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みんなは保育園に何持ってきてる?友だちにあげる/あげないはどうやって決めてるの?

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うみのこの持ち物は、
・水筒
・帽子
・着替え
それ以外にも、海に入りたい人はウエットや水着を、森や磯で生き物を探したい人は虫かごや網、釣ざおを持ってきていたりする。

最近はそこに加えて、
・ぬいぐるみ
・ビー玉
・キラキラした小さなもの
・ミニカー
・家でつくった割り箸てっぽうや剣、ペーパークラフト
・捕まえた虫
基本的に“持ってきちゃいけない”というものを設けていないので、本当にまぁいろんなものを持ってくる。

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今この文章を読んでくださっている方の中には、なんで禁止しないの?と思われる人もいるかもしれません。でも、大人から見たら“保育園には必要のないもの”を、なぜ子どもたちは持ってくるんだろう…? そう思いながら彼ら・彼女らのことを眺めていると、いろんな背景が見えてきます。

たとえば、ぬいぐるみ。海にだって連れて行くはなちゃん(ぬいぐるみの名前)は、ナナにとって安心できる、心の拠り所。いっちゃんやライナにとっては、友だちと遊ぶための大事な接点になっている。

だから大人にとっては必要のない、不要なものに見えるものも、子どもたちにとっては持ってくる理由のあるものだったりするわけで、頭ごなしにダメというふうにしたくないなあと思うわけです。なくても困らないものが生む、面白さだってあるし。

Q:でも、トラブルだってあるでしょう?
A:はい、めちゃめちゃあります(笑)。

何がなくなった、私のだから触っちゃダメ!、これあげる、それちょうだい。
この“物”がなかったら生まれなかった関わり合いは、いろんな方面で起きます。

先日も、昼寝後に本棚の前でケンとメイがこそこそ何かやっているな〜と思っていたら、ケンがメイの持っているビー玉がほしくて、自分の家にあるという虹色のビー玉と交換しないかと交渉していたり(笑)、誰か泣いているなと思ったら、メイがヒロトにあげたビー玉をヒロトがセンにあげて(なんともややこしい!)、メイは「これメイの!(センにあげたつもりはない)かえして!」、センは「いちどじぶんのものになったらかえせない!!」と言い合いをしていたりした。

メイとセンと話をし終わってから(わたしは必要なときのふたりの橋渡し&交通整理役)、「なんか最近、これちょうだいっていうこととかでイヤな気持ちになっていそうな人多いよね。みんなどう思っているのか知りたいから、明日このメイとセンの話をしながら、みんなに聞いてみてもいい?」と聞くと、「いいよ」とカラッと答えてくれた。

そこで次の日の朝の集いで、「みんなは保育園に何持ってきてる?」「友だちにあげる/あげないはどうやって決めてるの?」と子どもたちに聞いてみることに。

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ー 昨日、メイとセンがビー玉のことで話をしたんだけどね…

ユウ:しってるしってる!メイがびーだまかえしてほしくてケンカしたやつでしょ!! 

(子どもたち、周りをよく見てる。変に首をつっこんでいかないけど、誰と誰の間で喧嘩があったとか、ほんとよく知っている) 

ー そうそう。メイがヒロトにあげたビー玉をヒロトがセンにあげて、喧嘩になったみたいなの。メイとセン、それぞれその時どんな気持ちだったか教えてくれる?

メイ:メイのだいじなびーだま、まちがえてあげちゃったのにかえしてくれなくてやだった。

セン:センはヒロトにもらったから。それに、いちどじぶんのものになったものはかえせないんだよ。

ー ありがとう。最近、メイとセンだけじゃなくていろんなひとがいろんなもので、あげる、あげない、ちょうだいってやってるなあって、ひかちゃん思っててね。そもそもみんな、どんなものをうみのこに持ってきてるの?これは持ってくる、これは持っていかないとか決めてたりする?

ケン:ケンはひとにあげられないもの、こわれたり、なくなったりしたらイヤなものはもってこない。

ナナ:はなちゃん(ぬいぐるみ)。なかよしだから。あと、レディバグ(工作したもの)もってきてるの。

メイ:メイはレインちゃん(ぬいぐるみ)とか、あとキレイなやつ。でももうもってこないよ、きのういやだったから。

ユウ:ユウくんは、びーだまとか。ヒロトはつりざおもってきてるよね!

セン:ママにもっていっちゃだめっていわれてる。

チー:ちーくんはね、なにももってこない!!

ー 人によって、持ってくるものは違うし、ちーくんみたいに何も持ってこないよという人もいるね。持ってくる、持ってこないの理由も違いそう。じゃあさ、その持ってきているものって誰かにあげたりしてる?あげられるものとあげられないものもあったりするのかな?

メイ:だいじなものはあげられない。

ケン:ケンはなんでも“ふつう”だからちょうだいっていわれたらあげられるよ。

ユウ:え、じゃあたんじろう(鬼滅の刃)のけんもあげられるの?

ケン:あげられるよ!

ユウ:ユウくんは、おとうさんとかおかあさんとかおじいちゃんとかおばあちゃんがユウくんにかってくれたものをあげちゃうのは、なんかいやだなあ。

ー ああ、ひかちゃんもその気持ちなんかわかるかも。

ラク:それは、おかあさんがはたらいてかせいだおかねなんだよ!

ユウ:おとうさんもだよ!!

ー そうだね。みんなはまだお仕事していないから、みんなが持っているおもちゃや着ている洋服とかは、おうちの人がお仕事して買ったものではあるよね。

カズ:かずくんも、だいじなものはあげられない。

ソウ:ぼくもだいじなものはあげない。

「大事なものはあげられない」という意見が多く出てきて、なんとなくそんな空気になってきた。それでもいいのだがもう少し考えられたらいいなぁと思い、ちょっと視点を変えられるような質問をしてみることにした。

ー じゃあ、作ったものはどう?今日もソウがお父さんのつくった割り箸てっぽうをユウにあげてたし、他の人も自分でつくった剣とか、折り紙とかどうぞってしてることあるよね。それは大事なものではないのかな?

ライナ:つくったものはいいよ。

メイ:メイはおりがみじょうずだからあげるの。またじぶんにおなじものつくれるから。おりかたもおしえられるよ。

ユウ:ユウくんもなんかいもつくれるからいいよ。

ナツ:ナツくんもあげるっ!

ー なるほどなあ。同じものをつくれるから、あげてもいいよって思うんだね。

ケン:でももういっかいつくれないときもあるし、そういうときはあげられないんじゃない?ケイタもペーパークラフトあげてないよね。

ケイタ:…あげない。またおなじのはつくれないから。

ー そっか、作ったものでもあげないというものもありそうだね。ひかちゃんはね、こうしなくちゃいけないという正解はないと思うの。今、みんなに聞いてみてもいろんな気持ちがあったよね。それでいいんじゃないかなと思うし、うみのこがそれを大事にできる場所でいられたらといいなあと思っています。「わたしはどう思うかな?」って自分の心に聞いてみること、ぜひしてみてね。今日は、気持ちを話してくれた人も、それを聞いていた人も、ありがとう。

***

そうしてこの日の対話は終わった。
こういう時間の積み重ねが、子どものたちの内側に「自分の気持ちを大事にしていいんだ」という自己肯定と、多様な自分とは異なる価値観と出会い「そういう考え方もあるんだね」と受けとめる心を育んでいくといいなあと願う。

ちなみに、トラブルがなくなったのかと言われたら、相変わらずいざこざは起こる。でも、それでいいのだ。他者と共に生きるってそういうことだ。


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