
O塚へ
なかなかのいい天気となった日曜日、私はO塚の熟女ピンサロの前に立っていた。雑居ビルの階段を上がると、愛想のいいボーイさんがやってきた。「いらっしゃいませ。本日、ご予約の方は?」「してないです。」「コースはどうされますか?」「フリー2回転で。」「すぐにご案内できます。30分 6000円になります!」
事前にホームページで勉強していた通りで、スムーズにいった。フリーで2回転=女性が15分交代で相手をしてくれるコースらしい。わたしは出会いを求めてそのコースを選んだ。
ボーイさんに案内され、薄暗い店の奥へと歩を進める。店内は中央に通路が伸びており、その両側に畳1畳分ぐらいのスペースが4列ほど区切られてある簡素なものだった。案内されたのは2列目の右だ。靴を脱ぎ、そのスペースに座るとボーイさんから注意事項の説明があった。「女の子には優しくしてください。連絡先を聞かないでください。他の席をのぞかないでください。」 「了解です。」高橋克典のようなまぶしそうな眼付きで私は答えた。
微笑を浮かべたボーイさんが「女の子、すぐまいります。しばらくお待ちください。」と言い残していなくなり、私は持参した水を飲んで、フリスクを食べた。少しドキドキしている。私の席からは1列目の左の席が丸見えだった。ただ前を向いていても視界に入ってくる。薄暗くて表情まではよくわからないが、ワイシャツ姿のおっさんの股間に顔を埋めている短いスカートを履いた女性の髪の毛が揺れていた。上は何も着ていない。
さらに後ろの席からは、店内のアップテンポのBGMに混ざって、女性のせつない系の喘ぎ声がかすかに聴こえてきた。「自分は今、とんでもない淫靡な空間にいるな…。」 私の体の中で、横一列に並んだふんどし姿に天狗の面を被った6人組の屈強な漢たちが、和太鼓をゆっくりと叩き始めたその時、「こんにちわ~」 声のした方に顔を向けると、そこには上半身裸の女性が立っていた。