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それは黄金の時間。風の魔法が届けてくれた。秋の夕暮れのさんぽ道。

いつの日か空を飛んでみたい。

それは飛行機ではなくて
タケコプターかもしれないし
空飛ぶ魔法かもしれないけれど。

でも、タケコプターの電池が
切れてしまったらって思うと
海の上を飛ぶのは少し怖いかな。

同じように、突然、魔力が
足りなくなったらと思うと
山の上を飛ぶのも抵抗がある。

私が飛んでみたい場所。

それは空を飛んでいるときに
電池や、魔力が切れてしまっても
優しく受け止めてくれる場所。

田んぼです。
泥だらけになっちゃうかもしれないけど

何にもさえぎるものがなくて
優しく受け止めてくれる存在。

夢の中で、ときには空想で
子どもの頃から、ずっと夢見ている。

田んぼの少しだけ上を、飛んでみたい。
そして、浮くように歩いてみたい。

「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つ」

ナレーションはYeKuさんにお願いしたい。

そんな、空を飛ぶ妄想をしながら
田んぼにつづく道を散歩します。

茜色と陽彩色の絵の具を
混ぜ合わせたような秋の夕暮れ。

田んぼに通じるあぜ道は、風の通り道です。

空の色が交じり合う時間には
心地よい風のカーテンが吹き抜けていく。

かぜの帽子は
エアコンで冷え切って
暑さでとろけた身体さえも
癒してくれる優しさがある。

秋の空の色と、風の色が紡ぐ
たまらなく素敵な時間です。

風の音色にあわせるように
あぜ道に広がる木々が
さわさわと音を立てていました。

続いて聞こえてくるのは、虫や鳥の鳴き声です。

コオロギやスズムシたちが
秋の訪れを歌っているようでした。

シジュウカラの歌声も流れてきたよ。

私は足どりを止めて、目を閉じました。

耳を澄ませると
風、木、虫、鳥たちの音が織りなす
風のハーモニーが聞こえてきました。

すべてが1つになるような感覚。

それは、キューブさんの
昭和の若者シリーズのように
在りし日の情景を

田んぼと過ごしてきた
時間を思い出せてくれました。

はじまりは、稲も、なにもない土だけの場所。
田んぼであることを忘れてしまった場所でした。

やがて春〜と共に、土が耕されて、水が張られて
あたり一面にずっと遠くの方まで広がっていく
風景画のような、水のキャンパスを見せてくれました。

水のキャンパスには、稲の苗が植えられて
ほほえむように揺れる姿を見せてくれました。

稲の苗は、梅雨の季節をむかえて
少しずつ少しずつ大きくなっていきました。

夏の日の夕暮れには
暑さを忘れさせるほどの、風の贈り物。
あたり一面に広がる、若草色の海を見せてくれました。

そして、むかえた秋の夕暮れ。

風の衣は「はやく、はやく」と
私の袖をひっぱるように
稲の香りの在処まで運んでいく。

風のくしが、指の間を通り抜けて
私の髪をとかして、心を解いていく。

風の恵みは、生命の息吹。

傷ついた心を包み込むように
すべてを癒やし、再生させていく。

そしてはるか空の彼方まで
命の声、愛の歌を届けるように。

風のソノリティを感じながら
たどりついた場所。

「わぁ…!こんなに大きくなったんだね」

黄金色の贈り物

それは「爽籟そうらいの祝福」黄金色の贈り物でした。

豊穣の女神。あまりの美しさに、涙が溢れました。

稲穂が風に揺れ、夕日の光を受けて
キラキラと輝きを放っていました。

地平線のどこまでも続いていくように
黄金色のライフストリームが広がっていました。

初めて稲の苗を、目にしたときのことを思い出します。

若緑色の苗が、梅雨や、夏の暑さを乗り越えて
一面の黄金色に染まるまで成長した姿。

それはまるで人の成長を
人生を表現しているかのようでした。

私を優しく通り抜けていく
風の音色が好き。

茜色と
陽彩色と
黄金色が混ざり合う

秋の夕暮れの時間がたまらなく好き。

いつまでも、ずっとずっと感じていたい。
忘れたくない大切な時間。

自然と農家さんが
途切れることがなく
守り続けてきた原風景。

それは収穫までのわずかな時間にだけ見ることができます。

かけがえのない「黄金の時間」です。

さぁ新米の季節です。

最後までお読みいただきありがとうございます!
あなたにも、黄金色のやさしさが届きますように。


noterさんに感謝の気持ちをこめて
記事のなかにnoterさんのお名前が隠れているよ。
(敬称略させていただいてます。)

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