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大地の再生の視点で花見山を「見立てる」

花見山森のあそび場

廿日市市宮内で開始している「花見山森のあそび場」は、お山まるごと一つを使った自然遊び&環境教育の取り組みです。
普段の活動では、かけっこスクール・生き物探検・花見山開拓隊という3つのプログラムを自然遊びの入り口に据えて、こどもが「やりたい」と思ったことに挑戦していくことのできる自由なあそびの時間を作っています。

手入れができず荒れ果てていた山の開拓を始めたのが7年前。
どのようにしたら環境を活かしながら人が利用しやすい場所づくりができるのか、そのコツのようなものがわからないまま手探りでこどもたちと一緒に開拓を進めてきました。
開けた広場ができ、広場同士をつなぐ道もでき、山の中のあちこちにテーマ性を持ったエリアができつつあります。その一方で、手入れのコツがわからないまま開拓してきたため、拓きすぎて木がなくなり、陽がカンカン照りになってしまった広場や、有機物がなくなって地面が露出して固くなってしまった場所など、反省する点もいくつかあります。
わからないままにやってみて、その結果を見て学んだことがたくさんあり、良い点もそうでない点も、それ以降の取り組みの糧になっています。

急斜面をよじ登るこどもたち

大地の再生

大地の再生は、人間の開発活動で傷んでしまった大地を、水脈や土中の空気の流れを整えることで回復し、その土地の自然と人間の共存を目指す環境再生施工です。
今回、花見山森のあそび場の次のステップとして、自然と人間の活動が心地よく共存する環境づくりをこどもたちとしていく場づくりを目指して、大地の再生を行うことにしました。
今回は広島近隣エリアで大地の再生を行っている、大地園芸の兼田さんにお越しいただき、大地の再生の最初のステップである「見立て」作業を行っていただきました。

ちょっとした溝を切るだけで水が流れ出す。

花見山森のあそび場の悩みは、駐車場として使っている山のふもとの広場が、雨のあと地面がべちゃべちゃになり、なかなか乾かないこと。
車のタイヤが取られ、靴も泥だらけになってしまいます。
広場は水気が多く、蚊も多く、空気の通りがあまり良くなく、大地の再生のときによく出てくるワードで言うと「詰まっている」状態です。

見立て作業では、ふもとの広場から山の上までじっくり見て歩き、地図と照らし合わせながら実際の現場の状況を読み取っていきます。
その結果、もともとこの場所は水が豊富な場所だが、周辺の開発によって水の流れが分断されてしまっているために現状のようになっているとのこと。
この改善のために、ふもとの広場の水脈整備を行うほか、山の上の方も風が抜けるような作業をしいていくとよいとのことでした。

重ねてある「棚」は、間に空気が通る道を開けるとよい。
水が一気に流れないように、木と杭を施工する方法を学ぶ。

こどもたちに伝えたい

大地園芸の兼田さんは、「こどもたちに大地の再生を伝えていきたい」とおっしゃっていました。
未来を作るのはいまのこどもたちです。すぐ近くの未来ではなく、いまのこどもが大人になり、つぎのこどもが生まれてくるような未来にまで、環境改善の取り組みをつなげていくためには、いまのこどもたちに大地の再生を伝えていきたいそうです。

こどもは生まれ持った感性や五感を通した自然との対話が、大人よりも優れていると考えています。そんなこどもだからこそ、大地との対話的感覚を大事にする大地の再生とは相性がいいはずです。
こどもが「なんとなく、こうかな?」とやってみる大地の再生の作業は、大人の作業よりも的を得ていることが多いそう。もちろん、こどもだからできること、大人だからできること、お年寄りでもできること、女性でもできることなど、様々な人の多様な関わり合いでできることがあります。
そのような結いの取り組みを、ここ花見山で作っていくのもおもしろいかもしれません。

こどもたちが作った基地の屋根を見てテンションが上がる兼田さん。
「この組み方はいいね」とのこと。

この秋以降、こどもたちと一緒に大地の再生に取り組む日を設定し、みんなで大地の再生の手法を学びたいと思います。
大地の再生は一日作業をしたから良くなるというものではありません。普段の日々の中で、人が無理なくできる小さな作業の積み重ねが、やがて大きな環境改善につながっていきます。その小さな作業を行うひとりひとりが、大地の再生の意識をもって作業を行うことで、その効果はより高まります。
ぜひ、開催日には多くの方に関心をおよせいただけたら嬉しいです。


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