【清明旅・裏話】ふたりのシタテルヒメ
諏訪神社の御祭神に祀られている「下照姫」。
せっかくお名前が出てきたので、ちょっとお話♡
シタテルヒメは、通常ワカヒメ様を指します。
しかし、実はもうひとり、シタテルヒメの名を持つ方が居られます。
オクラヒメ様です。
カナヤマヒコ様のお孫さんで、ウリフヒメ様の姪にあたります。
オクラヒメ様はワカヒメ様から和歌の奥義書『クモクシフミ』を伝授され、二代目シタテルヒメを襲名されたお方です。
ちなみに、奈良県にある大倉姫(おおくらひめ)神社の別名が「雲櫛社」というそうです。
そしてオクラヒメ様は、フタアレ神であるタカヒコネ様の奥様でもあります!!
最近、オクラヒメ様のお姿を知ることができましたので、シェアいたします♡
タカヒコネ様とオクラヒメ様に関して、素敵なエピソードがあるので紹介いたします♡
これはお二方がご結婚される前のお話。
オクラヒメ様の兄上・アメワカヒコ様の葬儀に参列されたタカヒコネ様。
そのお姿がアメワカヒコ様に瓜二つだったため、身内の方々が騒ぎ寄ってきました。
それに気分を害されたタカヒコネ様は、喪屋を切り伏せて葬儀場を出て行こうとしました。
その姿を見たオクラヒメ様は、タカヒコネ様の怒りを解こうと歌で諭します。
そして、この歌で怒りを緩めたタカヒコネ様は、太刀をおさめて歌で応えます。
こちらの訳され方は、大きく分けて2パターンあるみたいです。
十アヤについて詳しく解説してくださっている動画に出会いましたので、そちらから訳を拝借いたします。
まずは1パターン目。
オクラヒメ様
タカヒコネ様
オクラヒメ様が熱烈な求愛の歌を詠まれて、タカヒコネ様がそれを軽くかわしている雰囲気ですね。
細かな訳され方は色々ですが、主にオクラヒメ様の求愛の歌だとされることが多い様です。
もう一つのパターンを説明する際に必要なのが、ツヅ歌。
サツサツヅ歌というのを、ハルナハハミチとの戦いにおいてアマテル様が詠まれたことがあります。
サ、ツ、サのそれぞれの音を歌の最初、真ん中、最後に入れてある歌で、さらに言霊による力が込められているものです。
オクラヒメ様の歌をツヅ歌だと捉えると、最初、真ん中、最後の文字に真意が隠されていると考えられます。
その場合、浮かび上がるのは「ア、ル、ヤ」。
アルヤツヅ歌とした時にこの歌を訳すと・・・・
オクラヒメ様
あるや否や、と詰め寄っている感じです。
オクラヒメ様、かっこいい!!
それに対し、タカヒコネ様もツヅ歌で返します。
浮かび上がる音は「ア、チ、チ」。
タカヒコネ様
アルヤに対して、アチチ。
すっかりお灸を据えられてしまった、または姫様に対して燃え上がった気持ちを込められたのでしょうか。
また、この歌が二つの解釈に分かれるのも当然である、という意見もあります。
タカヒコネ様はイサナギ様の曾孫にあたりますから、オクラヒメ様とは身分が違います。
そんな高貴なお方に、オクラヒメ様が面と向かってその振る舞いに口を出すことなどできませんので、表向きは求愛の歌とされたわけですね。
おそらく同じように歌の才をお持ちだったタカヒコネ様は、オクラヒメ様の真意に気づくことができたのでしょう。
どちらも凄すぎます!!
こうしてお二人はご夫婦になられるわけですから、お二人の間で通じ合ったものがあったのでしょうね。
奥深くてロマンチックです。
和歌って、言葉って、本当にすごいなあと、このご夫婦のエピソードで改めて感じました。
今日もおやっとさあです。
また次回。