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【新風三佳】・第17章(私欲)

第17章・私欲

【私欲に呑まれ情捨てし
    哀しき鬼が子を狙う
       子を護らんと想いが満ちる】

災いは続くのか⋯

弱りし時に醜き鬼が動き出す!!

訃報の連絡は夫Yさんのお姉さんに私が!!
親達には叔父が連絡をした。

まだ悲しみ癒えぬ喪失感と絶望感の真っ只中で夫Yさんの訃報を知った母親(義理)は欲心抱きて私に恐ろしい連絡をして来たのである。
親とは思えぬ!! おのが保身の為に⋯

それはなんの前触れもなく突然訪れた!!

『♪♪♪♪』携帯が突如鳴る。

それは母親(義理)の番号だった!!
私は驚愕する。

『なんの連絡よ!!』

恐れと恐怖で身体が強張る。

だが意を決して電話に出ると
聞き覚えのある声が返ってきた。

『三佳!! 私だけどYさん亡くなったんだって!!』     

と哀れむ言葉が聞こえてきた。

『うん!! 亡くなったよ』そう応えると

『なら親の役目(保佐人)として貴方の
   通帳を管理しないといけないから
      通帳と暗証番号を教えてね』と

言って来たのである。

『・・・・!?』私は言葉を失った!!

少し補足させて頂くと母親の言う役目
【保佐人】とは国が定めた制度であり
意思能力の低い子供を護る為の制度である。その為にいわゆる金銭面の流れの管理や
不要な契約を未然に防ぐ為の役目があると
言いたかったのだろう。

【だが何故? 今なの?】

保佐人になったと豪語していたのはかなり
昔だと思う。20代の頃には保佐人だと言ってはいたが今まで通帳管理などで話をされた事などない。

『何故? 今だけ必要なの?』と

疑問は更に深まる

それに暗証番号まで必要?
訃報を聞いた今のタイミングで
役目だからと私に訴えかける。
抱く疑問を深く心の中で考えた!!

母親の思惑を⋯
その疑問は確信へと繋がった。

また奪うつもりか⋯
この人も昔と変わらない!!

昔の私ならば母親(義理)の操り人形でそこに自分の意思を抱く事は出来なかったが⋯

今は違う。

母親の醜き私欲が手に取るように分かる。
恐ろしい人だ!
この人は優しさの裏に夜叉の顔を隠してる。
私が手にする生きる為に
必要なモノをまた奪うつもりなのだ!!

そこまでするのか!!
おのが保身の為に!! 哀れな人だ!!

その想いを抱きながらも母親(義理)に

『分かった!!  考えておく』と
感情を押し殺し返答し電話を切った。

私の心は悲しみと憤りとで
暴風の如く荒れた!!!

予想以上の苦しみに即座に幼少期より
お世話になっている精神科のK教授に
連絡を入れた。

突然の連絡でK教授も驚きを隠せない。

『Yさん!!どうしたの?』と
  優しさ纏う労り深い声!!
       私は即座にK教授に

『教授!! 助けてください』と涙声で訴えた

K教授は尋常ではない私の状態に強く不安を感じ私に問いかけた!!

『何があったか教えて!!』と

その言葉を聞き
押し殺していた感情が一気に溢れ出す。

『実は最近、夫Yさんを亡くしてそれでさっき母親(義理)から連絡があり私の通帳を管理する責任があるとかで暗証番号などを聞かれました。伝えてはいませんが⋯』と

更に心の叫びは続く⋯

『母親は私の生きる為に必要なモノさえ
奪うんですか?私は母親が分からないです』と

悲痛な心の叫びを黙って聞いていた
K教授は強くこう返してきた。

『決して伝えてはダメ!! 叔父さんにも
  この事をちゃんと伝えておきなさい!!』と

助言を伝えて最後に 

『大丈夫だからね』と
     K教授の温かい言葉が私を包む

電話越しからだが温かい手が私の背中を強く押してくれたようなそんな感じがした。
私は1人じゃない!! 理解し寄り添い支え
励ましてくれる人達が傍にいる。
そう思い直した事で不思議と荒れていた心は少しづつ落ち着きを取り戻した!

その後、叔父にもこの事を伝えた事が功を奏したのかそれ以降は母親から通帳管理の話はない。そして保佐人の役目も叔父が引き継ぐ形となり不安感は一気に無くなった。

なぜ私の母親達は子を捌け口に自身を
保ったり子の手にするモノならば我が物に
して利用しても構わないそんな解釈が
出来るのだろう!!!

『利己主義で生きる人達なんだ⋯』
        私はそう心に落し込んだ。

【必ず救いは現れる
  溢れし涙は歓喜に変わる
    誰かが必ず見ているよ!!
      君の抗い耐え忍ぶその姿を⋯】

そうこうしている間に夫Yさんのこじんまりとした通夜・葬儀が始まるのである。夫Yさんのお姉さんは少し高齢であるのとお仕事など都合がつかず宮崎と離れている為、欠席する事となった。

そこで予想外の人達と再会する事となる!!

20年振りの兄と⋯
   15年振りの父親と⋯
      母親(義理)不在の中で⋯

 

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