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ワクチン充填と加齢と私
地域の薬剤師会に所属している薬剤師の有志には、コロナワクチン充填業務のスタッフが当番制で回ってくる。
私は、現時点でかれこれ9回の実働。
大規模接種な集団接種が始まったので、まだまだ駆り出される予定である。
私は、ただの薬剤師。
いたって平凡な、田舎町の保険調剤薬局の普通の薬剤師。
それでも規定の研修をこなし、現場へと派遣され、公衆衛生の役に立てるよう職務を全うする。
場数を踏むごとに、手技には慣れていき、最初ほどの苦労は感じない。
「私だってやればできるじゃん、役に立ってるじゃん」
っていう自己肯定感が高まる。(単純なやつ)
だけど、場数を踏むごとに、気になって仕方がないことがある。
なんか、手元……見えにくいかも(汗)
んん?これって、まさか……老眼???
バイアル(ワクチンが入っている小さなボトル)に針を刺して、規定量の薬液を接種用のシリンジに充填するわけだけど、そのときに、たいへん見えにくさを感じる。
目を凝らし、まだ差していないゴム栓の箇所を狙って針を刺す。
シリンジの目盛りすら焦点を合わせるのに苦労するときもあるほど(あ、ちゃんと問題なく作業はできていますよ)。
確実に年齢を重ねているのだと思い知る。
いや、知っていたよ。もう41だもの。年々、白い髪が増えているしね(それ、白髪って言うんだよ)。
ふとした瞬間に感じる衰え。
ハタチの頃の自分が思い描いていた40代ってこんなんじゃなかった。
もっとオトナで、もっとhappyで、もっと自由で、もっと落ち着いてて……
愛する伴侶と仲睦まじく、子沢山で、親孝行も出来てて……
外車とか乗り回しちゃって、海外旅行とか行きまくっちゃって……
それなのに、リアル41歳はどうよ?
国産車。まぁまぁの稼ぎはあっても貯金はない(学費とセクハラ裁判費用に消える)。
親孝行??両親を招待しての旅行は片手で足りるし、実家の庭のリフォームしてお年玉を渡しているくらい。子どもは一粒種で愛娘一人(これは我ながら唯一の幸運)。
そして夫に出て行かれ、離婚届を突きつけられ、41にてバツ2になろうとしていますよー。という現実。
どこで道を誤ったのか……このリアルをハタチの私に教えたらどう思うだろうか。
でも、果たして私は現状happyじゃないのか?って考えると、あながちそうでもない。
happyって絶対的評価ではなく、相対的評価だよね。
1年前、3年前、モラハラ自己中夫に怯えながら暮らしていた時に比べると、今は確実にhappyかもしれない。(伸び伸びしすぎている節もある)
でも、ハタチの頃と比べると……
本当なら背負わなくてもよいはずの、重たく暗い闇を背負ってしまった分happyではない気がする。
これが大人になるってことなのか。
大人ってなんだろう。大人になるってなんだろう。
いつもインタビューされてばかりの娘に投げかけてみた。
私「大人になるってなんだと思う?」
娘「んー。自分の人生に起こるすべてのことに責任を負える。そして、ちっちゃなことで、いちいち感情が動かされない『自分』を持っている人だと思うよ。」
ヒィィィ。
だったら私、まだ大人じゃないや💦