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【新風三佳】・第19章(里親)

第19章・里親

【失う恐れに苦悩し迷う
   尊む生命(イノチ)活かす選択
      愛する子に託せし想い】

尊き命が目の前から消えるのが怖かった己の経済力の無力さで救える命が救えぬやも!! 
そんな恐れを抱いていた!!!

それはきっと尊い命をまた永遠に失う事への恐怖から逃げたかったからかも知れない。

でもこれだけは言える!
愛犬モモを愛していない訳ではない
夫Yさんの忘れ形見なのだから⋯
それでも先を見据え考えた私は

愛犬モモを手放す事を心に決めた!!

『貴方は酷い飼い主だ!!どうして手放せる!!』 『理解できない!!  自分の為だろう!!』

そんな言葉を浴びせる人は沢山いた。

その言葉に否定も反論もしなかった!
全く無いとは言い切れなかったからだ!

【最後まで面倒をみるのが飼い主の役目!?】

『おっしゃるとおりです』

それなら共倒れて死ね事が幸せか?

私は離れ離れになろうとも新たな環境で
残りの余生を幸せに暮らして欲しい
その思いが強かった!!

私自身が夫Yさんを亡くし心に余裕があまりなく先の人生にも不安しか抱けなかった事もある。

悩みに悩んだ末に、里親を探し愛犬モモを
代わりに慈しんでくれる人を探す事に
没頭した。

友人から犬の里親希望の人と繋がれるアプリを紹介して貰いそこで先代のワンちゃんを
最後まで看取った方に強く心惹かれその方にお譲りする事を決めたのである。

その方は神奈川県に住むMさんだった!!
とても親切で真摯な人柄に更に心惹かれた!

お譲りする当日、
新幹線などを使い我が家に!!

最初はMさんに愛犬モモは警戒していたものの少しづつ距離が縮まり気づけばMさんの
警戒は驚くほど解かれていたのである!!

私はついつい⋯

『Mさん!凄いですね!!
   ここまで警戒が解けるなんて⋯』

と言うとMさんは

『実はお伝えしていなかったのですが!! 
   私、獣医の仕事をしてまして日々、
    沢山のワンちゃんを診ているから
           かも知れないですね』

と聞いて私は


『だからかぁ~』と納得した!!!

何故なら愛犬モモは人見知りで
誰彼構わずシッポを振って寄って行く子
ではなかったからだ!!

でも数時間でかなりの信頼を愛犬モモから得ている光景を見て安堵しMさんの職業が獣医だと知り抱いていた僅かな不安も無くなった!!

そして愛犬モモが我が家を離れ新たな環境へと旅立つその時、愛犬モモとMさんを乗せたタクシーを姿が見えなくなるまで見送った!

寂しさ込み上げる中であの子を信頼出来る方にお譲り出来た事に安堵する自分がいた。

その後、嬉しい出来事が舞い込むのである!
それは愛犬モモの里親のMさんが

『繋がりを絶たずこのままモモちゃんの
     余生を共に見守りませんか?』と

言ってくださったのである。

私はその言葉に甘える形でMさんから愛犬
モモの現状をアプリ内で教えて貰ったり私も愛犬モモの誕生日には贈り物を送ったりと今も尚、良好な関係は続いているのである。

Mさんの温かな配慮の中で!!

新たな環境で再出発した愛犬モモとは違い
私はまだ多くの悩みを抱え立ち止まったままだった!!

それは金銭的な悩みである⋯

今は経済的に夫Yさんが残した保険金と年金などの蓄えで暫くは金銭的に苦しむ事はないだろう。

だが使ってしまえば消える。
それがお金という物!!
使い方によってはあっという間に⋯

それは初婚の望まぬ結婚で経験し学んだ事!?

だからこそ働かねばいずれ
    今の現状も失い兼ねない

だが働いていた時期は14年も前で
もうそれほど若くもない!!!
持病も常に付き纏う!!

だからこそ最初の金銭的苦痛で経験し学んだ事を基礎とし今回は持病を理解し受け入れる職場を探す事にしたのだ。

その職場探しを後押しするかの如くK教授が驚きの情報を教えてくれたのである。

それは持病を持つ人や知的障害を持つ人などの病気を理解しその上で働く場を提供する
システムが現在(イマ)はあると教えてくれたのである。

それは私にとって衝撃的だった⋯

最初の金銭的苦痛の時は私が知らなかった
だけかも知れないがそのような職場がある事すら知らなかったのだ!!!

知らぬはまさに生き地獄!!
選択肢が大きく広がるからだ。

持病を理解し働ける場で少しでも今ある蓄えを維持出来るように頑張り前回の学びを基礎とし気持ちを新たにようやく己の人生(ミチ)の不安解消への重い腰を上げ始めたのである。

働けるうちに働かねば⋯
怠けていては現状は変わらない⋯
そう思えるようになったのだ!!!

【苦難の学びが己を救い
  茨の道が最短の近道となる
     恐れぬ意志を抱いて歩め】

今まさに蜘蛛の糸を手繰り寄せるかの如く
変化を恐れず抗い努力する先には
きっと望みし光は見えてくる⋯

まさか⋯

自身の中に眠る才華が
  目覚めるその時が訪れようとは
      今はまだ気付かずにいた⋯


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