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文化支出の経済効果を読んで
そういえば大学には卒論というものがあったりなかったり、、私の学部にはあるらしくて、どうしましょうかって感じです。
卒論を書くと言っても0ベースで全てを自分でとはいきません。それができたら研究者でにでもなりたいものです。誰かの先行研究の上での研究。論文って知識のバトンみたいですね。
そんなわけで、私もその先行研究に基づいた研究を行うつもり、、、な訳なのです。しかし、論文なんて読んだことない。
それは嘘やけど(授業の課題で読む機会がありました)しかし研究を意識して読んだことはありません。でも大丈夫。世の大学生は私と同じであるはず、と私の心が言っています。
前置きが長くなりましたが、今回はその下調べで読んでいる論文の内容と自分の意見を忘れないように記録していこうと思います。一種のレビューってやつです。
今回の論文は文化支出の経済効果という論文です。山田浩之氏・新井益洋氏・安田秀穂氏によって1998年文化経済学会<日本>による文化経済学という論文集に掲載されています。文芸文化活動への投資は地域内への高い経済的効果があるから地域活性化に効果的ですよって話です。
この論文では主に2つの分析を行っています。
東京都内の文芸文化活動による経済波及効果の分析。
東京都地域とニューヨーク・ニュージャージー大都市圏での文芸文化活動による経済波及効果の比較比較。
漢文ですか?ってくらい漢字が多くなってしまいました。
おおざっぱに言うと、文化部系の事に投資したときのリターンの割合を分析して、それを他の国の事例と比較しています。
そして結論的には文芸文化活動の経済波及効果は地域内にとどまりやすく、海外の事例と比べるとまだまだ地域内に残る経済的効果の率には伸びしろがありますよと言われています。
そもそも経済波及効果とはなんだろう。
何かに投資すると、それに連鎖して他の産業や部門にも影響してきます。芸術文化の話でいえば、劇場や美術館の建設は観客の増加や芸術分やへの関心の高まりに繋がります。そしてそれらは芸術関連の書籍の売上げ増加に繋がったりと連鎖していきます。経済学的にはそういった連鎖には2種類あるみたいです。
前方連鎖効果(利用効果)
後方連鎖効果(産業波及効果)
前方連鎖効果(利用効果)は先ほどの芸術関連の書籍売上げ増加などがあたります。効果の広がりは多種多様であり計量化は困難です。後方連鎖効果(産業波及効果)は芋づるのようなものです。劇場を建設する際には建設材料や重機が必要になり、それらの原材料も必要になります。この手の効果は産業連関表から算出が可能なので今回の論文ではこちらを経済波及効果として分析しています。
そんな経済波及効果ですが、特に芸術文化による経済波及効果は第三次産業(サービス業)に波及効果が集中する傾向があるらしい。他の農業や工業に比べて芸術文化は製品よりもサービスを需要する傾向が高いためです。また、地域内の産業への波及が多い、つまり波及効果が地域内に残留しやすいことも挙げられています。そもそもサービスは地域を超えて提供されることが少ないためです。
先進国として第三次産業を進めていく日本にとっても、効率的に町を活性化させたい地域にとっても芸術文化への投資は建設工事や土木工事に比べて効果的というわけですね。
しかしこの論文、注意することがあって飽くまでも東京内限定であることです。経済波及効果の大小の問題ではなく、どのくらい東京内に効果が残留するかを議論しているということです。
論文中には日暮里・舎人新線の波及効果が比較例としてあげられていましたが、日本全体の経済波及効果は文芸文化活動よりも大きい数字を出していました。
最後にニューヨーク・ニュージャージー大都市圏との比較。同地域は1970年代に深刻な財政破綻に陥っていた。その打開策として「アートとしてのNY」の声の元、インターナショナル・デザイン・センターが建設され芸術文化施設や文化事業の振興による都市づくりが進められた。
これをまとめて分析した報告書「産業としての芸術:ニューヨーク・ニュージャージー大都市圏にとっての芸術の経済的重要性」(NY-NJ報告)によると、地域内の経済波及効果は東京のそれに比べて高い数値が出ていた。これは投入係数の安定性(ある産業がその生産に必要とする財やサービスは地域に関わらずほとんど同じであること)に基づいて考えると、第三次産業の地域内自給率の差異によるものと考えられる。
つまり、その自給率が増加すれば東京都での産業としての文化が与える経済効果にはまだ伸びしろがあるといえます。
芸術文化以外にも第三次産業への依存が強い投資先ってあるんじゃないかと思います。例えば教育とか。教育投資の経済波及効果とかについて論文があれば読んでみようと思います。