悲しくはない、たまにすこし思い出すだけ

家を掃除していたら、君がくれたお手玉が出てきた
付き合って3日目に岡山へ友達とドライブに行った時に買ってきてくれたやつ。
2ヶ月前のわたしだったらきっとそれを握って泣いていただろう。

君と最後に会ってからもう2ヶ月近く経った。別れてからも週に1度は必ず会っていたから、こんなに長く会わないのは付き合う前ぶり  つまり1年半ぶりくらいだ
もう会えないと伝えて、お互い涙を流して抱き合って何度もしたお別れの最終回をしたあの日から、わたしたちはありえないくらい変わってしまっただろう。
この前行ったライブ、チケットは2人で取ったのに別々に行ったね。わたしは男友達と行ったけど  君がピンク色のボブヘアの女の子に腕を触られているのを見てしまった。またボブだ、どんだけ好きなんだよな

悲しくはなかった。強がりではない。
悲しくなかった自分がすこしさみしかった。
あんなに命を削って愛していたのに
ちょっと会わなくなっただけで簡単に気持ちは離れてしまった。
毎晩ひとり泣いていたあの日々はなんだったんだろうか。
会わなければすぐに解決していたはず。
でも、別れたあとも会い続けていたあの時間、別れたからこそ仲良くできていたあの期間、愛おしかった。
都合がいいと言われてしまえばそれまでだけど
そんな関係性も素敵だったんじゃないかと思った。
やり直せるなら、さっさと会うのをやめるけど。

君と好きだったバンドのメンバーの名前がテレビに出ていて
数ヶ月前なら君に送ろうかすぐに迷い始めていたはずなのに
しばらく君を思い出さなかった。
わたしが好きなバンドを好きになってくれてありがとう
最初に別れた時に言った言葉
この言葉で見たことないくらい君は泣いていたね。
他の女の子とそのバンドのライブに行ってどうだった?
たまにはわたしのことを思い出して胸を痛めてね。
わたしがそうだったように。

君が教えてくれたバンドの曲を聴かなくなった。
別にもともと好きなんかでもなくて
無理して聴いていたんだよ
うるさいノイズが今は恋しい

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