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理想的なパッケージの情報量とは
こんにちは。ひいろです。
最近、浅漬けにはまっています。
新玉ねぎとかちょうどよく漬かっておすすめ。
今日は成蹊大学経済学部の石井氏の論文
パッケージにおける最適な情報量
― 制御焦点と情報過剰感による影響 ―
を読んだので書いていきます。
はじめに
私たちは無数の情報に囲まれています。
インターネット然り、メディア然り。
そして、製品のパッケージもその一つ。
効果的なパッケージってどんなものなのでしょう?
情報量と意思決定に関する有名な研究では
情報量の多さが意思決定にポジティブな影響を与えるのは一定量までで、
それ以降はネガティブな影響を与えると指摘しています。
今回の論文は最適なパッケージの情報量を
制御焦点理論をつかって研究しています。
制御焦点理論
制御焦点には
購買行動による
ポジティブな結果に着目する促進焦点
ネガティブな結果に着目する予防焦点が存在します。
そしてこれらの動機の違いが消費者の行動に影響を与えるとしています。
つまり、促進焦点を有する人は
商品に対してプラスの面の有無で評価
予防焦点を有する人は
商品に対してマイナスの面の有無で評価します。
より詳しく知りたい方はコチラ
制御焦点理論をつかった研究は既にいろいろ行われており
情報に対して
促進焦点の消費者は感情的判断を重視して
予防焦点の消費者は主張内容を重視していると考えられています。
仮説
今回は4つの仮説をたてて検証します。
1:パッケージの提示を一定の時間に限定した場合、
パッケージ上の注視回数は、促進焦点の消費者よりも
予防焦点の消費者の方が多い。
2:パッケージの情報量は、
パッケージ・デザインの情報過剰感に正の影響を及ぼす。
3:促進焦点の消費者において、
パッケージ・デザインの情報過剰感は
製品理解の容易性に負の影響を及ぼす。
4:促進焦点の消費者において、
パッケージ・デザインの情報過剰感は
製品評価に負の影響を及ぼす。
1:パッケージの提示を一定の時間に限定した場合、
パッケージ上の注視回数は、促進焦点の消費者よりも
予防焦点の消費者の方が多い。
消費者の情報取得方法について
予防焦点の消費者が主張内容を重視し、
詳細な情報まで処理しようとするならば
予防焦点の消費者の方が、
パッケージの様々な要素を丹念に見ようとすると考えられます。
そこで、パッケージの提示を一定時間に統制した場合
予防焦点の消費者の方が注視回数が多いと予想されます。
2:パッケージの情報量は、
パッケージ・デザインの情報過剰感に正の影響を及ぼす。
情報量の増加によって生じるデザインに対するネガティブな反応を
情報過剰感という視点から考えます。
情報過剰感とは
パッケージのごちゃごちゃした印象と今回は定義します。
パッケージの情報を増やせば
ごちゃごちゃした印象も強くなるよねっていう仮説です。
3:促進焦点の消費者において、パッケージ・デザインの情報過剰感は
製品理解の容易性に負の影響を及ぼす。
4:また、製品評価に負の影響を及ぼす。
主張内容に説得されやすい予防焦点の消費者にとって
情報過剰感はそれほど製品評価に影響しないと考えられます。
しかし、直感的な判断を下す促進焦点の消費者にとっては
情報過剰感は製品理解にネガティブな影響をもたらし
製品評価にもそれが影響してくると考えらます。
実験結果と考察
実際に実験は4回にわたって行われ、
結論としてはすべての仮説が採択されました。
今回の研究において、
促進焦点の消費者に対して情報過剰感は有効ではなく
むしろ負の影響があるということがわかり
促進焦点に結びつきやすい製品特徴を訴求する場合は
情報量を一定水準に限定する必要性を意味しています。
これは、パッケージに記載すべき適切な情報量が
製品特徴や訴求内容に左右されるということです。
最後に
届けたいユーザー層や
製品の特性によってパッケージや広告内容は変える必要性あるようです。
たとえば、
10秒チャージとかは促進焦点向けなので
情報は少なく活力あるスポーツ系のイラストが効果的だったりするのかなと思います。
逆に、促進焦点向けにするなら
疲れた体に栄養を、的な感じにキャッチコピーを作り直して
実際にどんな栄養素がどのくらい入っているのかを記載したりするのが効果的なのかな。
製品だけじゃなくて
採用や新歓、集客にもこの考えかたは応用できると思います。
相手の制御焦点に合わせて
アプローチ方法を変えていけば、より効果的な人集めができると思います。