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宅建の勉強について
今年の宅建試験が終わりました。
受験者の方、試験にかかわった皆様方、お疲れさまでした。
自分は宅建試験を何度も受けているのですけども、今回ようやく納得いく点数がとれたかなという感じです。(それでもあまり高い点数ではないですが)
令和に入ってからずっと受けてましたよとほほ。
何度も落ちてきた経験と今回手ごたえを得た体験から、「こう勉強すればよかった」「こう勉強してよかった」といったことを述べたいと思います。
願わくば来年以降受験する人々の何らかの参考になれば。
ちなみにぼくは独学者なので市販の参考書、問題集、YouTubeの動画、アプリでの勉強をする方向けの話が中心になります。
勉強法について
宅建業法が本当に大事
そもそも宅建の試験の出題範囲は
・宅建業法 20問
・権利関係 14問
・法令上の制限 8問
・税 3問
・その他(免除科目)5問
という構成になっています。免除科目は実務従事者が講習を受けることによって免除される問題です。
上記の出題範囲の中でとにかくまずは宅建業法が大事ということをお伝えしたいです。宅建受験にかかわる人は大体言ってますが私も言います。
理由としては、シンプルに問題数が多いこともそうなのですが、「理屈で覚えやすい」ということを挙げたいです。
宅建は暗記しなければならない部分が多い資格試験だと思います。
しかしながら、理屈で覚えられる部分もあります。
宅建業法は比較的理屈で突破できるところが多く、安定した点数を取りやすい傾向にあります。
逆に、権利関係や法令上の制限は覚えるのが大変な法律だったり数字だったりが登場するし、本試験で今まで見たことのないような用語が出てくるのでこちらを安定させるのはかなりの労力を必要とします。
まずは宅建業法を安定させること。初学者はここから始めるのがいいでしょう。
参考書・問題集の使い方(○×式がおすすめ!)
独学するならばテキストと問題集を買いましょう。
アプリで勉強することもできますが、アプリの場合問題集としての利用は便利ですが辞書的に調べるのは不向きだったりします。
もちろんわからないことは都度ググればいいとも言えますが、分野や単元、論点ごとに整理されたテキストがあると記憶も整理しやすくなります。
なるべく理屈を伴っていて実務的なイメージがしやすい参考書がおすすめです。有名どころの参考書は大体大丈夫だと思いますが。
問題集ですがいくつか種類があって
・過去問集
・分野別
・予想問題集
などに分類されます。
メインで使っていくべきなのは分野別の問題集だと思います。
上述した「宅建業法」「権利関係」などの分野ごとに章立てされているものですね。
4択式のものと○×式のものがありますが、○×式がおすすめです。
宅建の本試験は4択式なのですが、学習するうえでは○×式で学ぶことを強く推奨します。なぜか。
それは「正解以外の選択肢も大事だから」です。
4択式の問題だとついつい正解の選択肢にとびついてしまい、他の選択肢を読み飛ばしてしまうということがあります。
ですがハズレの選択肢それぞれに学びがあり、なぜその選択肢が間違いなのかを考えることによってより学びが深まります。
そのためには○×式で一つ一つの選択肢を精査するタイプの問題集を使うのがおすすめです。
4択式の問題集でもそれぞれの選択肢を精査することができる人はそちらを使っても問題ないと思います。ぼくは意志が弱いのでダメでした。そもそも宅建の問題文は脳が疲れる悪文が多いのでなるべく大量に読みたくないのです。
3か月以上の学習期間を確保したい
参考書と問題集の使用法のおすすめは、まずはテキストの各単元を読んで論点別問題集の該当部分を解く、といったことを繰り返すのが良いと思います。
宅建のテキストはかなり分厚く、流し読みすると最初の方の内容はほぼ忘れます。
先に問題集や過去問を解いて出題の傾向を見た方がいいという意見もありますが初見の状態で過去問にあたると泣きたいくらいわからなくてストレスなのでちょっとでもテキストに触れてから解くのがおすすめです。
ちなみにぼくが使用したテキスト・問題集はこちら↓
漢検準1級でもお世話になったナツメ社・オフィス海さまによる通称『カバー率』です。
こちらのテキストだと
・宅建業法 16単元
・権利関係 23単元
・法令上の制限 21単元
・税・その他 12単元
の合計72単元に分かれています。
一日一単元進み、前回の復習を兼ねれば大体一日一時間くらいの勉強時間になるでしょうか。
仕事などをしながら勉強時間を一時間ずつ確保してコツコツ進めていくのであれば72日ほどで一通りの学習ができます。
その他過去問にあたったり、理解しにくいところをウェブや動画で調べたり、休みを設けたりといったことを考えるとやはり最低でも試験の3か月は前から勉強を始めたい。
宅建の申し込み開始が7月初めなのでそこから始めるのが良いかもしれません。個人的にはもっと時間をかけていいのであれば半年以上の余裕を持って始めるべきだと思います。
過去問・予想問題集の扱い方には注意
過去問10周した!とかおっしゃる受験者さんもいらっしゃいますが過去問は周回すればするほどいいというものでもないと思うのです。
前述しましたが過去問は4択式。文章も読みにくいものが多いので、ついつい周回するうちに読み方が雑になってしまいがちです。
問題に慣れてどこが重要な部分かを見極められるようになることは重要ですが、逆に読み飛ばす癖をつけてしまうと危険です。
今年出題された問題では問26で今まで学習した中で見たことのない「消費税免税事業者」というものが登場し、ぼくは見事にそれを見落としました。
過去問は何度も周回するよりも、一問一問の選択肢の精査を重要視して理解を深めていくのがおすすめです。
また、『直前予想問題集』などと銘打った問題集が夏ごろに発売されますが、こちらの扱いには注意が必要です。
今まで解いたことのない問題を解きたいというのであれば良さそうなのですが、本当に見たことのない問題が出ます。
そのためいたずらに難易度が高かったりして今まで勉強したことの自信が揺らいだり混乱が生じたりします。
試験の数日前に解いてひどい点数を取ったりすることもあるのでそれならやらないほうがマシかもしれません。
ただし、そういった予想問題集には法改正のポイントや今年の統計情報なども載っていることが多く、その情報は頼りになります。(しかし、そういった情報は当日試験会場で宅建予備校のスタッフさんが配っているパンフレットに載っているのでそれで充分かも)
情報収集について
SNSは……見ないほうがいいかも
宅建を学習するうえでいろいろと情報が必要になることがあると思います。
その時に例えばTwitterなどで調べることもあるでしょう。
するとタイムラインが宅建に侵食されていきます。
独学の学習がさみしい人はそちらでともに頑張っている人を見つけて心のよりどころにするのもいいかもしれません。
が、基本的には情報収集用と割り切るか、あるいは一切見ないようにするのがいいとぼくは思いました。
もちろん有用な情報を発信してくれる方もおられるのですが、学習者に対して不理解だったり心無い言葉をかける人も少なくありません(少ないかもしれませんが声がデカいです)
ぼくは学習者同士の慣れ合いや宅建スクールの講師などへの過度の信仰、宅建試験の難易度への偏見などはすべてノイズだと思っているので、今年は一切宅建という言葉で検索しないようにしていましたし、毎日行っている学習記録のツイートも宅建という言葉は伏せて行っていました。
試験が終わった後は解答速報や合格ラインの情報が欲しくて検索をしましたが、やっぱり不快なツイートが結構目に入ります。何だあのSNS、終わってんな。陰湿ツールがよ。
宅建ごとき、とか言う人の正体
SNSなどでは特に宅建試験への解像度の低さからのこんな言説が目につきます。
「宅建ごとき、ちゃんと勉強すれば受かるでしょ」
こういった言葉は完全にスルーしてください。
合格率15%の試験だっつーの。
85%の人が涙を飲む試験だって言ってんだろ。
こういった人は何パターンかいるようです。
・昔宅建に合格したが最近の難易度上昇を知らない
・運よく合格したので苦労せずに済んだ
・そもそも受けたことが無い
などじゃないかなと思います。
何年か前にどこかの不動産関連の会社の偉い人が「宅建に合格しない人はおかしい、努力が足りなすぎる」みたいなことをつぶやいていて、それを見たぼくは地獄に落ちろと思いました。
もちろん会社の人間の、仕事に対する姿勢が不真面目で苦言を呈したくなったなどという事情もあるのかもしれませんが、頑張ってきた学習者にもその言葉が届くかもということを忘れてはいけない。
年配の「宅地建物取引主任者」(宅地建物取引士の昔の呼び名)の言うことは話半分に聞きましょう。彼らの時代より今の方がずっと難しくなっているはずです。
運よく一発合格してしまった人も結構心ない発言をしがちです。
そういった人ほど「宅建は簡単」などとのたまいます。
2か月で受かるという言葉は信じてはいけません。
そもそも宅建は4択式の問題なので上振れ下振れはそれなりにあります。
そして過去問を何度も繰り返すと大体ボーダーライン上くらいの点数を取る実力はつけられると思います。
しかしそこからが非常に高い壁となります。
本試験の難易度、本番のコンデション、運などいろいろなものが作用してほんの1点が合否を左右する状況になります。
ちなみにぼくは5回以上宅建試験に落ちていますがそのほとんどが1点だけ足りなくて落ちています。実力が足りないのはその通りですが運もない。
「宅建は簡単」というのなら再現性を持って初見の問題を40点以上安定して取れなければ嘘です。
そういう人は宅建予備校の講師などにしかいませんし、そういった方々は受験者の苦労を知っているので迂闊に「宅建は簡単」などと言いません。
だから「宅建ごとき」発言は完全に戯言です。
そもそも宅建試験を受けたことのない人の「宅建ごとき」発言は論外ですね。スルーしましょう。いえ、ブロックしましょう。
おわりに
どんな動機であれ、どんな結果であれぼくは目標に向かって努力する人は尊いと思います。
ぼく自身、正直何回も落ち続けて精神的に参っており、今回の自己採点で結果が悪かったらもう人生どうでもいいやって思っていました。
努力が必ず報われるとも限りません。
うまくいかないことに対して撤退するという選択も英断でしょう。
ですが、もし次の宅建試験を受けたいなと考える人がこの記事を見てくれていましたら、どうかうまくいって欲しい。
そのためのほんの一助にでもなれたら幸いです。