コンビニ猫ちゃん

タバコを吸う間だけ気まぐれだった
家に帰っても寝れないから少しの間だけ
猫の餌も一緒に買い喫煙所に戻るとカルパスをあげてる人がいた
先約を気にせずに餌を置いた
タバコの火をつけるとお兄さんも火をつけた
アイスブラスト、メンソールがきついタバコ
片手にはカフェラテ、吸ってるタバコは違えど同じ
違うところは、凄く悲しそうな顔をしてる所だけ
食べる姿を見ながらタバコを吸う
餌が空になり他になにか無いかを探し始めた時
お兄さんがコンビニに入った
予想通り、カルパスだった
猫はそれを貰うとどこかへ去っていった
2人でそれをただ何も言わず眺めていた
声を掛けたのは私から
「猫、好きなんですか」
「どちらかというと好きです」
「私もです、アイブラ貰っていいですか」
お兄さんとお揃いのタバコを咥え火をつける
「お兄さんは誰か待ってるんですか?」
いや、気分転換。寝れないんだ
この空間にいる理由も同じ、本当に偶然
口に冷たい煙が入る
「俺、今会社休職してるんだよね」
話してくれたのは今の現状、ありもしない嘘をつかれ会社に入れなくなったらしい
「まぁ、厄年だから仕方ない、でも人間が信じれなくなるよね」
煙を吐きながらそう話すお兄さんは凄く、凄く悲しそうな顔だった
「そんな1年なんですよ」
こんな事しか言えない、何も知らないから
たまたま近所のコンビニ、同じ時間、それ以上でもそれ以下でもない
それでも私に話してるお兄さんの顔が少し楽になってる気がする
最後の1本、それまでは話を聞く。
そう思い火をつけた
寝れないふたり、この時この場所は2人の空間
それも長くない、吸殻をゴミ箱に入れる
「また、機会があれば、おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
不思議な関係の2人
帰り道、思う
お兄さんはなんて名前なのか、歳はいくつなのか
でも1番思うのは、何も知らない猫のお兄さんがゆっくり眠れる日が来ますように

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