12歳下の男の子と過ごした1年6カ月①
理解が追いつかない。私が初めて恋をした相手は、それに尽きた相手だった。
※私は、人を好きになっても、異性に"恋する"&"愛する"スキルがないと思っている生物です。ほぼ9割恋愛は諦めつつも、いまだにその可能性を信じて、地味に世の中でいう「活動」努力は続けています。
出会い系アプリで出会った26歳♂。
時は2021年。はい、もう3-4年前ですね。
細かく言うと、2021年末にアプリでマッチした男の子。
12歳も年上、干支ひと回り違う私にどう辿りついたのか分からず、「ネズミ講だな」と思いながらも、むしろどんな営業トークをしてくるのか?と、興味本位で連絡を取り始めたNくん。
もうこれは職業病。異性ではなく人として興味を持っちゃったんですね。
2021年のクリスマス12月25日に会おうと話していたけど、直前に当時の流行り病だったコロナにかかったという連絡があり、延期。
この時点ですでに「やっぱりオバサン無理」になったのかなーと思ったけど
結局、2022年になった年明けの1月4日へのリスケ提案があり、はじめて顔合わせをすることに。
中目黒駅前19時集合。10分前に着いた私。
私は自分の見た目に自信がないので、先に着いた改札前の私の姿を見かけて「やっぱ今日無理でした」というドタキャン連絡の可能性も多大に抱えながら待っていた。
そしたら、予想外にもちゃんと現れたNくん。
初対面は『さすがネズミ講(疑惑)!めちゃくちゃイケメンやん!』の感想を持ったほど、背も高くて顔も整っていて。
むしろ『なぜオバサンにいいねしたん?』がさらに強まった初対面だった。
そして気になったのは、右足を引きづっていたこと。
私もある程度年齢を重ねて色々経験しているので、これが先天性なのか突発性なのかわからず突っ込めずにいたら
お店までの道すがら、彼が「実はコロナかかる前に行ったスノボで足やっちゃって…」となんとなしに告白した。
『あぁ、そうなのか。突っ込もうか悩んでたから教えてくれて解決した。先天性なら変に私から突っ込んでもな、って思ってたんだ』
そう伝えると
「さすが大人ですね。僕だったらそんな事も考えず即座に突っ込みます」
と、随分感心していた印象。
あぁ…今になってもその顔がはっきりと思い出されるなぁ。
席につき、『さぁここからどう(ネズミ講の)営業する?』と身構えてたら、
結果、共通の趣味であるアメリカドラマと、好きな日本酒の話で盛り上がり、年齢の差も感じなかった。食事の好みも一緒(これ大事)。
意外にも、めちゃくちゃ楽しかった。
ラストオーダーも終わり、もう帰ろうと話になったのは終電間近、
警戒心も解けた私は
「実はこんな年上の人に興味持つNくんが分からなくて、ネズミ講か宗教勧誘かと思ってたんだよね」
と冗談交じりにも正直に伝えた。
すると彼は、心底驚いた表情で
「そう思われても仕方ないと思うけど、そこまで正直に言葉で伝えられるとは驚きです。ちなみに、まじで違います。」
と、なぜか喜びながら否定していた。
…まぁこの辺から、ハマる予感しかしないよね。笑
そのままお会計を終え、中目黒→彼の家の最寄り駅→私の最寄り駅、の順で向かう一緒の電車に乗った。
私の最寄り駅は、その電車を逃したら終わりだった。
先に彼の最寄り駅に着き、「じゃぁね」とサヨナラの挨拶をしてドアが閉まるその瞬間、彼は私の腕を引いてホームに引き降ろした。
文字だけで書くとロマンチックに見えるかもしないが、
こちとら終電を逃している。
「え?」と思う瞬間に最終電車はドアを閉め、自宅へ帰る手段を失った。
「もう一杯飲んでいこうよ」
と簡単そうに言う彼に
「いや、もう一杯なんてサクッと帰れないんですけど!?終電終わったけど!?」
と怒りと驚きで伝えたことを未だに覚えている。
こんな図々しい誘い方をする人が久しぶりだったのもあるから印象的だったのかもしれない。
実際、電車はもう無理。最終手段タクシーで2万弱くらいかかる距離。
20代後半といえど、彼にはそんな支払いは無理。
会って初日で彼の家に行く(≒体の関係を持つ)気もなかったし、
私は自分の家のベッドに寝たいし(この年齢あるあるじゃない?)、
『2万か…。許容範囲や!もう3時くらいに帰ろう』
という気持ちで、受け入れた。というか受け入れるしかなかった。
『泊まる気もないし、もう途中でタクシーで帰る前提で付き合うよ』
とNくんに伝えると、ネゴりながらも、彼は駅前のスナックに行こう、と誘ってきた。
そのスナックはまさしく駅徒歩15秒くらいのビルに入っており、スナック童貞のNくんは以前から気になっていたお店らしい。
いわゆる昔ながらのスナックではなく、若いママがいるらしく、それを大きく宣伝しているお店だった。
(もう年齢を言い訳にするのも恥ずかしいけど)私は地方のスナックも何度も経験しており、20代後半は新宿二丁目のバーの常連にもなっていて、
いかに普通の居酒屋に比べてスナックが(酒飲みにとって)コスパ◎な空間かを存じているし、
もう『時間潰せるならどうでもいい』の境地に至っていたので、彼の興味に同調するようにそのお店に入った。