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【新風三佳】・第10章(強欲)
第10章・強欲
【私欲の鬼が扉を叩く
情の心を捨てねばならぬ
宿し心眼 見えし疑惑】
新たな安らぎを手に入れて
愛に満たされ信頼できる夫に護られ
いつの間にか忘れていたのだ!!
母親(実母)の恐ろしさを⋯
私欲の為に子の情を利用する
ソレが私の母親(実母)だった。
前触れなくそれは突然訪れた!!
母親(実母)から電話がかかってきたのであるそれだけならば何も恐れる事はない
だが母親(実母)が連絡する時は必ず
理由をつけて利用する時だけなのだ!!
出る前に身体が強張る。
意を決して電話に出た!
『あっ!! 私 お母さんよ!』 と第一声!!
『何か?』 と疑惑の面持ちで返す
『実はちょっと手続きに貴方の印鑑証明と
少し確認したい事があるからお父さんの
電話番号教えてくれない?』
と返してきたが!!
『えっ! なんで?』 と疑惑は更に深まる!?
『必要だから!! お願いね』と
言い放ち一方的に電話は切れた!!
印鑑証明と父親(実父)の電話番号?
今更、何に必要なの?
不安を抱いた私は即座に祖母(母方)に
連絡を入れた!
『お母さんが印鑑証明を持って来いって!
お父さんの電話番号もって言ってきたよ!
なんだか嫌な予感がするんだけど』
と相談すると意外な返答が返ってきた。
『三佳!! 絶対に印鑑証明は持って行っては
いけないよ! 連帯保証人にされるから!!
印鑑証明は銀行でお金を借りる時に
使う物だから!!』
その返答を聞いて母親(実母)に失望感と
怒りが込み上げてきた。
変わっていないのだ母親は!!
父親(実父)の電話番号の件も教える事は
避けた方がいいのではと感じた!
再度、母親から連絡がきた!
『さっきお願いした事だけど!!!
できれば早めに貸して欲しいの?
持ってきてくれる?』
優しそうな声質で私の情に訴え掛ける。
だが今回ばかりは祖母(母方)の助けもあり
毅然とした態度で返答した。
『ごめんね。印鑑証明 紛失中なんだ!
お父さんの電話番号も知らないの!』
と返答すると予想外の対応に一気に
不機嫌になり即座に電話を切ったのである。
やっぱり利用する為だったんだ!
年を重ねても母親(実母)は変わらない
私欲の為に祖母(母方)を利用し
叔父(母方)も利用しそして子さえ利用する。
母親という自覚があるのか疑問だ!!
子を捨て親の役目を放棄しておきながら
捨てた子に子の役目を押し付ける!
なんて身勝手な人なのだろう!
こんな母親にはなるまい!!
そう心に誓ったのである。
そして数年後、大事な大切な人との
別れの時が近づきつつあったのである
死とは避けられぬモノ
だがその想いは永遠に残るモノ⋯