
渡る世間は鬼ばかりどころか、恐ろしい体験ばかり
その1 引越し
私が生まれてから何回引っ越しをしたかな?
とふと考えてみた。
生まれてすぐに母方の祖父母の家に引っ越してきた。
私達のために、わざわざ祖父母が建ててくれたらしい。
私は生まれたばかりだったので、引っ越し自体の記憶はない。
父の実家で生まれたが、父の母である(後妻:祖父の家の使用人だった)義母に
嫁であった私の母は、ことごとくいびられて
乳飲子の私に与える母乳が出なくなってしまったから、母方の祖父母の所に
引っ越した。これが初めての引越し。
その後父は私が中学生の時に家を建てて、そこに私たち家族は引っ越しをした。
これが、2回目の引越しだった。
私の父と母は、恋愛結婚だったが、戦争前に生まれた昭和の人間。
それはそれは教育は厳しく、夫婦喧嘩は激しく・・
そんな家庭だった。
父の実家は商売をしていて、それなりの家だった。しかし後妻のために、相続問題で何年も揉めていた。それが夫婦喧嘩の一番の原因だった。
それ以外にも母親の実家がやはり商売を営んでいたが、祖父が多才で
優秀なのは素晴らしいのだが、反して子供達が今ひとつだったから?
母達子供らには、それはそれは祖父は厳しく、きつく躾けられたそうだ。
そのせいであろうか?
私の母の異常な潔癖症、今では毒親とも呼ばれそうな封建的教育法を
私は体験させられ育った。
後に母の実家も、跡を継いだ伯父たちによって
酷く激しい相続争いを起こした。
そんな一族だったからか、父親は働くだけ働き
酒とタバコが唯一の友。50代で他界した。引っ越しをして
16年ほどのことだった。
私も病気になった。
とにかくこの家を出たいと思った。
しかし、毒蜘蛛の蜘蛛の糸から
私は逃げることが出来なかった。