『データ分析』という言葉の解像度を上げる『3×2』の考え方を君にだけ教えよう
こんにちはHikaru Kashidaです。
"データ分析"というのは、非常にいろんな場面に使えるな〜、と常々思っているのですが、その反面あれもこれも同じように『データ分析』と呼ばれていて、言葉として解像度が低いよなあと思うことも増えてきています。
この記事ではそんな、『データ分析』というかわいそうな便利ワードの解像度を少しあげられるかもしれない考え方をお教えします。
読んだ方から頂いた反応
序文. あなたが痩せたいとして
突然ですが、「痩せたい」と思ったことはありませんか?
ぼくは社会人になってから痩せたいと思うことは多いです。しかし、なかなか痩せるって難しいですよね。
世の中には本当に様々なダイエット方法が溢れている...
ぼくもいろんなことを試したことがあります。
小麦を全く取らない生活をしてみたり、晩御飯を抜いてみたり、ジムを契約して3回だけ行ってそこから1年間全く使わずに会費を払うという、スポートジムに対しての慈善事業をやってみたり。
さて、そういったダイエット・メソドロジーはさておき、データアナリストという職業の立場からいうと「再現性のある」やり方で体重をコントロールしたいと思ったら、僕は次のような3つのやり方が良いのではないかと考える気がします。
考え方はビジネスにおいても同じ
① 知る => ② わかる => ③ 変える
なぜ、ダイエットの話なのにこんなかっちり目のフレームワークっぽいのを持ち出したかというと、「それってビジネスでも同じですよね」という話に無理やり持っていきたかったからです。
単にビジネス目線でいきなりこの話をするよりも、「ダイエット」みたいなカジュアルな話題から入って本題につなげていけた方がカッコいいかなあ、という下心です。
それはともかく、ビジネスの現場においてこの3つのステップはすごく重要だと考えていて、これを愚直にちゃんと行えるかどうかが中長期的に見たときに成果に大きく跳ね返ってくるんじゃないかなあ、と思っています。
まずは何をおいても「知ること=現状理解」が大切ですよね。
自分たちのビジネスはいい感じなのか?いい感じでないとすれば、どれくらいまずい状況なのか?
自分の体重/BMI指数を知らないと痩せるも痩せないも無い、というのは万人が賛同してくれるのではないかと思います。
これは21世紀に生きる人類の最低限の規範となる考え方だと断じて良いでしょう。(言い過ぎか)
ほんで、その次に来るのが『わかる』のステップ。
これは『現状・及び目的との因果の把握』とも言えるかもしれません。
なぜ自分は今太っているのか、どういうことをすれば効率よく体重が落ちるのか。もしくは、こういう痩せ方をすると、体を壊しやすくなる、など。
そういった自分の体についての理解を深めれば、効果的・健康的に痩せられるというものです。
ビジネスにおいても、ちゃんと自社の売り上げだったりユーザのロイヤリティを構造的に理解しておいて、どのようなドライバーを押せば期待しているKGIが適切にUp出来るのかを把握するのは超大事ですよね。
ココまで来て最後に、『実際に変える』フェーズになります。
『知ったこと』と『わかったこと』をもとにして、筋トレするなり、リンゴをひたすら食べるなり、ダイエットの道を突っ走るのみです。単に行動するだけではなく、ちゃんと思ったとおりの効果が出ているか、適宜確認しながらサイクルを回すことが大事ですよね。
これはまさにビジネスで言うところのPDCAサイクルです。
データ分析の役割
さて、そんな感じでこの3つのステップが、ビジネスを回していく上でもとっても大切だと僕は思うのですが、
① 知る => ② わかる => ③ 変える
実は『データ分析』という武器は、この3ステップのいずれに於いても、(上手く使えば)かなり役に立ちます。
これはとても喜ばしいことなのですが、この幅広い有用性が少しばかり状況をややこしくします。というのは、同じ『データ分析』でもこれらの3つのステップのどこで使うかによって、
・ 必要な分析の内容がちょっとづつ違う
・ 分析の使い方や目的がちょっとづつ違う
からです。
よって、これら全てを『データ分析』という同一のワードで括ると、人によって理解の仕方が違ったり、期待しているものがズレたりと、微妙に良くないことが起きがちです。
例えば、『わかる』ための分析の専門家は、必ずしも『変える』に役立つ分データ分析が得意なわけではありません。
『データ分析』という言葉の解像度が低いために、世の中ではいろんな問題が起こっているように感じられます。
余談:これはOODA Loopとも似ている
ところで最近『OODA Loop(ウーダ・ループ)』なるフレームワークについて説明した本が多く出版されているように思うのですが、
偶然ながら、上で紹介した
① 知る => ② わかる => ③ 変える
というステップはこのOODA Loopとかなり近いです。
OODA Loopを簡単に説明するためにこちらのサイト(データのじかんさん)から図をお借りしました。
OODA LOOPには『決める(Decide)』というステップが一個挟まっているのですが、それ以外は僕が切っているフレームとほぼ同じになります。
世間一般に広く普及しているフレームワークのほうが使いやすい!という方は『① 知る => ② わかる => ③ 変える 』よりもOODA LOOPの方を参考にしてみると、よりわかりやすいかもしれません!
この3つのステップにさらにもう一軸を加える
何はともあれ、ビジネスシーンに於いてはこの3つのステップを意識してもらって、その上で
『いま自分たちは、この3つで言うところの何処のステップにデータを活かそうとしているのだろう?』
と考えると、あなたのやらんとしているデータ分析がどういった意味合いを持つのかの解像度が一段階上がるケースが多いのではないかと思います。(このあたりも軽く後述します)
さて、ここからが更にオススメの考え方ですが、「ビジネス」と「プロダクト」を敢えて区別して考えるやり方です。やり方です。(特にC向けのウェブサービスなどとは相性がよいのです)
そうすると、「ビジネス」と「プロダクト」とはどういう区分か、という話になりますが、超ざっくり言うと僕の中ではこんな感じです。
次になんでこの2つをわざわざ区別するのか、という話ですが、これは僕の観測している範囲の知見ベースだと、
・必要な知識が違う
・分析を利用/活用する社内関係者の層が違う(事が多い)
・それぞれでやりたいことが結構違う
・現状ではこの2つの分析をやっている人が割と別れてる
などとなっていることが理由です。
データ分析のTBTマトリックス
そんなこんなで、これが今回の記事で言いたかった『3 × 2』の考え方です。
名称がないと話しづらいので、適当に『データ分析のTBTマトリクス』と名付けました。TBTは3×2(Three by Two)の頭文字を取っただけで超適当です。カッコいい名前があれば誰かつけてください。
『データ分析』というふうに誰かが言ったときに、その言葉がこの6象限のどこについて話しているのか、その解像度を以てきちんと語られているケースは(残念ながら)非常に稀です。
ここでもう少し理解しやすくするために、TBTマトリクスの各象限に具体的なデータ分析の活用例を入れてみます。あくまで一例ですがこのような感じでしょうか。
6/4 追記
公開後、読んだ方から、下記のような他の例もいただきました
(許可いただいて引用させていただいています)
分かる人には分かっていただけるかと思いますが、これらの分析は似て非なるものと言うか、意外に毛色が違うものです。
・あなたの上司が「ちゃんとデータに基づいてやれ!」といったとき
・データ分析が出来る人を採用したいとき
・データ分析のスキルがほしい、と思ったとき
是非一度立ち止まって、「TBTマトリクスで言うところの何処の話をしているのだろう?」と考えてみてください。あなたの目の前にある「データ分析」というバックリとした言葉の解像度が、もう一段詳細になり、より適切なアクションが取りやすくなるはずです。
もちろん人によっては、これらは別段の区別なくデータ分析を縦横無尽に行える系のかたもいることでしょう。
僕もどちらかといえばTBTマトリクスの全領域それなりにいけるクチで、対応できることは多い一方器用貧乏とも言えます。
データアナリストはどこまで出来るべきか
個人的には全部できるのがよいと思っています。
ただこれはこれはあくまでいち意見で、僕としては「データアナリストの定義」や「あるべき論」として言及するつもりはありません。
定義系の議論は無意味とは言いませんが、結局のところ宗教戦争になりがちなので、ベースとしては個々人が自分の理想を定義してそこに向かって頑張れば良いのではないかと思います。
この記事ではあくまで「解像度」を提供したい気持ちであって、「定義」などの話をしたい意図はありません。定義系の論争が必要以上に勃発しないことを望んでおります。
TBTマトリクスと既存職種との関係
と、いうことをご理解頂いた上で、敢えて次の図を作りました。
これは、TBTマトリクスにおける分析のお仕事を担っていることが多い既存の職種をマッピングしてみたものです。
会社によって職種の担う範囲や名称はかなり異なるので画一的に捉えることは出来ませんが、大体このようなカバー範囲担っているケースも多いのではないかと思います。
なぜその分析は必要なのか
「知る」「わかる」「変える」のそれぞれで、データ分析に求められる役割は少しづつ違うという点にも少し触れてみましょう。
だいたいこんな感じになっているのではないかと思います。
知る
わかる
変える
こうして書いてみると、(半分自分の持論がモロに出ているなあと、思ってしまうだけなんですが)いずれにおいても「メンバーの目線を合わせる」というのはデータ分析を上手く活かせる領域でないかと僕は思っています。
このあたりを突き詰めると、こちらの記事でも一部話した
僕が目指すデータアナリスト=「LogicalなVisionary」仮説
の話になるのですが、それはまた時間があれば別の機会に。。。
会社全体や、起業家/事業リーダーが掲げる「Corporate Vision」については、(誤解を恐れずに言えば)なんらかの根拠や整合性を強く求められるものではありません。
その一方で、プロダクトにとってのデータというのは、「何故それを重視するのか」をある程度の論理/根拠をもって説明されるべきなタイプのVisionといえます。
これができるひとを僕は「LogicalにVisionary」な人材と定義しています。
ここらへんについてはまたいずれ....
終わりに
そんなこんなで、今回お話したかったのは「TBT(3 × 2)マトリクス」と「データ分析の解像度」の話でした。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
また別の記事でお会いしましょう。
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僕が過去に書いたデータ分析やら何やらについての記事で人気があったものは、こちらのマガジンにまとめてありますので気になる方はぜひチェックしてみてください。