自由詩 チョコレート 362文字
灰色のコンクリートで組み上げられた巨大な街
僕たちはずっとこのまま二人きりだね
ずっと
カカオ分と糖度の絶妙なバランスチョコレート
舌の上で溶けてゆく
恋の媚薬なんて本当は必要ない
必要なのは加速するときめきとエネルギー
だからそっときみの ポケットに忍ばせるの
金色の包み紙 チョコレート
オフホワイトベースの分厚いタータンチェック
マフラーをして次の各停をわざと遅れて待つの
電光掲示板 あと10分
もっと話したいから 恋のディテール君に渡すの
何枚も 何枚も
こんなにと 無邪気にわらうきみ
ウソをついたね
もし これが 恋の媚薬だったなら
魔法の呪文使えたなら
本音をつらつら唱えても各停は君を乗せてく
遠ざかる 車窓越し笑顔で手を振る君
轟々と燃えるオレンジの夕闇 残された僕
また明日 この街で会えるから
恋の媚薬を口に含んでそしてつぶやいた
おやすみ
END
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