプレゼントに感心してしまった。
 
 天使たちから見た人間はきっと滑稽だろうな、とよく考える。自分が作り出した妄想に翻弄され、誰にどう思われているかとか、本音を言えないとか、そんなことに悩む。それは滑稽であると同時に、例えば大人が子どもを見るような感じでとても愛おしく、新鮮で可愛らしいんじゃないかと想像する。その視点は実は自分自身のものであって、体の自分が翻弄されているのは実は自分が書いたシナリオ。面白い映画を企画して、撮影して、見ているのすら自分自身。その自作自演に気がついて愉快にあそべるような視点を与えられたらいいなと思ってこのカードを作っている。今はカードの解説文を書いている。小さな文字がA4用紙にびっしりと埋まっている。「読みやすさ」は特に考えられていないので、きちんと理解し実行したい人にとってはストレスになるかもしれない。しかしわたしは自分の直感とか感覚が何より大切だと思っているので、解説なんてすっ飛ばして自分で解釈を勝手につけて役立ててね、と思っている。あるようでないような解説書を眺めて、例えば、1のカードの解説として5を読んだっていい。そういう適当さや自由さがわたしを嬉しくさせる。

 詩人の谷川俊太郎さんが亡くなった。つい最近、谷川さんと医師の徳永進さんの『詩と死をむすぶもの』という往復書簡を読んでいた。その中でわたしがマーカーした「夜のラジオ」という詩の最後の一節にこんなものがある。

生きることを物語に要約してしまうことに逆らって

 物語はとても魅力的でたのしい。だけど人生を考えてみると、言葉にならない瞬間や感覚に満ちている。それを無理やり言葉に当てはめようとするとやがて歪になって自分自身を傷つけることになる。これはわたしの経験から思うことだけれど、言葉について考え、追求してきた人たちにはきっとこの感覚がわかるような気がする。谷川さんも、言葉をずっと疑っていたらしい。

 言葉が全てだと思ってしまうと、どんどんずれていく。一方で到底言葉で語り尽くすことなんかできないと考え始めると、小さく絶望する。わたしたちはそのはざまで悩みながら生きて、それでも言葉を、職人みたいに、小さく小さく「本当のこと」に近づける努力をする。わたしはそんな言葉が大好きだ。言葉は不思議で魅力的で面白い。だけど、言葉を疑う気持ちをずっと持っておこうと思う。体の感覚と声を繊細にキャッチして、テレパシーで会話をする。

 先日はひさしぶりにみうちゃんと会って話した。その時にもわたしたちは言葉で伝えることと、水のように混ざり合うことで勝手にわかり合うことについての会話をした。わたしはつい頭で考えてどんどん言葉にしていく癖があるけれど、みうちゃんはそれをハグひとつであっさり解決してしまう。一言も言葉を発さなくても同じ空間にいてのんびりしているだけで浄化されていくような感じ。余計な心配はしないでただ一緒にいる。包んでいる。安心する。わたしはそういう力をもっと信頼していけるようになりたいと思う。「ずっと変わらないよ」という言葉を信じるのは難しい。しかし、それは言葉で考えているからだと思う。言葉で考えいる限りわたしたちは変化しつづける。出会って別れる。好きなものが嫌いになる。だけど、魂は、ずっと変わらない。状況や環境は変わることがあるかもしれないけれど、根本は変わらない。それを伝えてくれる人たちが周りにいることがとてもしあわせだ。

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うえかわ聡美 |言葉|創作|ひかりの羽のクラス
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