見出し画像

恥ずかしかった話⑴

私の視力は0.3くらいだ。
0.1を切っている姉と母と眼科検診に行ったときに散々馬鹿にしてたが、私も同じ未来が目前まで迫っていると戦々恐々としている。

中学生から徐々に落ちていき、たしか大学生の頃に0.8と0.5だった気がする。そのくらいだと板書の字は当然見えず、勉強のときとテレビを見る時はメガネをつけていた。それ以外は裸眼。

メガネを日常的にかけるのは嫌だった。メガネ焼けもしたくないし。

ただ、そのくらいの視力だと正直道ゆく人の顔なんて判別できない。まじで半径1〜2mくらいまで来てくれないと顔がはっきりわからない。

ちなみに、視力が悪くても、テレホンカードとかQUOカードの“小さい穴”から覗くと視界がハッキリする(より遠くまで見える)のを皆さんご存知だろうか?わたしはあれを大真面目でやっていた。
なんなら、応用をかまして、テレカなど使わず自分の人差し指と親指で小さな小さい丸を作り、まるで双眼鏡のようにして見ていた。校内でも、渋谷でも新宿でもどこでもだ。現代版忍者っぽい?いえ、ただの変人です。


でも、そんなことはどうでも良いのだ。


そんなことよりも困っていたのは、“人違い”である。


目が悪いと自覚していて視界だってぼやけてるにも関わらず、なぜか自信満々に人まちがいをすることがあった。


学校の図書館で前方から友達っぽいシルエットの人が歩いてくる。友人Tと思い込み、笑顔で駆け寄ろうとしたら、2メートル圏内に入った途端『全然違う人やん!』と気づき、何もなかったような素振りですれ違う。もちろん真顔で。

またある時は吉祥寺駅ですれ違った赤毛の外国人と日本人のカップルを瞬間的に友人たちと勘違いし、上りのエスカレーターをおりてダッシュして階段をくだり、追いかけて声をかけたこともある。
振り返ったときの全くの別人の、あの不思議な表情。。そりゃそうだよねぇ。。『すいません、、』と言って去るしかなかった。

「赤毛の外国人と日本人カップル、二人合わせて間違えるか!?」
「組み合わせて人間違いするってどうよ、自分。。」
「そんなトリッキーなことしなくても、、」

と、誰にあてようもないわたしのツッコミが心のなかで繰り広げられていた。

この場合おそらく二人が別々でいて、遭遇していてもたぶん間違わなかったような気がする。わたしはあの時、ものすごーく単純化した要素の組み合わせでカップルをみて、「こんなカップル滅多にいないべ!」っていう勢いで話しかけてしまったのだ。あな、おそろし。



「流石に、もうそろそろか」、と大学4年でコンタクトデビューした。なんと世界はハッキリくっきり、そして視界はくもらず汗も気にならず、コンタクトって最高。
私が人違いをすることはなくなった。



月日が経ち、国分寺の駅のトイレで手を洗っていた時。ふと、鏡越しに目が合ってしまったお姉さん。振り返ってトイレから出ようとしたら、

『さゆり、、、?』とそのお姉さんから声をかけられた。

『い、いえ、違うと思います…』

すみません、、といいお姉さんは去っていった。きっとすごく恥ずかしかっただろう。もしかしたら彼女も裸眼だったのかもしれない。


それにしても、『違うと思います…』って、なんで自信をもてなかったんだ自分(笑)


#日記
#エッセイ
#恥ずかしい話
#失敗話
#笑い話

いいなと思ったら応援しよう!