ティルトテーブル(傾斜台)の有用性
こんにちは、久しぶりの更新となってしまいました(家庭の事情です)。今回はティルトテーブル(傾斜台)について考えてみようと思います。
ティルトテーブル、皆さんの施設にはありますか?「脳血管疾患リハビリテーション料ⅠもしくはⅡ」を算定している施設でしたら、施設基準の機器要件に『傾斜台』との記載があるので、置いてある施設も多いのではないでしょうか?(傾斜台≠ティルトテーブルとは思いますが…)
みなさんどんなイメージをお持ちでしょうか?
私の施設では『使う人は使うし、使わない人は使わない』こんな感じです。
まあ、当たり前ですね。それなりにデメリットもあります。時間はかかるしセットに手間かかるし…。私も使うときは使います!患者さんによってはとても大きなメリットがあると思っています。(そもそも施設基準に入っているくらいなので、脳卒中領域の理学療法には有効な機械ですよーという事だと思います。)
思いつく使いみちを上げてみました。
ティルトテーブルの用途
①血圧管理 脳卒中急性期や脊髄損傷、長期臥床者では血圧管理が重要になってきます。起立性低血圧や急激な血圧変動がないかモニタリングするために、角度が数字で現れ、同一肢位を比較的低負荷で保持できるティルトテーブルは有効ですね。
②重度介助者 介助量の多い患者さん(麻痺が重度もしくはセラピストに比して体が大きい等、一人介助では安全性や質を確保できない場合)の立位・下肢荷重練習の際には非常に頼りになりますね。安全性は言わずもがな。姿勢保持を機械に任せられるので、セラピストの手が空く、というメリットが生じます。筋活動を触知したり、リーチ動作等、できる練習の幅が広がります。
③足関節可動域制限 ティルトテーブルであれば概ね足関節の角度変更が行えると思いますので、患者さんの可動域に応じた負荷を自重でかけられる(しかも長時間できる)というのはメリットだと思います。私は持続伸張しながら、空いた手でアキレス腱移行部に超音波かけることが多いです(効く方は結構即時的に効果出ますよ!)。
④下肢荷重練習 足下に体重計を置くことで容易に荷重量のコントロールが行えます。また、計算でおよその荷重量(※1)を出すこともできます。自身で部分荷重のコントロールが難しい方や、重度麻痺者の荷重負荷量の調整が行えます。
(※1)斜面上の物体にかかる力の分解の考え方:ティルトテーブルの為す角が直角三角形になるので、三角比を用いるとおおよその数字が計算できます。30°で体重の50%、45°で70%、60°で85%となります。ただ、この計算だと背中の摩擦の影響を考慮していないので、実際の足底圧はもう少し少なくなると思います。
⑤骨密度維持 骨密度の維持には骨への長軸方向への刺激(要するに荷重)が不可欠です。が、さらっと調べてみましたが効果的な時間等も具体的に出てこなかったので、あまり臨床的に有効ではないかもしれませんね(時間効率や優先度を考慮すると)。
こんな感じでしょうか?使いみちたくさんですね!じゃあ実際にどの程度効果あるの?ってとこが重要ですよね。用意に時間もかかるし手間もかかる。重介助やリスク管理に有効なのはわかるけどどのレベルまで使うのか、ベーシックな運動療法やるより効果あるの?ってことを次回考えてみましょう。
では、次回更新をご期待ください!