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小説 第二章◇宇宙時代への扉・10
《惑星re-ruta》
わたしの大好きな惑星、re-ruta。
ここはわたしの故郷とは別の惑星。
なぜ、ここが好きなのかと聞かれたら、ただ美しいからといつも答える。ここには大気があり水がある。
生命体が多数存在している、このあたりでは数少ない惑星。
このあたりの惑星には本当はたくさんの生命体がいたのだけれど、みんな他の銀河に移住してしまった。生存し続けることが難しくなってしまったから。
そう、あれが起きて……。
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
わたしたちの惑星連合は25の主な移動型生命体を中心とした連合で、そこに長年所属をしていた。
でも、その中の惑星が惑星テレポートを連合の許可なくするという出来事が起きたの。
どういう事かというと、惑星連合に加盟している移動型生命体はなんらかの理由で惑星移住を計画する場合は必ず連合に伝える義務がある。
25の移動型生命体は、それぞれの惑星から必要な栄養源やエネルギー源を受け取っている。だから、突然それが途絶えてしまうと、他の惑星の生命体の生存が危ぶまれてしまう可能性がある。
そして宇宙光の影響。
普段、わたしたち惑星はそれぞれの惑星周波数から発する宇宙光で守られている。
惑星テレポートはその宇宙光のバランスが極端に変わってしまう行為。だから、わたしたちの惑星連合では禁止事項となっていた。
しかし、それが破られた。ある惑星の思惑で。
宇宙光のバランスは崩れ、宇宙空間に穴が開き、そこから巨大なエネルギー場が生まれ、四つの惑星は飲み込まれてしまった。
わたしたちの惑星は隣の惑星の宇宙光を強化してもらい、なんとか宇宙空間にとどまることは出来た。でも、惑星のバランスは崩れ、栄養源となる植物は収穫出来なくなってしまった。
多くの惑星にすむ移動型生命体は同じような環境の変化に耐えきれず、他の銀河への移住を余儀なくされた。
そして、わたしたちの惑星も。
宇宙を旅することは楽しいけれど、それは戻る場所があるからこそ。このとてつもなく広い宇宙に放り出されるようなことがあってはならない。
わたしと叔父は、同じような環境の惑星を求めて旅立つことになった。
でも、わたしたちの惑星はあの時と同じ事をしてしまった。
惑星テレポート。
星をひとつ動かすことはわたしたちの精神技術ではまだ難しい。宇宙の歪みが起きるから。
だから、それをしない方法をとるためにわたしと叔父はここまで来たというのに。
わたしたちの故郷は宇宙の穴に飲み込まれてしまった。
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
re-rutaは奇跡の星。
ここはなぜか惑星周波数が安定している。
だから、宇宙光のエネルギーバランスも変わらず、なんの影響も受けなかった。
わたしたちの神話では、わたしたちの先祖はここに住んでいたと言う。だから、懐かしいのかも知れない。
そして、わたしがシグナルを受信した星もまたこのre-rutaとの繋がりがあるように思える。
なぜかといったら……
はじめ、わたしは息をのんだ。
「re-rutaだわ……」
そう、あの奇跡の星re-rutaと同じ青い惑星。大気も水もあり、様々な生命体と精神存在が同居している。
こんなに遠くまで来たのに、わたしはre-rutaと出会ってしまった。これは何を意味するのかしら。
わたしは一目でこの星を好きになってしまった。