2024年の振り返り

年も明けたので自分にとっての2024年を振り返ります。
毎年恒例で1月2日は書き物をしている気がします。


社外取締役

株式会社400Fの社外取締役に就任した。400Fと僕との関係や取締役としての選任の経緯などはこちらにまとめてもらっている。
社外からの立場で知り合いの会社を手伝う等はここ数年で数多くやってきたが、社外取締役という立場は初めてで、自分にとっても新しいチャレンジだった。

基本的な業務としては、月一度の取締役会に出て決議事項を行うことと、事業場の経営アジェンダについて議論をすることだが、後者において事業上の構造的な課題について外部からの視点で指摘をすること・疑問を投げかけることが、責務の比重としては大きい。

率直に言って、このロールは面白いと感じている。事業の執行の責任に埋没せずに、事業や市場についての仮説と実現に対して引いた目線でロングスパンで関われること、経営で起こる所々の大きな課題を間近で見れることは、普通の従業員や、コンサルなどの立場では得られない貴重な経験だろう。

400Fに関しては、2020年にCEOの中村と出会って間もない時期に、400Fの事業に於いて最も重要な「おカネの悩み」というイシューについて、自分なりに周囲に10人ほどインタビューをしたものと、400F社内の過去のインタビューを組み合わせて、課題の構造を捉えたマップを描画した。

4年経って、この仮説の確からしさ、そして課題を解くことの難しさをよりリアルに感じている。社外取締役には任期があるのでいつまでこの立場で関わり続けられるかはわからないが、400Fの挑戦を見守り続けたいと思う。

デジタル庁CxO

2022年から働いているデジタル庁で、CxO(Chief Analytics Officer)に就任した。国の機関だが、スタートアップナイズされているデジタル庁には、民間企業と同じくCxOという役職があり、2024年時点ではCPO, CTOなど7人のCxOがいる

特に役職等もない、いち職員として2022年に入庁したが、2023年には自分でかってにチーム(デジタル庁の用語ではユニット)を作りユニット長に、そして2024年にはCxOと、その気はないのに気付けば職務は拡大している。

自分の職務範囲を規定せずに、放っておけないことにはクロスボーダーに首を突っ込む習性が、気付けば自分に職責を与えるのは昔からよくあることだ(子供の頃からやたらと学級委員長を任されていた)。ただ、生来的には他人のことまで責任を負うのがあまり得意でないのと、リーダーとしての資質が薄いのを無理やりなんとか遣り繰りして誤魔化しているので、職責には自分の本性に対しては負担が掛かる。

できればそんな負担は背負い込みたくないし、名刺の肩書には拘らない生き方が洒脱で瀟洒だと思っている自分が、それでもこのオファーを受けたのはいくつか理由がある。その話もいつかは書いてみたい。

とりあえずは、頑張ります。

国っぽい仕事

2024年は、バディとしてあれこれと差配をしてくれる参事官級の行政官を得たことが大きかった。彼と一緒に仕込んで準備をしていることが、2025年にも繋がっていくだろう。

興味関心の探求

2024年は例年通り、忙しさに感けてあまり本を読めなかったが、少ない時間の中で、前半は社会学系の本を、後半は哲学系の本を読んでいた。

ここ数年、経済学や社会学に興味を感じ、なんとなく関連する書籍を読んだりしていた。が、自分にとっての「興味関心のジャンルのラベル」をピンポイントで特定出来ずにいた。

例えば、社会学を学んでいても、「この人には興味がある」「この部分には興味がある」ということがあっても、社会学全般では自分の琴線に触れない分野も多く、もっとジャストフィットする分野のラベルの特定をしたほうがいいのではないか..という話を、mihozonoさんとしたりしていた。

今年読んだ本では「公共哲学入門」「近代政治哲学」「資本主義に出口はあるか」あたりが自分の興味関心にはクリーンヒットで、総論として、ラベリングすると公共哲学・政治哲学、ということになるらしい。なるほど、ジャンルとしては哲学の一分野に該当するのか、というのは気付いたときには意外だったが、そう言われてみれば、何やら自分らしさと言おうか、一種の居心地の良さは感じる。しばらくは、このジャンルの学びを深めて行きたいと思う。

社会と現実に対して向き合い、変革を起こす思想家、というカテゴリにも興味を持ち、決め打ちでサルトル関連の書籍をいくつか読んだが、さほど刺さらなかった。「実存は本質に先立つ」「自由の刑に処される」といったフレーズは非常に共感できるし、多くの人に同意を得て動かすためには、希望が持てる思想という風体であることが重要である、という学びは得たが。

「現代思想入門」は面白かった。「寝ながら学べる構造主義」も面白かったのだが、紹介したら著者の内田樹さんからPostが来たのは驚いた。

より仕事に直結しそうな興味関心で云うと、自分は成田悠輔さんが云う通りデータやエビデンスというよりはそれを伝える「伝道師」の方により意識があるんだなと再確認。

書籍関連の出来事

2024年は書籍に関する新しい体験がいくつかあった年だった。

本の帯を書く

まず、本の帯を書くという仕事。

の2つの本の帯を書かせていただいた。本の帯を書かせていただくというのは人生初で、大変名誉なことだと感る。贈与経済2.0の帯については、その経緯や文を起こす際の苦労をこちらに残している。

金に依る自由か、人の結びつきか。資本主義の矛盾を巡る思考の冒険。

贈与経済2.0の帯文(樫田光)

紀伊国屋で対談

杉谷先生の書籍『日本の政策はなぜ機能しないのか』の刊行イベントで、紀伊国屋で対談をさせていただいた。これも初めての経験で、人生でやれたら嬉しいなと思っていたことの一つだったので、良い思い出になった。
当日の写真

コラムの寄稿

はろっぺさんの新刊『UXリサーチの活かし方』にインタビュー・コラムの形で寄稿した。

本屋で一日店長をやった

2024年の書き物

2024年のnoteは4本。少ない。
扱っているテーマ的に、これまでとはだいぶ趣向が違うなと感じる。

1.少子化問題

数字で簡単にわかるニッポンの少子化問題

3人による共著。少子化について興味を持っていたところ、ふわっとしたPostに対して少子化の専門研究者の方からご連絡をいただき、一緒に少子化の現状について記事にするプロジェクトとして書いた。

調査モノとしての記事だが、自分としてはかなり楽しかった。3人の中で、自分は得意分野である「全体の構成」「インフォグラフィック」「データのまとめとストーリーテリング」などを担当した。

違うテーマでもまた挑戦してみたい。なにか社会課題などで数値を使った調査、記事化に興味がある方いれば、X(hik0107)まで気軽にご連絡ください。

2.経営理論

偶然を味方につけて、不確実性の高いプロジェクトを成功させる『5つの原理』 ー エフェクチュエーション

2024年にハマった経営理論の解説記事。
自分がなんとなく実践している、「一定以上のことは予測せずに行き当たりばったりにやる」という雑戦略が正当な理論として存在していることに驚嘆を覚えた。

3.日本政府で働くリアル

行政で働く 

2024年の著作物で印象深いものの一つ。

日本政府で働くことの内幕を垣間見るというのは、普通ではなかなかリーチできない貴重な経験であり、またあまり外部には出て来ない情報なので、守秘に触れない範囲でなるべくそのエッセンスを記事に残したいとは思っている。

4.『贈与経済2.0』の発売に寄せて

こちらは前述の通り。

2024年の登壇

リアルイベントはやはり良い。2025年もリアル開催であれば登壇も良いなと思っています。何かあればお声がけください。


プライベート、その他


そんな2024年でした。
2025年もよろしくお願い致します。

2024.8 ムッスメ@shibuya sakura stage


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樫田光 | Hikaru Kashida
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