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【新風三佳】・第15章(憎悪)
第15章・憎悪
【醜き行い 我が身へ還る
貶めあざ笑う 醜き鬼よ
その罪深さ いつ悟る】
晴天の空の下、祖母が亡くなり100ヵ日法要の今日、お墓に祖母の遺骨を納骨し安らかな眠りへと誘う日!!!
まさかあんな仕打ちを母親(実母)から
されるなんて想像すら出来なかった!!!
喪服を着て叔父から指定された場所へと
車で夫Yさんと向かっている。
祖母を最後まで送り出せる事に
叔父に対して感謝の気持ちと
祖母の冥福を心から願っていた。
少し早めに指定された場所へと到着した為、様子を見に私だけ皆が集まるフロアーへと
向かい状況を見て夫Yさんに連絡するはずだった!!!
夫Yさんは車で一時的に待機していた!
フロアーへ向かうとそこには母親(実母)と
僧侶の方が先に到着していた!!!
一応、挨拶だけはしておこうと思い僧侶の方と母親(実母)に軽く挨拶を交わした。
すると母親(実母)が私にこんな暴言を
吐いてきたのである。
『三佳きたの? ここに貴方が居ると
厄介な事になるから帰った方がいい!!!』と
僧侶も居る前で私に言い放ったのである。
『えっ! 厄介な事になる? なんで?』と
とっさに聞き返したが!!!
母親はそれ以上うんともすんとも応えない。
この現状に心は掻き乱され車で待機していた夫Yさんに今の現状を伝えた。
すると夫Yさんは1言
私に言い放ったのである!!
『なら!! 帰っておいで! 三佳ちゃん!!
そこまで言われて居る事はない』と
いつも穏やかな夫Yさんが久々にキレて
私に少し強い口調で返してきたのである。
私もその場に居るのがいたたまれず
少し涙目になりながら夫Yさんが
待機している車へと駆け込んだ。
叔父にはその現状を言えぬまま私達は
指定された場所から離れる事となった!!!
車の中で夫Yさんは私を見つめ
心配そうに問いかける。
『三佳ちゃん!! 大丈夫?』と
私は首を縦に振り大丈夫と応えた。
でも心の中は言葉では言い表せない程の
悲しみと憤り最後まで祖母を送り出せなかった事への悔しさで(はらわたが煮えくり返る)ほど心は荒れていた。
『あの人だけは絶対に許さない⋯』と
心の中で言葉が絶えずこだまする!!
自宅に帰る道中で私達が居ない事に疑問を
抱き夫Yさんの携帯に叔父が確認の為、
連絡をしてきたのである。
その電話を夫Yさんは憤りを抱きながらも
叔父に事の経緯を伝えると共に私の今の
不安定な現状も重ねて伝えてくれたのである。そして叔父と少しやり取りを交わし
電話は切れた。
そんな中、空気の重い車内で⋯
『ただ最後まで
送り出したかっただけなのに!!』
『なんでこんな仕打ちを
されないといけないの?』と
いつの間にかこぼしていたのである。
ただただ 涙が溢れてくる
ただただ 悔しくて仕方ない
母親が堪らなく憎くて仕方ない
この時の私の顔は
きっと⋯
鬼の形相になっていたかも知れない
それほどの怒りだった⋯
100ヵ日法要は私達不在のまま続行し
無事に終わりを迎えた。
その後、叔父は私達に謝罪をし母親との縁をこの事がキッカケで切った事などを私達に
伝えてきたのである。
最後まで参加出来なかった事に
悔いは残るが!!
それでも葬儀や49日法要の参加は出来た。
その事だけでも叔父に今でも
感謝の気持ちが絶えない。
母親(実母)は私にとって悪い意味での
見本でしかない!ため息が出てしまうほどに⋯
その後、暫く母親(実母)とは疎遠となる。
日々の生活を維持しながら穏やかな日常を
夫Yさんと過ごしていたが⋯
まさか数年後にさらなる悲しみが
待ち受けていようとはこの時の私には
想像すら出来なかった!!!
それはまさに立ち上がれない程の
悲しみと絶望の予期せぬ頼り
また孤独の闇へと堕ちて行くのである
だが温かな光が心を癒し
さらなる志向へと導く新たな変革を起こす
始まりの時でもあった。
【闇ある所に光あり
光ある所に闇はある
心が導く扉を叩け】
如何なる道を望むのか
この時、未だ見えず
まるで靄がかかったかのように
進む先が見えず藻掻いていたからである。
試練多き道まさに茨の道!!!
傷だらけになりながらそれでも前進するのみ!!
決して望み捨てず抗えば
如何なる闇であろうとも
決して明けない夜はない⋯