【自己紹介】③サマースクールでボブ・ディランに苦しめられる
アメリカ上陸3日目。
なんの告知もなく、突然サマースクールに放り込まれた。
「頑張ってね!」
とだけ言って去っていった両親。
英語がままならない14歳の私は、このふたりの自由っぷりに絶望しました。
外国人向けのサマースクールには
色々な国からやってきた子どもが7名ほどいました。
日本人は私を含め2人。
子どもと言っても年齢はバラバラで、
もうひとりの日本人は17歳と、私からするとかなりお姉さんの女子高生でした。
夏だけボストンにいると言っていた彼女。
なんでも言うこと聞くから
私も一緒に日本に連れて帰ってくれー
と本気で羨ましく思っていました。
9月から始まる新学期に向け英語を習得するというのがこのスクールのメインテーマでした。
1日数時間、週5日で2週間ほど通い続けた(強制的に通わされた)ように思います。
このサマースクールで唯一覚えていること。
それが、緊張と恐怖のサマースクール初日に、ボブ・ディランの「風に吹かれて」という曲を何故だか何度も歌わされた挙句、
歌詞を読解して紙に書いてこいという狂気に満ちたホームワーク(宿題)が出されたことです。
社歌のように円陣を組んで歌わされた
「Blowin' in the wind」。
記念すべき第一号ホームワークになった
ボブ・ディラン。
サマースクールから帰宅後、
私とボブの戦いの火蓋が切られたのです。
サポートに入った父の、直訳にもほどがある直訳のせいでどんどん混乱していく私。
1. 歌詞を日本語に訳す
2. 訳された歌詞を読解
3. 考えを整理しながら紙に書いていく
なんとかやっと書き終えた自分の考えを、今度は英訳していく作業。
何時間かかったかわからないぐらい、凄まじいほどの労力と時間が奪われていきました。
辞書を片手に泣きながら机に向かっていた気がします。
今みたいにネット検索ができる時代なら、ちゃちゃっと終わるような課題だったと思います。
ほんとに恵まれた世の中になりました…
翌日のサマースクールではひとりずつプレゼン形式で書いたものを発表させられましたが、
当然ながら読む練習までは辿りついていなかった私。
暑さか緊張かわからない原因不明の変な汗を大量にかきながら、先生に助けてもらいつつ初めてのプレゼンデビューを無事やり遂げたのです。
2016年にボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞した際、ニュースで何度もこの「風に吹かれて」が流れていました。
曲が聞こえるたび、あの時のサマースクールの教室の匂いや空気感、先生の顔などが鮮明によみがえり、
私は(°_°)といった顔になりました。
アラフォーになった今でも、この曲を聴くと少し動悸がします。
ボブ・ディランは悪くない。
ただちょっと歌詞を見過ぎただけ。
ちょっと曲を歌いすぎただけ。
サマースクールの疲れをしっかり残したまま、恐怖の新学期が始まるのでした…続く。