CINK FOOTBALL SQUARE ⑩-WORLD FOOTBALL SUMMIT 報告会‐
皆さんこんにちは、CINKインターン生として活動しているひかるです。
9/22.23に開催されたWORLD FOOTBALL SUMMITに、飯塚さん、渡邉さん、森岡さんが参加し、その報告会としてそれぞれが感じたことを共有する会として”WORLD FOOTBALL SUMMIT 報告会”が開催されました。
WORLD FOOTBALL SUMMITとは、サッカー産業を代表する人たちが集結し、2日間行われる各セッションの中でそれぞれが専門とする分野における見解等を共有する会です。この会はワールドツアーとして世界各地で開催されていて、今年はマドリードで開催されました。
今回は120以上の国からオンライン、オフライン含め2100人以上の参加者、200以上のクラブ関係者が参加するという非常に大規模なサミット。
会場はマドリードの中でも比較的郊外にあるワンダメトロポリターノ、
アトレティコマドリードのスタジアムです。
今回の報告会では、3人が参加したWORLD FOOTBALL SUMMITの
①コロナ禍での開催方法
②各々が参加したセッションと感想
③総括
について話しました。
①コロナ禍の開催方法
新型コロナウイルスが流行した去年、2020年はWORLD FOOTBALL SUMMITが中止になってしまい、今回がコロナ流行後としては初めての開催。
具体的な対策案は以下の通りです。
・72時間以内のPCR検査あるいは抗原検査の陰性証明書の提出
→当日会場での検査も可能
→ワクチンパスポート所持者でも提出義務
・会場も今回はスタジアムで密になる室内ではなく開放的な会場での開催
外ではマスク着用義務が無かったり、私が日本からスペインに入国した2ヵ月前はワクチン接種もPCR検査の提出も不要であったりと比較的コロナに対する規制が緩めであるスペインにしては厳しい対策が取られていました。
②それぞれの参加したセッションと感想
飯塚さん:【インドのサッカー産業についてのセッション】
このセッションは、ヨーロッパのマドリードで開催されているにも関わらずインドをテーマとして取り上げるという興味深い内容でした。
インドからはブロードキャスト・スポンサーシップに関するコーディネートをしている人がパネラーとして参加し、ラ・リーガのインドオフィス担当者がファシリテーターとして参加しました。
話された内容は、インドで有名なスポーツというと国技でもあるクリケットが挙げられる中でどのようにしてクリケットの全国的なテレビ放映に対抗するかについて。
ラ・リーガが2016年からインドにオフィスを置き、市場規模の大きさや
サッカー人気が高まっていることからインドでのマーケティングに力を入れています。
アジアでの人気が高いプレミアリーグへの”ラ・リーガの対抗”とも見て取れます。今後のインドのサッカー市場拡大に伴い、日本人サッカー選手の移籍も含めインドサッカー界の進展には注目ですね!
森岡さん:【ドローンとAIを活用するFLY-FUT】
FLY-FUTとはドローンを活用し、選手の動きやパフォーマンスをデータとして可視化するものでコーチングスタッフが次に練る戦術や練習メニューの効率をより高めることが可能です。
このセッションでは「テクノロジーをどう使うか」をテーマに話が繰り広げられました。オランダのAZというチームではジュニアユース世代の選手にもテクノロジーを活用しているのです。
具体的に何をしているかというと、筋繊維など、体の細かい構造を調べ、実際の体の年齢(ポテンシャル)を測っています。9~15歳でサッカー選手としてのプレースタイルが確立されると言われているため、年齢は10歳でも体の年齢が9歳(プレースタイルを確立する15歳までは6年)なのか12歳(15歳までは3年)なのかでも将来のポテンシャルは大きく変わってきます。
これらの年代で背の高い選手など早熟型の選手が代表に呼ばれていますが、案外そのような選手はもう成長しきっていて伸びしろが無かったりするのです。しかし、テクノロジーを活用しこれらのデータをとることで、より可能性のある選手を育成することができます。結果として、AZのU-12の選手がプロになる割合は46%という驚きの数字をたたき出しています。
コーチの持つ主観的な意見を客観的なデータが後押しすることで、成功する確率を上げることができます。今はまだスポーツテックという分野でのサッカー業界への関わり方が主流ではないかもしれませんが、今後これからこのような技術を持つ人材が新たなサッカー産業の人材として重宝されてくるのではないでしょうか。
渡邉さん:【スポンサーシップと今後のサッカー界】
元コカ・コーラのリカルドフォートさんなどがお話しされたセッションでは、今後のスポンサーシップについて話されました。
より若い層を取り込みたいというマーケティング戦略の中で、現在SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用している国が多いです。
しかし、南米や発展途上国ではSNSよりもマスメディアの持つ影響が大きいため大型のスポンサーシップアクティベーションの形がまだ残っています。
各地域によっても異なる文化があり、それぞれの文化にあったストーリーを作ったSNSでの若年層の取り込みと、マスメディアでの二軸での
スポンサーシップアクティベーションを進めていくと発言しました。
また、メッシ・ロナウド・ネイマールなど世界的に有名な選手がいなくなったラ・リーガのコロナ後の進展について議論するセッションにも参加しました。元バルセロナのエトーやテバス会長がお話していた内容と合わせると、サッカーというスポーツが選手の給料など、経済面で規模感が昔より遥かに大きくなっていることに対する違和感をまず訴えました。
さらに、サラリーキャップという制度を設けたことでラ・リーガのチームが世界で戦えなくなるのではないかという懸念に対しては、戦えないリーグを作っているのではなく元々スペインに根付いているサッカー文化を壊さない事に繋がるのだと主張しました。
他リーグの強豪クラブとともに構成されるスーパーリーグ構想に対しては、テバス会長はラ・リーガとしての構想をしっかち保ち、リーガとしてのブランドで勝負していく意思を示しました。
③総括
今回の報告会では3人が感じたことを挙げてもらいました。
1つ目は、スペインはもうコロナ禍を過ごしているよりも、リーガのスタジアム収容人数は100パーセントの認可もおりたようにコロナ後を過ごしているという意識が芽生えていることです。
コロナ禍をどう生き抜くかの考えではなくもう元通りの生活が戻ってきた意識で今後のサッカー業界を盛り上げていく姿勢が見て取れました。
2つ目として、スポーツテックの産業で求められる人材になるにはスポーツテックだけでなく一般的な「AIやドローン産業」での知識を身に着けた上でサッカー業界にその技術を落とし込むことが重要になるということです。
以前まだ発展しきっていないスポーツテック市場、今後規模も広がる見込みがあるのでスポーツテックの視点からサッカー業界への入り口を見つけることもできる思います。
3つ目は女子サッカーの発展・女性の社会進出の意識が感じられたこと。
女性サッカーをトピックとして扱ったセッションや、女性のスピーカーの数が以前より増えた印象でした。日本でもWEリーグが始めったように今後の世界のサッカー業界での女性進出はますます発展していくと思います!
今回の報告会に参加して思ったことは、サッカーは社会情勢、歴史、政治、技術など他分野と交わることなく発展することは不可能に近いです。
そのため、このWORLD FOOTBALL SUMMITは今の世界のサッカー産業を代表する人たちがどの市場やどの分野に興味・意見を持っているのかを知る非常に貴重な機会となりました。
これからのサッカー産業がどのような分野・戦略で発展していくか楽しみですね!