終わりよければすべてよし〜サンダーランドAFC 21/22シーズンの軌跡~
やっと、やっとだ。この時が来るのを待っていた。暗闇の時代を抜け出す第一歩を、今ようやく踏み出せた。
遡って5月21日、舞台はウェンブリー・スタジアム。未だ就任3か月のアレックス・ニール率いるブラックキャッツの選手たちはピッチ上で躍動し、フットボールの聖地に押し寄せた46,000人ものサポーターの前で、プレーオフ優勝を証するトロフィーを晴れ晴れしく頭上に掲げた。そこで見せた選手たちの表情は、このチームが4年間経験した苦悩とは無縁のものであった。
が、そんな21/22シーズンは決して順風満帆なものではなかった。
ありきたりな表現すぎるのはさておき、これからダラダラとチャンピオンシップへの昇格を果たした21/22シーズンを思い出していくことにしようと思う。いわゆる「今シーズンを振り返ってみよう!」みたいなやつです。こういうの初めてなのでグダると思うけれども、暖かい目で見ていただければ………
2021.8 スタートダッシュ大成功
プレシーズンマッチでは、スコットランドの強豪ハーツや昨季L1を制したハル・シティに勝利するなどして無敗だったサンダーランド。リーグ戦が開幕してからもその好調さを維持し続けた。開幕戦、ウィガン相手に逆転勝利を収めると、カラバオカップでのブラックプール戦はオブライエンのハットトリックで勝つなど、控え・若手組も目に見えた活躍を残し、チームの士気は高かった。バートンとのアウェイゲームで敗北を喫したのは痛かったが、それでもこの試合以外は全て勝利、結果的に8月は勝ち点12で首位に。リーグ1は4シーズン目、今季こそ昇格を、と意気込んでいた我々にとっては最高のスタートダッシュを決めきったと言えるだろう。
2021.9 新戦力の台頭と膨らむ昇格への期待
9月に入ってからもサンダーランドの勢いは止まらない。月のはじめのアクリントン戦、ダン・ニールのプロ初ゴールもあり2-1で勝利すると、勿体ない引き分けはあったもののその後公式戦3連勝。ホフマンとサーキンはこの頃からスタメンの座に定着、ブロードヘッドはウィガン戦で、デヤクはチェルトナム戦でそれぞれ加入後初ゴールを決めるなど、今季新たに獲得した若手が揃って大活躍。9月を終え、ブラックキャッツは唯一勝点を20点台に乗せてリーグテーブルの一番上に堂々と君臨していた。「今年はいけるぞ」そんな雰囲気が表れてきていた。恐らくほとんどのサンダーランドサポーターが今年もそう感じていただろう。
2021.10 カップ戦は相変わらず好調。しかし………
が、そんな好調ぶりもいつかは終わりを迎えるもの。大雨のフラットン・パークで4失点大敗。🍕と下位相手のリーグ戦それぞれ2試合は勝利し、どうにか持ち堪えたかに見えた。しかし、これまで全勝していた要塞スタジアム・オブ・ライトで今季初の敗戦を喫すると、昇格ライバルのロザラム相手には5-1で惨敗。消化試合が少なかったこともあったが5位転落(ちなみに10月時点での首位はプリマスだったそう)。それでも、カラバオカップでは4回戦でPK戦の末に勝利し、ベスト8へと駒を進めた。
2021.11 リーグ戦3連敗 ぶつかったシーズン最初の壁
11月に入ってもサンダーランドの調子は上がらず。ウェンズデイに敗戦し10月からのリーグ戦を3連敗、FAカップでもFL2で当時残留圏ギリギリに沈んでいたマンスフィールドに苦杯を嘗める結果に(この時期からマンスフィールドは劇的な急浮上を見せ、結果的に昇格POのファイナルにまで勝ち進んでいる)。パパジョンズを挟みその後リーグ戦、難しい展開の試合が続くも2勝1分の無敗で乗り越え、どうにかPO圏内は守り切り5位で12月へ。
2021.12 攻撃陣大爆発 高まる昇格へのムード
パパジョンズではまさかのノックアウトステージ1回戦敗退を喫し連覇の可能性が途絶え、なかなか上昇気流に乗れない中その流れを変えたのは、マージ―サイドからやってきたローニー、ネイサン・ブロードヘッド。モアカム戦で2ゴールを挙げチームの大勝に貢献すると、次のプリマス戦ではオシャレなヒールシュートをゴールへ。そして、カラバオカップ準々決勝での強豪アーセナルとの一戦でも追撃弾となるゴールを決めて4試合連続ゴールを達成。が、この試合でハムストリングを負傷してしまい長期離脱に… それでも、のちの2試合で8得点無失点、先月初めに敗北したウェンズデイ相手にはスチュワートのハットトリックもあり5-0で大勝。首位で2021年を締めくくることができた。
ちなみに監督(当時)のリー・ジョンソンは今季2度目のManager of the Monthを受賞。2022年も期待してますよ!…
2022.1 凄惨な年明けと「6-0」
この月は最初から最後まで本当に酷かったです、ええ。本当は説明省きたいくらいですが…
ウィコムとの試合、後半ATに勝ち越すもラストワンプレーで追いつかれ引き分け、続くリンカーン戦は某クリス・マグワイア選手にハットトリックを許し意気消沈、アクリントン戦は先制して相手に退場者が出、数的有利になるも終盤に追いつかれこれまたドロー。ポンペイ戦でようやく2022年初勝利を挙げるものの、ボルトンとのアウェイゲームで、守備が御陀仏に(泣)。6-0。そしてリー・ジョンソン体制が終焉を迎える。COVIDや怪我の影響で主力選手が揃わないトラブルがあったとはいえ、3位に転落。この月でサポーターが唯一熱狂したのは、ジャーメイン・デフォー選手の帰還だろうか。トーナメント方式のコンペティションがなくなりリーグ戦に専念できるはずなのだが、一気に雲行きが怪しくなった。
あのさぁ
2022.2 止まらない負の連鎖。しかし………?
後任監督が決まるまでの間、コーチを務めていたマイク・ドッズが暫定監督として就任。しかし、最下位のドンカスター、続くチェルトナムに敗れリーグ戦3連敗。この時のドッズに対する批判はそれはそれはたいそうなものだった。
そして、過去ノリッジやプレストンで好成績を残しているアレックス・ニールが新監督に就任した。チームの早期立て直しを求められた新指揮官だったが、初陣は引き分け、更に昇格ライバルのMKに敗戦。残り12試合の段階で初めてPO圏外に沈んでしまった。次節のバートン戦は後半ATで追いつき引き分け、ところが、首位のウィガン相手にはまさかの(この表現が正しいのか不明だが)3-0と快勝してしまう。本当にこのチームは良く分からないものだ。兎にも角にも、絶望の淵から一筋の光がウェアサイドに差し込みつつあった2月であった。(そして、MK戦の負けが今季のニール体制初めてにして唯一の敗北になることなど誰が想像しただろうか…)
2022.3 リーグ戦6戦負けなしで勝負の4月へ
3月を終えて順位はPO出場圏外の7位。これだけを見ると「今月は悪し」と烙印を押したくなるが、実情は全くといっていいほど異なっていた。チャールトン、リンカーン相手にはそれぞれスコアレスドローだったものの、下位のフリートウッド、クルー相手には勝利を収める。前者との試合ではクラークが、後者との試合ではロバーツが、それぞれ初ゴールを挙げ、マテテも好パフォーマンスを見せる等、冬加入組に勢いが出始めたのもこの頃。ニールの下で、ブラックキャッツの選手たちは着実に、そして確実に、上昇気流に乗り始めていたのだ。
2022.4 インクレディブル・レイトショー そして掴んだ挑戦権
なんと素晴らしい。まさか4月も無敗で終えるなんて。3月の日程を消化し、アレックス・ニールに対して微かな疑問を未だに感じていた私だったが、この結果を見て「あっ、凄い人だこの監督」と脱帽せざるを得なかった。特筆すべきはやはり最初の3試合。決勝点が生まれた時間帯は90+5', 89', 90+2。これがなかったら、と考えると怖くて夜しか眠れない。その後2勝2分で勝ち点を積み上げ、結果的に5位フィニッシュ。PO圏の中では上から3番目だったが、13戦無敗、試合終了間際の劇的ゴール、過去2回の昇格プレーオフ出場の時と比べて間違いなく勢いがある状態。不安は勿論ありながらもチームの士気を高くキープしながら決戦に臨むことができるのは大きな自信だっただろう。
2022.5 リーグ1暮らしにサヨナラを。運命の昇格P.O.
どうにか昇格POにへの切符を手にしたサンダーランド。そんな中、プレーオフ1回戦の相手はリーグ戦4位のシェフィールド・ウェンズデイ。対戦成績は1勝1敗。その2試合ともLJ体制で戦った試合なので過去の相性は全くあてにならなかった。
そして迎えた1st leg。スタジアム・オブ・ライトに45,000人近くが押し寄せたこの試合。
先勝。まずは一安心。前半終了間際相手のミスをついたスチュワートがそのまま持ち上がり、一度は防がれたシュートのこぼれ球をゴールに流し込んだ。スタジアムは割れんばかりの大歓声。このゴールを守り切って勝利した訳だが、アレックス・ニールは「2点目以降が取れなかったのは残念」みたいなことを話していたのが印象深かった。
続いて2nd leg。ヒルズボロで行われた試合。プレーオフ特有の緊張感と相まって、アウェー感が一際強かったように感じた。そして結果は………
ここでも最後アディショナルタイムで決勝ゴール。なんてチームなんだ。。74分に合計スコアタイに戻された時は本気でどうなるかと思った。アウェーの雰囲気に呑まれてまたやらかしてしまうのか………ただ、その考えは杞憂に過ぎなかった。選手、監督がやってくれたのだ。「今年は何かが違う。」この気持ちを強く持ったままウェンブリーでの決勝へと駒を進めた。
そして迎えた決勝。相手はMKドンズを倒して決勝に進出したウィコム。レギュラーシーズン5位-6位の対戦となった。上位チームが順当に勝ち上がることが難しい、これがプレーオフの醍醐味のように感じられてまた面白い。
72,332人もの観客が見守る中、肝心の試合結果は、、、
見事勝利。チャンピオンシップ昇格を成し遂げた。
エンブルトンの豪快ミドルとスチュワートの試合を決定づける追加点。この試合がラストマッチのアキンフェンワ擁するウィコムを退けた。私はこの悪夢の4年間の一部始終を見てきた訳では無いが、本当に嬉しかった。「昇格するということはこういうことなのか」これを体感できたように思えた。
21/22を最後振り返って
この1年間色々あったが、とにかく「昇格」という目に見える結果が付随してきたこと、それが何よりも素晴らしいことだと思う。サンダーランドに関わる全ての人々で勝ち取ったこの昇格に違いない、と確信している。
思えば2月、6試合勝ちなしの時期、今年の昇格を諦めそうになった。しかし、アレックス・ニールがサポーターの不安を全てを覆し、このチームを蘇らせてくれた。就任からたったの3ヶ月強でこの快進撃を見せてくれたことには本当に感謝しかない。ありがとう。特に終了間際で点を決めるチームに変貌したのは今でも信じられない。以前のこのチームはそれをされるがままの立場でしかなかったから、最早サンダーランドAFCとは別のチームを応援しているかのような、そんな錯覚に自分が陥っていたような気がする。
チャンピオンシップに舞台が移り、いよいよ「いるべき場所」に戻るための挑戦が始まる訳だが、まず来季は残留すること。絶対にリーグ1に逆戻りしないことを第一として、着実にチームが強化されていければいいな、と私は思う。確かに、4年間のリーグ1生活を思い出してみればまぁ悪くはなかったかなぁ、と思うこともあった。が、もう戻りたくない。ただそれだけ。
最後になるが、すべての選手、監督・コーチ、オーナーのKLD様やスピークマンSDはじめフロントの皆さん、その他サンダーランドに関わるすべての皆さん、1年間お疲れ様でした。カテゴリーが変わる来シーズンもまた躍動してくれることを願っています。
そして、いつも関わって下さるサンダーランドサポーターの皆さんも、EFLのサポーターの皆さんも、1年間応援お疲れ様でした。今シーズンから本格的に、そして勝手に応援してこの界隈に乗り込んでこんな感じで暴走して申し訳なかった部分もありましたが、色々なことを教わり、仲良くして頂けたこと、感謝しています。来年以降も、またよろしくお願いします…!
それでは来季、チャンピオンシップでお会いしましょう。HA'WAY THE LADS🐈⬛
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