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私の「わたしのすきなところ」
お医者さんが来て、心臓の音を聞いたり、あーんと口を大きくあけて、口内を見たりするのが一般的な健康診断のカタチだと思うが、それだけで済ませてしまうことになんとなく違和感を持っていた。
というより、勿体無いなあと感じていたという方が近いかもしれない。健康診断って自分の身体に目を向けるような時間になってもいい機会なのだから、何かできるといいなあと。
そんなことを思っていた時、ああ、すごく素敵と出会ったのが、軽井沢風越学園で行われていた健康診断でした。
ほっちのロッヂという学園の近くにある診療所と連携して行っているのですが、まずこの考え方にハッとさせられる。
オランダ・Dr ヒューバー氏によって提唱されている「ポジティヴヘルス = ”健康な状態”とは、数値や他者によって判断されるものではなく、自ら決めるもの」です。
うみのこでもできることあるかな…と考え、風越学園での取り組みをヒントに、まずは本当に小さなことですが「わたしのからだのすきなところ」を話す時間を作ってみることにしました。
健康診断当日。
早く園に来てくださり、登園してくる子どもたちを「おはよう」と迎え入れてくれる、担当医の先生。それだけでふっと気持ちの軽くなる子もいただろうなあ。(薫さん、ありがとうございました。)
集まってきた子どもたちと、まずは身体のいろんな部位に魚がくっつく手遊びから始めてみる。
「魚がはねた ぴょーん おしりにくっついた」
なんで子どもっておしりやおっぱいと言うだけであんなにゲラゲラ笑うんだろう。好きだよねぇ、本当。
そこから、みんなの身体にはどんなところがある?、とお喋りをスタート。
め、くち、かみのけ、て、あし、おなか!
出てくる出てくる。
毛って頭に髪の毛としてついているけど、他にも私たちっていろんなところに毛が生えてるよね、と尋ねてみると、
まつげ!まゆげ!はなげ!
ここでも笑いが起こる。
『わたしのお父さんは、ひげもあるよ!』
『ここ(脇)にも生えてる。』
『ママはおまたにもある!』
こんな会話の中からでも、お父さんお母さんと私の違うところ、お父さんとお母さんでも違うところがあることに、自然と気づいていく。
そして本題。
「今日、これからみんなの身体を元気かなと見たり、聞いたりするけど、その前にみんなに聞いてみたいことがあったんだ。みんなの、“わたしのからだのすきなところ”ってどこなんだろう」
『やさしい こころ』
『いっぱいたべられる て』
『いろんなことをかんがえる あたま』
『よくはしる あし』
自分のからだの好きなところを話す子どもたちの表情は、誇らしくて、嬉しそう。その姿がとてもよくて、グッとくる。
“同じ”身体なのに、一人ひとり大切なところが“違う”んだね、ということを、この対話中に言っている人もいて、それを自分と他者のからだを通して感じられるなんて、なんて素敵。
そんな彼らの姿を見ていると、自分を愛することや認めることから、全ては始まるんだろうな、ということを改めて感じる。自分を愛せるから、他者を愛することができて、そこからその対象が、植物や生き物に広がったり、地域、地球・・・といろんなものに広がっていくのだろう。
まずは一番身近な自分自身を、大切に、大好きになれるといい。そこを大事に育める場でありたいなあ。
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