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冬の北海道で野営した話④
「厳寒期の北海道でわざわざ野営して回った話」その4となりました
列車故障で危うく足止めを喰らうところでしたが、無事旭川イン。
本行程唯一のホテル泊を終えて旭川観光編です。
6.旭川
6-1.やっぱり動物園
6-2.どっさり
6-3.行きたいけど…
7.名寄
7-1.ここもどっさり
7-2.東屋は最高
7-3.特急のはがゆさ
6.旭川
6-1.やっぱり動物園
ホテル最高である。 人類すごいぞ。屋根も空調もあってベッドもあるし、水道は凍ることなく出てくる。風呂もある。
快適だ。快適すぎる。 金がいくらでもあるなら毎日ホテル泊なんて最高だろう。 とはそんなに思わない。テントの野営はそれはそれで好きなのだ。
こういうのは稀に立ち寄るから快適だし、ありがたい。
貧乏が染み着きすぎだろうか。
充電も装備の乾燥も洗濯も完了し、一度いいリセットが行えた。 朝はそこそこ早い時間にチェックアウトをして旭川駅へ向かう。
コインロッカーに野営道具等重たいものを放り込んで、カメラや小物だけを詰めているサブバックを背負ってバス停に並ぶ。
今日はかの有名な旭川動物園を朝から観光し、お昼過ぎに稚内方面の北側どこかへ移動しようと考えている。
旭川動物園は個人的に妙な因縁を感じているので、いよいよ…と意気込んではいるが、ここでは蛇足なので総括して楽しみだ。とだけ書いておく。
平日ではあるが、さすがに有名な動物園、朝からバス停には人が多い。
程なくしてバスがやってきた。 座席には座れたが、発車までの時間で車内はぎゅうぎゅうの混雑時状態となった。
外国人観光客がそれはもう多い。 車内は英語ではない言語がとびかっている。
日本人ってこういう公共交通機関では異様なほどに静かなので、車内だけ異国情緒を感じる。単に人数比率的にマイノリティとなっているだけだが。
観光客の熱気と、すでに押され潰され辟易気味の私をよそに、バスは一直線に旭川動物園へ向かう。
6-2.どっさり
この日の旭川は、気温こそ相変わらず氷点下続きだが、結構な晴天に恵まれた。
今回の行程はだいたい晴天が続いていて気持ちよい。日頃の行いが良いからに違いない。さすが私。
しかし旭川も雪が多い、動物園周りの道路や駐車場周りには、除雪された雪がこれでもかと壁を成している。
開園まで多少時間があったが、観光客がおおく、すでに列を作るため、スタッフの方がメガホンで呼びかけている。 おとなしく列に並びに行った。
しかし多い。
雪はもちろんだ。ではなにか。
中国からの観光客である。どっさりてんこ盛りだ。
ざっと100名どころではない。というかバスでもそうだったが日本人は列を整理を一生懸命しているスタッフの方しか見ていない。
旧正月で仕方ないとはいえ、今回の旅はどこもかしこも中国からの観光客が圧倒的に多い。唯一比率が変わったのは網走の流氷館くらいだった。欧米の方が多かったが、まぁたまたまそういうタイミングだっただけだろうけど。
もう前見ても後ろ見ても中国の方である。まれに韓国景。
列が一応うっすらあるのだが、なんでうっすらかというと並び方が日本人の異様に行儀のいいそれとは違うのだ。
入場ゲート前広場の外周に沿うように並ぶ列となるのだが、すぐ右手は斜面になっている。
降り積もったパウダースノーをまとった斜面は、子どもたちの絶好の遊び場になり、もうなんていうか遊んでる子供を見守ってるのか列に並んでるのかよくわからない。
正直自分が列に並べているのか不安だったが、チケット販売が始まると保護者はそれなりに列状に流れていった。
無事入場する。園内もどっさり雪まみれだ。
入ってすぐのケージに雪で近づけもしないな!と思っていると「冬季は展示してません」の立て札。
園内各所に、冬季は見れない動物や屋内展示となっている場所が多々あり(動物のことを考えると当然だが)、夏季は夏季で見ると楽しく、冬季は冬季でしか見られないものを工夫しているのであった。 さすが音に聞こえた旭川動物園である。
有名なペンギンの散歩がすぐあるそうなので並ぶ。
中国の観光客もどっさり並ぶ。 まぁ気持ちはわかるが、腕だの自撮り棒だのを散歩courseにまで伸ばして撮るのはちょっときつかった。
このケージ、中も雪が1m単位で埋もれて休止中かな。と思ったら雪のてっぺんにキツネが寝ていたり、狼や大鷲の雪にまみれてなお精悍なところだったり、暖かい室内に入ったチンパンジーやらの「あぁ…あったけぇ…」みたいな顔だったり、細かい看板やら展示スペースもやはり職員が工夫してみよう。という試行錯誤が垣間見えて噂通りだった。(作成途中のところとかもあったり)
一番印象に残っているのはカバだ。
だいたいどこの動物園も、カバはプールに浮くなり沈むなりであまり動かないイメージだが、旭川動物園は違う。
屋内展示なのだが、深い水深のプールとなっており、カバが泳ぐ泳ぐ。
思った以上にスイスイ泳げるというのがよくわかった。 自然物のドキュメンタリー番組で見る機会はあるが、だいたいサバンナなどの川は濁っていてよく見えないからして。
このグイグイ泳ぐカバを、ここでは一番上の水面から、水族館のように横からアクリル面が設けてあるので水中や見上げてカバが泳いでいる腹が見える。すごい。
毎回ではないかもしれないが、グイグイおよぐアクティブなカバをぜひ見てもらいたい。
6-3.行きたいけど…
小腹が空いたので、せっかくだから園内でお金を落としていこうとは思ったのだが、やはり観光客だらけで休憩所もろくにスペースが開いていない。
やや早かったが、お昼過ぎには駅へ戻るバスへ乗った。
昼食はそのまま、旭川といえばでゲソ丼をいただく。
まぁおいしいはおいしい方だったのだが、個人的に揚げ油とタレがしつこく感じただろうか。また食べにくる!絶対!とはならなかった。
さてここからどうするか。
屈斜路湖の極楽温泉が心に残りすぎて、また温泉に入りたいところなので、地図を眺める。
宗谷本線上にはいくつも温泉が点在しているので時刻表を調べるのだが、到着が全部21時とか22時。 なんだこれは。
各駅停車系の電車は本数が極端に少ないうえ、でっかいどうすぎて、各駅だととんでもない時間がかかるらしい。
かと言って特急は全部通り過ぎてしまうので使えない。
温泉と、近くに公園など野営ができる何かがある場所がベストなのだが、駅からは結構な距離だったり、今から向かうと遅い時間で間違いなく閉まっていたり、どこもお手上げ状態。
無敵の7日間フリーパスだと思っていたが、どこもかしこも自由自在とはいかないと思い知った。この宗谷本線まわりは、思いっきりここを巡るための日程を組まなければ回りきれないだろう。
仕方ないので野営ができそうな少し大きめの公園がある名寄に行くことを決めた。
まったく行く予定ではなかったのでさっぱりしらない町だが、とりあえず電車に乗り込む。
冬の旅も最高に楽しいが、やっぱり夏季に自転車とかがベストなんだろうなぁなんてぼやきつつ、列車は一路北へと向かう。
7.名寄市
7-1.ここもどっさり
夕暮れが迫り、また青さを増した世界を列車がかっとんでいく。
旭川動物園で今回の行程で最高密度の人に揉まれたからか、コテンと寝てしまっていたようで、あっという間に名寄へ着く。
事前情報は一切なし。フリーパスの特性を生かしたふらっと立ちよりの真骨頂。
駅前から両側歩道に屋根のついた商店が軒を連ねている。
それにしても雪が多い。
道の両脇に積み上げられた雪が3mに迫ろうかというほど。
目星をつけていた公園に着くと、公園全体の敷地が雪で1mは高くなっていた。踏み入れるにも苦労するレベルである。
公園内も雪どっさりであるが、東屋を発見。
幸いにも東屋のなかはそれほど雪がたまっておらず、せっせと掘り起こして無事テントを設営できた。いつでもどこでも、東屋は素晴らしい。
近くのスーパーまで買い出しに行こうかと東屋をでる。
雪でとんでもないことになっている公園だが、道が一本だけ整地してあった。
そうがっちり固めてあるわけでもなく、除雪車のタイヤ痕なのか溝が2本。
逆に歩きにくい整地だなぁ。なんて歩いていると、級に目の前からスキーを履いた子供が!
謎の溝はスキーのレール(?)だったようで、向こうもまさかこんな夕暮れの中雪どっさりの公園を逆走してくる人間がいるとは思うまい…。申し訳なかった。
7-2.東屋は最高
買い出しを終えて寝床へ戻る。
吹雪いてきてはいたが、東屋の中は周りを高く囲んだ積雪により万全の防衛体制である。
公園内部のため、車道からもまず見えず、まさかこんなところで一夜を明かそうとするトンチキな野郎がいるなんて誰も思わないであろう。
つまり一目も気にする必要がなく、住宅街が近い中非常に快適であった。
長期行動時はこんな厳寒期のひどい時期でなくとも、東屋にはお世話になる。
やはり屋根があるのは安心感がちがう。 個人的に開放的な作りのため、夜の間にそこらに洗濯物を干しておけるのも素晴らしく、蚊がいないシーズンであれば東屋の下にマットを敷いて、シュラフ単体で寝ることも多い。(テントの設営は、撤収時も面倒ではあるので。)
東屋万々歳である。自転車などで走っていても、ちょくちょく東屋が公園や道路脇に多い街はテンションがあがる。
特に道路脇の東屋など、地元民的にはそんなに活用されないであろう構造物なので税金の
微妙な使い方になってしまうのだろうが、野営ポイントとして素晴らしく頼もしい旅の味方なのであった。 東屋forever…
簡単餃子キムチ鍋なんぞを食いながら半分をすぎた今回の旅を思う。
明日は朝から特急で北上して稚内へ。いよいよ現在北海道内での最北の地である。(ちなみにまだ鹿児島の佐多岬は行ってないどころか、端ッコ系は全然行こうという気にならない)
できれば稚内で一泊したい。公園やらも衛星写真で見てみるが、間違いなく除雪されておらず、踏み入れるだけでも重労働なのが想像できる。
缶ビールとキムチ鍋をがっつりいただきながら、風がやまない見知らぬ名寄の夜は更けていく。
7-3.特急のはがゆさ
朝まできっちり風と雪からテントを守ってくれた東屋に別れを告げて、名寄駅で特急をまつ。
しかし、やはり特急は便利だ。
便利なのだが…フリーパス最大の強みである、ちょっとこの駅下りてみよっか。が正直ほぼできない。
特急なので主要駅のみでしか停まらず、「ちょっと気になる駅」はぜんぶかっ飛ばしてしまうのであった。でっかいどうほんとでかすぎるよ君…。
確かに快適で、今のところガンガン各地を見て回れている。
けど楽しい中に一抹の味気なさをどことなく感じてしまう。贅沢でしかない悩みだけれど。
今回この宗谷本線でいくつもの気になって仕方ないエリアを全省略となる。
きっちり見ていきたいが、それをするとここで2,3日消費するためあとの日程はすべてなくなってしまう。
まぁ結局のところ、もっと長い休みを取っていればいいのだ。頑張ろう。
電車がくる。
今朝も改正。シルキーな青の大気に、パウダースノーどころか片栗粉のような雪を巻き上げて、列車がホームへ停まる。
いよいよ北海道最北、稚内へ。
その5続きます。
相当細かい部分を端折ってますが、長いな…。
ひいらぎ