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エッセイ 年始初出勤日に終わった話

文字数︰1837字


私が新社会人になって1年にも満たない頃のお話をします。

それは年末年始の休暇明けのことです。
朝に弱いわたしですが何故かスッキリ起きることができ、ルンルンで会社に向かいました。

事務所に着くと、いつも良くしてもらっている部長がちょうど顔を出していたところで。
挨拶をしようと近づいていくと、部長も私の気配に気がついたのか振り向いてくれました。

「おお! あけましておめでとうございます」

元気でクリアなお声が魅力的な部長。わたしも挨拶を続けます。

「あけましておめでとうございます! よろしくお願いします」


新年1発目の挨拶が部長だとは!
これはツイているぞ!
素敵な朝のあいさつから始まり、新年1日目はとても仕事も捗りました。


捗りまくった1日ももうすぐ終わる、定時間近。
休日に慣れてしまった体はとても疲れていて。

ちょこまかと片付け、パソコンの電源をoffにすれば直ぐに帰れるように準備を整えていく。


キーンコーンカーンコーン


学校のようなチャイムが鳴れば、仕事が終わってようがなかろうが業務グッバイ!

私はチャイムと同時に事務所を出ました。
軽い足取りとはまさにこの事。

いちばん早いシャトルバスで駅へと向かい、そこから最寄りの駅へと電車に乗りつぎます。

そして駅から自宅までのウォーキング。
冬の出退勤は大変なのです。チャリンコが使えないのは痛い。
スケートリンクみたいな道路もあるし、雪もそれなりに積もっているからしようがないね。

ウォーキングという名の帰り道、ドラッグストアに寄りたくなったので、いくら持ってるのか財布を確認しようとしました。
そして、ここでやっと気がつきます。


あれ、財布がないぞ。

あぁ!!会社に持っていったお弁当の手提げもない!


完全にやらかしました。いそいそと帰りの準備をしていたからか、お弁当の手提げの存在を忘れていたんです。
おバカですねえ。

その手提げにお財布をいれて、お昼は食堂でご飯を食べていたため、うっかりしていました。

しかもその手提げ、なんと椅子の上に置きっぱなしだということも思い出しました。
それはちょっと流石にまずいぞと。
家に着いたら会社に電話をかけよう。


私はとりあえず家へと足を進めました。


そして家に着き、電話をかけるためにスマホ出そうとカバンをガサゴソ。

んお?

どんなに手でまさぐってもでてきません。
カバンをひっくりかえしても、コートのポッケを探しても見つからない。

私はそうだ!と思いつきました。

「会社の作業着のポッケに忘れてきたんだ!」


でもこれはかなりマズい状態。
財布もない、スマホもない。あるのは家の鍵と残金80円くらいのICカードだけ。
家の鍵まで無くしてたら泣いてました。


電話をしたいのにスマホがない。公衆電話で掛けるにもお金がない。家にあるのはパソコンだけ。
(家に現金くらい置いとけって話なんです)


私はなんとかそのパソコンを駆使して、Skypeで会社に電話をかけることに成功したのです!
おめでとう、あたし!

そして、見ず知らずの他部署の方に、お弁当の手提げを引き出しの中に入れてもらうというミッションを達成し、年始早々のパニックがひとつ、落ち着きました。
本当にありがとうございました。もちろんメールでもお礼を言いました(笑)

そして、残るは肝心のスマホ。
とりあえずLINEの返信はパソコンでできたので安心です。
私のスマホは白いので、雪の上に落ちていたら…とも考えました。
でも。バスを降りてから触った記憶がなかったので、確実に作業着のポケットにあるはずだ!と信じて眠りにつきました。



そして、次の日の朝、作業着のポケットに入っていると信じていたスマホはありませんでした。

「え!? なんで!?」

パニックになるに決まってます。ここ以外にどこにあると言うんだ!?

まさか本当に雪の上に落としてしまったのだろうか。
始業の時間まで時間はあったので、最後の願いをかけて最終的に落し物が届けられる警備室へと足を運びました。


「あの、白いスマホって届いてませんか?」
「ちょっとまっててね……これかしら?」


やっとスマホとのご対面です!!

「これですー!!」
「あらー! よかったわ!! バスの座席の隙間に落ちてたって運転手さんが届けてくれたのよ」


マジですか。
本当に安心しました。スマホも財布もご無事で何より。
安心して涙が出るとはこういうことを言うんですね。
色々と対応してくださった方々へのご恩は一生忘れません。

そして、もう二度とこんな経験はしたくありません。
今では良い笑い話です。


正月ボケは早々になおすこと、おすすめします。


ことよろこたつとだれのあし

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