行政で働く

デジタル庁に入庁して2年ちょっと経ちました。
これまで、周りの人から、デジタル庁どうなん?ってよく訊かれることがあるので、思っていることまとめて書いてみる。そういった質問をされるのは、採用文脈、つまりデジタル庁で働くことに興味はあるが、全く中身にことがわからない、という意味で訊かれることが大半なので、そういった疑問に答える内容にしている。だが、全く参考にならないかもしれない。


前提として、筆者は新卒から民間企業で育ってきて、デジタル庁で初めて行政の仕事をすることになった。民間出身の「民間専門人材」という立ち場で入庁し2年あまり仕事をしている。何をやっているのか、と言われれば、2022-2023年にやったことの個人まとめがあるのでそちらを参照していただきたい。

さて、この記事に書いてあることは、下記のいずれかである。

  • ①既に公開されている情報をあつめた客観的な事実

  • ②筆者が感じている個人的な所感(守秘的な情報には触れない範囲) 

なので、何か特別な内部情報や暴露などを書こうというわけではない(あたりまえ)。「まあ、所詮お前の感想ね」と思って読んでもらえると嬉しい。

また、仕事の合間に書いていて、いつの間にか思ったより長くなってしまったので、時間がなく校正をちゃんとしていない。乱文にて失礼。

職場環境

  • 筆者はいわゆる民間のWeb系のIT企業の出自だが、オフィス環境は悪くないと感じている。報道されていたと思うが、Yahoo Japanのあったオフィスフロアを居抜きで入居しているコロナ禍の影響でYJ社が減床したところを借りたという背景だったとどこかで読んだ気がする。そのため、フロアの雰囲気はYahoo Japanのまま。ランダムに配置された机、カラフルに塗り分けられた壁、芝生エリアがあったり、とITベンチャーっぽい雰囲気は多少感じる。

  • デスクはフリーアドレス。ただし、フリーアドレスあるあるで、ある程度チームで固まって固定化している場所がそれなりにあり、そうでない場所は、フリーアドレス的に使われている。

  • リモートが認められている。そのため、民間出身のメンバーは比較的自由にリモートと物理出社を使い分けている印象。僕自身も使い分けているが、入庁して日が浅いうちは良く物理で出社していた(省庁では登庁という)。慣れるとリモートでもいけるが、人とのコミュニケーションが多いプロジェクトだと結局、現地にいたほうが話が早いということが多い。

  • ある程度の人間関係の構築や信頼関係がないと、仕事はしづらいと僕自身は感じている。ので、やはり登庁して直接話したり知り合いを増やしたりすることは重要だと思う。それ自体は一般の民間企業でもいえることかもしれないが、省庁という場所がやはり人脈に寄って仕事をする側面は多少ある気がする。ただ、これは職種や個人の仕事のスタイルに依るのかもしれない。

  • 行政の人で職位の高い人と会議をするときには、なんとなく物理で伺うことが多い。いわゆる普通の省庁でいうところの、課長級から局長級以上、あたりが目安だろうか。

民間人採用の労働条件

  • フルタイムではないPartialな関与が認められている。そのため、民間出身で採用された人材でも週5で働いている人だけではなく、例えば週3勤務のひとも存在する。そのため、先に記載したリモートを活用することでそれなりに柔軟な働き方が可能になる。このあたりは人によって良し悪しだろう。私自身はFull Dayで登庁する日を作るなどして集中したほうがメリットが大きいと思っている。

  • 極端なケースだと週1などの人もいるようだが、正直それで何かをできるイメージは私は持ててない。

  • 有給あり。その辺含めて、採用Q&Aや具体のポジションの募集に記載があるのでそちらで確認してほしい。

  • 一般的に週の半分以上の時間労働に充てている勤務先では社会保険加入資格が得られるが、デジタル庁もその例外ではない。私はデジタル庁で社会保険に加入している。内閣府共済組合という団体になる。

  • 身分は"非常勤国家公務員"。採用ページにある通り任期は1年。採用に際して、「任期が1年」であるという点がネガティブに捉えられていることがあるのはSNSなどで観測して認識はしている。任期延長についてどこまで個人として勝手に書いて良いのかは悩ましいため、ここでは割愛する。事実として言えるのは、私は任期1年を迎えてそのまま契約を更新(任期延長)し、2年目として働いていること、そして周囲の民間出身メンバーも複数年働いている人が大勢いる。

行政官について

  • デジタル庁は省庁なので、内部にはたくさんの行政の人がいて、民間出身人材とともに働いている(というか、行政人材が主でそこに民間人材が混ざっているという方が適当ではあるが)。新卒で国家公務員1種を取って省庁に入った人もいれば、地方自治体等から出向できている人、中途で行政官になった人もいる。

  • 色んな人がいるが、行政官の人たちは総じて本当に優秀。特に業務でよく関わるのは参事官補佐(課長補佐)級が多い。30代くらいで、バリバリ働けて頭がよく、勤勉。いわゆる官僚なので、言葉通り官僚っぽいところももちろんある(トートロジー)。

  • 印象論として、官僚に余りいいイメージを持っていない人もいるかも知れない。彼らの動作原理を理解しないと最初は付き合うのが難しく感じるかもしれないが、根本的には国を良くしたいという思い、大きなことをしたいという意思で動いている人が多いと思う。

  • ただ、非常に上下の力関係が強い文化ではあるので、そのあたりはやるべきことと、上司含む各所ステークホルダーの意向など、複数の要件がある中でバランス感を持ってスタンスを取っている人が多いのがごく自然とされている。そのあたりを理解せずに、ただただ正論だけで話をすると相手にされない。

  • 関係者忖度型の保守派の人もいれば、イケイケで攻めるタイプの人もいる。そのあたりは見極めが必要。

  • 特に力を持っているのは参事官(課長)級以上。45歳〜 くらいなので、僕から見たときに、参事官補佐が同年代〜少し下、なのに対して、参事官は少し年輩にあたる。ウマが合えば可愛がってもらえる。国益になる人材か、自分の職責の役に立つか、波長が合うか、など、いろいろな角度で人を判断していると思うが、課長級でもかなりバラエティ豊かで、とてもではないが一括りにはできない。キャラが濃い人が多い。

  • 忖度タイプか攻めるタイプか、は補佐級以上に顕著に分かれている印象。

  • 後にも語りますが、僕は総論として、官僚が好きです。もちろん全員ではないが。

民間出身者はどのような仕事をするのか

  • 職種に依存するところが大きいと思う。デジタル庁はサービスやシステムを運営しているので、民間出身人材だと、サービスづくりに関わっている人が多いかもしれない。プロダクトマネジャーやデザイナーなど。こちらに組織図がある。

  • 僕自身も全ての仕事を把握しているわけではないので、このあたりは詳述は控えたい。どういったプロジェクトがあるのか、については、デジタル庁HPの四半期活動報告などを見てみると良いかもしれない。

  • なお個人的には、興味がある人にはデジタル社会の実現に向けた重点計画(2023.6 閣議決定文書)を読むことをお薦めしたい。私も入庁前に読んだ。政府として考えているデジタル政策がこれでもかというくらいに詰め込んであるが、そのせいで色々な意味で読みやすい文章とは言えないものになっている。ただこれが行政のリアリティなのだと、知るところから始めるのが良いのではないかと思っている。

  • 全ての人ではないが、省庁ならでは、と感じる仕事の機会に巡り合うこともある。僕自身で言えば、

  • など。とはいえ、冷静に周りを見回してみると、こういった行政文脈での活動をしている民間出身者はどちらかといえば稀な印象。多くの民間出身職員は、システム開発のプロジェクトに入って、要件定義としたりベンダーと会議したり、プロマネや調整をしているという向きもある。

  • デザイナーはデジタル庁のデザインシステムを作って一般に公開などをしたりしている。こういったことも、行政ならではのダイナミックな活動といえるのかもしれない。

  • なお、これも職種によるので一概には言えないが、何をするかについては、やりきる胆力がちゃんとあれば比較的自由に裁量があると僕は感じている。上記で挙げたアウトプットは、どれも自分から自発的に始めて、成果になったものだ。いずれも非常に多くの人の協力・巻き込み・調整・説得などが必要ではあったが、そういったことを厭わなければ、面白いことをやるチャンスはそれなりにあると思う。

  • なお、上記の点に絡めて、デジタル庁の仕事について話を訊きたい、という人によく訊かれる質問についての僕の見解を書いておきたい。これまでに何十回も訊かれている。

    • 「やっぱり大きな仕事でやりがいありますか」

      • 上述の通り、大きな仕事かができるかも、やり甲斐があるかもその人次第。意味のある仕事、大きな仕事は自分で掴み取るスタンスが大事。「ある組織に入ればこれらが自動的に付与される」という認識でいるようであれば、行政のように面倒なことも少なくない環境にわざわざエントリーするのはやめておいたほうがよいと、僕は思う。逆に、頑張ればなんとかなることも少なくない。もちろん、なんともならんことも存在する。

    • 「たくさんの人にインパクトを与えられる仕事ですよね / 多くのユーザに価値を届けるサービスを作れるんですよね 」

      • この質問は政府に対する解像度が低いと思う。まず、政府の運営するサービスは必ずしもユーザ数が多い訳では無いという事を理解する必要がある。

      • 本来政府の仕事のインパクトは間接的に発現するものが多い。例えば、政府が方針を作り、自治体がそれを実行し、自治体を通して住民が何らかの便益を受け取り、それが価値となる、など。直接的に自分の仕事の大きさやインパクトが感じられるかということと、実際に最終的に大きな価値に帰着する、ということは必ずしも連動しないことが少なくない。ここは一定の想像力が必要になる。

      • いずれにせよ、何をするにも時間が掛かるし、日々「俺/私インパクト与えてる!」と思いながら仕事できるわけでは全くない。というかそんなこと感じることは本当に偶にでは、と思う。そこだけが主なモチベーションの源泉となっているだけだと、長期で走れるのかな、と個人的には心配にはなる(※ あくまで個人の感想です)

幹部(大臣など)との関わり

  • 省庁は、こちらの組織図の通り、最上位に政務(大臣・副大臣・政務官、このうち大臣は「閣僚」に当たり内閣の一員である)がおり、その下に「事務方」と呼ばれる行政官組織が存在する形になる。事務方の最高位がいわゆる「事務次官」である。このポジションは、省庁によって多少名称が異なる場合があり、警視庁では「警視総監」、デジタル庁では「デジタル監」、こども家庭庁では「長官」である。

  • 政務は国会議員であり民選、なのでいわば国民の代表である。一方で事務方はそうではないため、そこには区別がある。

  • デジタル庁は少し変わった組織で、デジタル監(事務方のトップ)が民間出身者である(解説記事)。ちなみに、デジタル監は民間出身者を登用することがデジタル庁の設置法レベルで決められているとどこかで訊いた気がしたのだが、設置法を見てみるとそんなことは別に書いていない。間違った情報だったのか。誰か詳しい人教えて。

  • いずれにせよ、民間出身であることもあり、民間人材からするとデジタル監は比較的身近に感じている人も多い。僕は組織上、デジタル監が直のレポートラインなので、話す機会もそれなりにあり、雲の上というよりはそれなりに身近な存在である。

  • それに比べて大臣は身近な存在とは言い難いが、会う機会はそれなりにある。大きなリリースなどをする際には説明(通称レク)に伺うことがあるほか、庁内を挨拶回りしていてフランクに話しかけてくれたりする(現時点でのデジタル大臣、河野大臣の場合。全員がそうではないと思う)。

  • 仕事で話す機会が何度かあったり、関心がある施策を担当している場合などには、民間の人材でも河野大臣は顔を覚えてくれているフシがある。河野大臣といえばTwitterのフォロワーが多いことでも有名だが、オンライン上でもRT等で良く応援してくれるので、そういう時はやり甲斐を感じる。

  • 一度、デジタル庁を訪問された岸田総理を生で見る機会もあった。

何がモチベーション?楽しい?

  • 民間企業でもそうだが、人のモチベーションというのは十人十色だと思う。デジタル庁でも、ご多分にもれずで人に依る。ただ、これについてはやたらと訊かれることが多いので自分なりのモチベーションが何なのかを少し書いてみる。

  • モチベーション関連で尋ねられることの筆頭として「社会インパクトが大きいからやっているのですよね?」というものがある。もちろんその要素が無いわけでもないが、上の方でも書いた通り、精神の支柱がそれだけだと、長期のマラソンを戦うのは厳しいのではないかと感じている。行政の仕事は長期で立っていられることにこそ意味があると思う。

  • なので自分は、下記のような点に日々の楽しみを見出すようにしている。

    • 「なるほど行政のひとってこういうロジックで動いてるんだ、民間とはこういうところが違うな」といったような、よくわからない環境でゲームのルールを掴むのが面白い感覚。

    • 「なるほど行政ってこういうふうに社会に影響を及ぼすのか」といった、社会勉強的な側面。

    • 「いやーこれを変えていくのは面倒くさいな。でもだからこそこれまで誰も変えれてこなかったんじゃないかな。だとすればこれを変えられたら凄くね?」という、単に難解なゲームを攻略する楽しさ。

  • など、ちょっとした好奇心を満たすようなものは、日々の業務でも自分を満足させられる。特殊な環境の楽しみ方のようなものだが、それとは別に大きなモチベーションの根っこのようなものも、ちゃんとある。それについても少し書いてみたい。

  • 若手の行政官(官僚)は優秀で、いい人が多い。そういった人たちが、待遇度外視で寝食を惜しんで国家のために働いている姿には本当に頭が下がる。しかし、政府の空気や仕組み自体がどうしても古臭く封建的で若手が十分に活躍できないようになってるんじゃ無いかな?そういう若い人たちのためにも一緒に政府という組織をよりよくできたらいいな、という気持ちがある。

  • 専門性を持った民間人材として政府に入る。そんな立ち場だと、ついつい自分自身が直接的にどういったインパクトを残せるか、という点に関心が向かいがちになってしまう。しかし、国家公務員(一般職)は30万人もいるわけで、デジタル庁に民間人が数百人入ったとて、政府全体のスループットに対して、残念ながらその影響はたかが知れている。政府という巨大な装置は、改めて言うまでもなく、新卒から国家公務員として入省した官僚たちが主役の世界であり、彼らが生産性高く、大義に向かって働けるかがこの国の生命線と言える。しかし、どの角度から観測しても、現在の日本政府の運営が効率的とは言い難い現実がある。

  • 政府には、変革に向かう新しい文化が必要だと思う。とはいえ、それは、いくら根が優秀でも内部の構造に捕らえられた者たちが興すのは原理的に難しいと思う。外からの新しい文化の破壊者、変革者が必要になる。自分はその一端を担いたいと思うようになった。外部からやってきた野蛮な来訪者として、はじめから内部にいた人たちではできないようなことを、やる。正直、やることは別に何でもいい。行政官たちが本心ではやれれば良いと思っていて、やることで何かが変わる、政府は変われるんだと思えるようなもの。その石杖となりそうなことに関われるといい。たまたま自分はデータの分野にその一端を見出せた気がするのでそれをやっている

  • なので今の自分の悦びは、周囲の国家を想う心ある行政官から、こんなことよくやってくれたな、これは自分たちだけじゃ出来なかったと思う、と言ってくれるのを聴くこと。特に「民間の技術があったから出来た」、ではなく「古い文化を壊すつもりでやってくれたからできた」と思われたい。どんなに凝り固まった血流の悪い患者のような政府でも、変われないことなんて無いんだと、少しでも多くの人が思ってもらえると嬉しい。

  • そもそも「自分が自分が」というモチベーションの持ち方は、それ自体が政府というものの存在価値と相性が悪いと思う。デジタル庁のある参事官が「政府とはPlatform of Platforms」だと言っていた。要は縁の下の力持ちと言ったところか。なので自分たちが目立って直接何かを為すというよりは、より多くの人が成果を出すための下地を整えるのが仕事なわけで。

  • プラットフォーム論について、IT業界ではBill Gates Lineという論考があるが、そこで定義される「プラットフォームの条件」を僕は心に強く留めている。それは、「A platform is when the economic value of everybody that uses it, exceeds the value of the company that creates it. Then it’s a platform.」(The Bill Gates Line,2018)というもの。つまり自身が為すことの総和より、自身が立てた基盤の上に作られる価値のほうが大きい状態を指す。これは良い指摘だと思う。

  • 僕自身がなにかプラットフォームになろうとかそういう話ではないが「自身が為すことの総和より、そのなにかの上で他人ができることの総和」が遥かに大きくなる、優秀な官僚たちが、もっと大きなことを為すための、そのための前提や環境を作るための礎になれないか、ということを強く意識している。

  • ただ、こういった思想は最初から持っていたものではなく、やっていくうちに見つけ出したもの。仕事への楽しみの見出し方や、モチベーションの源泉というのは日々変わっていくものだと思う。デジタル庁に入ってから、自分は何をすべきかを周囲を注意深く観察しながら、考え、模索し、多くの人と話し、上記の結論に辿り着いた。最初から確たるモチベーションを持っている必要はないし、最初の考えに縋り続ける必要もない。ただ、日々新しく知ることの中で更新し、変化し続ければいい。

  • 長くなったが、総論、自分は今の仕事は結構楽しい。

調整とか政治とか面倒じゃない?

  • あります、面倒です。

  • とはいえ、ぜひ考えてみてほしいのですが、世の中にはたくさんの賢い人たちがいるので、「社会的な価値があり、かつ面倒ではない課題」は放っておいても誰かが疾うの昔に解いています。そういう都合の良い課題を求めている人が多すぎるんじゃないかと、個人的には懸念しています。「社会的な価値があり、それでいて面倒事がない仕事」がやりたいって?そんな仕事あったらだれでもやりたいですよね。なぜそれが自分に都合よく回ってくると思った?よほど時流に敏感なセンスを持っているか、なんらかのリスクを取らない限りはそんな仕事は簡単に手元に落ちてこない。

  • 厄介な課題だから残っているわけで、逆にそれはチャンスとも言えると思います。僕は宇田川先生の『他者と働く』を読んでから、「技術的問題」と「適応課題」という切り分けを好んで使っていますが、志を持ってなにか大きなイシューの取り組むのであれば、多くの人が絡み合った複雑な適応課題に挑むというのは、避けて通れないでしょう。そこは前提条件として受け入れるしか無い。

  • 調整とか政治は、チェスと変わらないと思います。ルールを覚えてしまえば、あとは状況を良く見てそれに応じてプレイするだけ。ルールが明文化されていないので学習には時間を要するのと、盤面が完全にオープンでは無い(=完全情報ゲームではない)ので、その点はチェスとはやや違いますが、ますが、経験を積めばなんとかなる。とはいえ当然好き嫌いはあると思いますが、適応課題につきものの面倒さとして受け入れているので、まあやるっきゃないかなと言う気持ち。

その他、思うこと

  • 政府にいると、政府は常に多くの批判をもらっていて、大変だなと思う。国民やメディアが政府を批判するのは、権力監視として、また国民主権の国家として極めて自然なことかと思うが、政府も実は多くの偉大なことをやっている中で、どうしても批判が目立つし、先に立つ。そのせいで、政府のスタンスは「批判されないよう、無駄に情報を出しすぎない、なるべく目立たず、無難にやり過ごす」という方向に強化されていく。国民や政府を信頼していないし、政府も国民を信頼していない。これは非常に残念で、かつ全プレイヤーに取って不幸だと思う。

  • 誤解がないように書くと、政府を批判するなということではない。ただ、おそらく大多数の人は「政府」という巨大で無機質な装置のようなものに石を投げているつもりなのだと思う。しかし、その中に入った僕は知っている。その「政府」というのが、実在する生身の人間の集合体で、多くはこの国と国民のためを思い*1、当然ながら人間らしく傷ついたり苦しんだりしながら、よりよい国家の将来を信じて日々激務に明け暮れている。

  • 政府側に非がないとは全く思わないが、今の政府と国民(およびメディア)の間のコミュニケーションは生産的とは到底言えない。長期的には、このあたりにも興味はある。そこに対してなにか造詣があるわけではないが、自分は実はメディアの領域は相性が良いのではないか?と勝手に思っている。いつか、そういったチャレンジも考えてみたい。

*1)  残念ながら歳を重ねて、大義を忘れて別のゲームに興じてしまっている人もいるが、それを個人の責任に帰しても何も解決することはなく、多くは構造そのものの問題だと思う。

おすすめの書籍等

デジタル庁に入る前後は、デジタル政府関係の本をよく読んでいました。
しばらく働いてからは、霞が関(政府)や永田町(政治家)の論理を勉強するための書籍などを好んで読んでいます。

最後に

5/21 16:20 追記
一緒にやらないか、ではないですが、デジタル庁は人材を募集しています。この記事を読んで、この国のために、官僚たちや僕たち民間専門人材と一緒に働きたいと思ってくれた人がいたら、是非どのようなポジションがあるのかだけでも見てみて下さい。

筆者のチームでは下記の2ポジションを募集しています(2024.5.21現在)。
志のある方、この文章を読んだ上でチャレンジをしたいと思ってくれた方、お待ちしています。

  • データプロジェクトマネージャー(アソシエイト):政策データの可視化を行い公開していくプロジェクト全体のリードをするPMの、補佐的なポジションです。ジュニア目でもよいので、やる気がある方を求めています。

  • データストーリーテラー:政策データの可視化のプロジェクトにおいて、デザイン全般を担当するデザイナーポジションです。データの可視化の方針設計やコミュニケーションデザイン等に関わっていただきます。耳慣れない職種名かもしれませんが、海外ではデータを使ったコミュニケーションの分野では馴染みのある職種ということで、思い切ってこの名称を採用しています。


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樫田光 | Hikaru Kashida
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