【MMAミリしらキット】UFC全階級現王者超絶簡単解説 フライ~ライト級編【Fighter's File】
*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。
・はじめに
現在世界最高峰のMMA団体であるUFCには男性9階級(フライ~ヘビー)、女性4階級(ストロー~フェザー)がありそれぞれの階級で個性豊かな王者が頂点に君臨しています。
この記事ではそんな各階級の王者を簡単に紹介、解説していこうという記事です。個性豊かな王者たちをなんとなく知っておけば観戦する試合が今よりもっと楽しくなると思いますし、自分の興味なかった階級でも王者を知れば解像度があがること間違いなしですので、最後までお付き合い宜しくお願いします!
・フライ級(56.82㎏) アレッシャンドリ・パントージャ "The・Cannibul"
165㎝ ブラジル出身 34歳 29勝5敗(8ko 11sub) 防衛数3回
朝倉海選手や堀口恭司選手の影響である意味日本で今最も知名度のあるUFC王者ですね。スタイルはブラジリアン柔術黒帯のグラップラーで、キャリア11の一本勝ちの中で9つのリアネイキッドチョークがあるバックの達人でもあります。
そのバックの強さに注目されがちですが、特筆すべきはグラウンドに移行する崩しの強さです。
UFC310 のvs朝倉海ではテイクダウンされないようにケージによりかかった朝倉海に対して、小外掛け(自分の前足で相手の前足のふくらはぎを引っかけて倒す)で朝倉海のバックに回りおんぶのような状態になる事で相手を頭からマットに崩します。さらにバックから朝倉海の左足に自分の右足で小内刈り(自分の奥足で相手の前足のかかとを引っかけて倒す技)を行ってバックを取り切りリアネイキッドチョークを極めるなど、腰が強く日本ではテイクダウンとは無縁だった朝倉海選手をあっさりと崩しています。
またスタンドでは前に突進しながらガチャガチャした打撃が印象的ですが、飛び込んでの左フックや飛び膝を多用する朝倉海に対して牽制の左ミドルや相手の出足を止める関節蹴りなど状況に応じて効果的で丁寧な打撃も出来ます。
次戦はまだ決定していませんが、現UFCフライ級4位カイ・カラ・フランスか階級をバンタム級に上げての試合が有力でしょう。
パントージャ選手は現在のフライ級上位陣とは複数回戦っておりそのどの試合も勝っているため、UFCとしては新しい挑戦者がいないとカード編成に面白みがなくなると考えています。実際UFCデビューの朝倉海選手に王座挑戦させたり、当時ランキング10位のスティーブ・エルセグ選手にもタイトルマッチを行わせたりなど新しい風を求めているのは明白です。
ただフライ級で相手が見つからないならよりタレントが多いバンタム級に階級を上げるのもやむなしでしょう。そうなったら個人的には現バンタム級5位デイブソン・フィゲレードとの元フライ級王者対決が見たいですね。
・バンタム級(61.23㎏) メラブ・ドヴァリシビリ”The・Machine”
166㎝ ジョージア出身アメリカ国籍 34歳 18勝4敗(3ko 1sub) 防衛数0回
朝倉海選手のYouTubeチャンネルに出ていた時は気の利いたあんちゃんという感じでしたが、オマリー戦の暴れっぷりとUFC311の会見のトラッシュトークを見る感じそれだけではなさそうですね。
スタイルは柔道とチタオバ(ジョージア伝統の武術。道着を着たレスリングのような武術で、腰から上はどこを掴んでも良いが腰から下を掴むことは禁止)がバックボーンのグラップラーで、1試合のテイクダウン数UFC史上最多の49回のテイクダウンを仕掛けることが出来る無尽蔵のスタミナが最大の武器です。
メラブ選手のタックルの何が恐ろしいって試合中にどんなことがあってもタックルし続けることですね。フィジカル的なスタミナとメンタル的なスタミナの数値がバグっています。
前述したテイクダウン数の試合でも元UFCバンタム級王者ピョートル・ヤンにテイクダウン49回を仕掛けましたが、その方法もシンプルなシングルレッグ、ダブルレッグのタックルだけではなく、右のパンチを振ってすぐにタックルや相手のスイッチ時の際や攻撃の打ち終わりを狙ってのタックルなどバリエーション豊富な攻撃を持っていて、スタミナに任せて我武者羅に行っているだけではないことがわかります。
ではそのタックルを防ぎ続けた場合はどうなるかといったらそのタックルの勢いで相手をケージに押し込んでスタミナや判断力を削っていって、最終的にはスタミナが落ちた相手をタックルし続けて自分はテイクダウンしていないが相手はそれ以上に何もしていないため自分が判定勝ちをするというすごいスタイルなのです。このスタイルで元UFCフェザー級王者ジョゼ・アルド選手に何もさせずに勝利しています。
またこれだけ削れていくと相手がどれだけすごいレスラーでもテイクダウンされます。実際に元UFC2階級王者で北京五輪レスリング金メダリストのヘンリー・セフード戦でも、レスリング実績では圧倒的なセフードがメラブの無限タックルによって判断力が削られて打撃でKOすることに意識が向いてしまい、そこをまたタックルされる悪循環に陥って敗北しました。
次戦は1月に行われるUFC311でランキング2位のウマル・ヌルマゴメドフとタイトルマッチを行います。
ウマル選手は元UFCライト級王者でキャリア無敗の伝説的な選手であるハビブ・ヌルマゴメドフ氏のいとこで幼少期から氏と共に鍛え上げられた現在18戦18勝無敗の選手です。バックボーンのサンボ仕込みの組み技+ムエタイの蹴りを合わせたスタイルでUFCで勝ち上がり、その強さはUFCトップランカーが強すぎて戦いたくないから対戦が中々組めないレベルです。
試合展開のカギはウマル選手がどこまでメラブ選手の組みを警戒しているかですね。
基本的にグラップラー相手に蹴りを出すことは相手にタイミングを合わされてタックルされたりキャッチされてテイクダウンされたりと不都合が多いです。ただウマル選手に関しては蹴りをキャッチされたとしても本人のレスリング力がずば抜けていてそのタックルを簡単に切りそうなんですよね。
ただそうなるとメラブ選手がアルド選手に行った試合展開になるんですよね。タックルを切ったり対処できるからこそ相手のタックルに意識が割かれ徐々に削れていくメラブ選手御得意の展開になってしまいます。
蹴れるグラップラーがこういう選手をどう攻略するか今から楽しみです。個人的には飛び膝とか打ったら面白くなりそうです。
・フェザー級(65.77㎏) イリア・トプリア”El Matador"
172㎝ ジョージア出身スペイン国籍 27歳 16勝無敗(6ko 8sub)
実は現UFC王者で最も若く唯一の無敗王者です。ただなんかめちゃくちゃ人気な感じはしないんですよね。勿論華のある見た目とファイトスタイル、トラッシュトークもガンガンするタイプなので目立ってはいるのですが、どこまで行ってもマクレガーの二番煎じ感が否めないです。
スタイルはバックボーンの柔道とグレコローマンレスリングを活かしたグラップラーですがプロボクサー顔負けのボクシングセンスも持っていて、UFCでは8戦中5つのKO勝利がある攻防隙のないストライカーです。
世界最高峰のUFCにおいてパンチの攻防なら文句なしのナンバーワン=MMA最強の強さを持っています。
UFC298のアレクサンドル・ヴォルカノフスキー戦ではジャブの差し合いが強いヴォルカノフスキー選手相手にあえて自分からはジャブを打たずに、自身の必殺技である右フックのプレッシャーと左ボディ、細かいステップだけでヴォルカノフスキー選手の攻め札を限定させて手詰まりにさせて、最後にはケージに追い詰めて警戒していたはずの必殺右フックでKO勝利しています。
UFC306のマックス・ホロウェイ戦では、ホロウェイ選手に打撃をある程度好きに打たせつつ自身は右カーフで相手にプレッシャーをかけていき、さらに右カーフを止めるためにホロウェイ選手が関節蹴りを打った瞬間の足がそろった時を見逃さずに右フックを放ったなど、組み技バックボーンの選手とは思えないほどのパンチの攻防の強さを持っています。
そんなトプリア選手のパンチの強さが気になった方は”MMA技紹介”というチャンネルがその秘密をわかりやすく解説した動画を上げていますので見てみて下さい。非常にコンパクトかつ分かりやすく解説していますのでおススメです。
次戦はまだ未定ですが、UFCフェザー級3位ディエゴ・ロペス選手か4位モフサル・エフエロフあたりが有力候補ですね。
個人的には一度カードが組まれてなおかつ無敗同士の対決になるエフエロフ選手との試合が見たいです。こういう何が何でも組んでくる相手にどうトプリア選手が捌くのかが非常に楽しみです。
・ライト級(70.3㎏) イスラム・マカチェフ
177.8㎝ ロシア 33歳 26勝1敗(5ko 12sub)
今まで紹介していた王者には”二つ名”的なヤツがあるんですよね。あのタイトルの隣に書いてある奴なのですが、UFC公式サイトを何べん見てもマカチェフ選手の二つ名が無いんですよね。
つける基準がどうなっているのかはわかりませんが仮にも1階級の王者ですのでバチっとかっこいいのがついてほしいです。
スタイルは過去に世界選手権を制覇したレベルのサンボをベースとしたグラップリングとその組みを混ぜたスタンド技術が光るオールラウンダーです。
隙が無いのが強みというか、全パラメータが9割越えしている総合力の高さが最大の特徴です。それもUFC最激戦区で王者になるくらいの頭3つくらい抜けた総合力です。
組みでは元王者で柔術黒帯、UFCで21の一本勝利をしてるチャールズ・オリベイラ選手の下からの寝技に対して、一切の躊躇なく飛び込んで一本勝利しています。
スタンドでもライト級トップボクサーのダスティン・ポイエー選手のボクシングをタックルのプレッシャーと首相撲で相手のボクシングを破壊して最後には一本で勝っています。
べらぼうに強いマカチェフ選手ですがその強さの秘密は生まれ持った環境にあります。先ほども名前を挙げたハビブ・ヌルマゴメドフ氏と幼馴染であり、ハビブ氏の父親で名トレーナーであるアブドゥルマナプ・ヌルマゴメドフ氏のもとで幼いころから厳しいトレーニングを積んできたことがUFCでの活躍につながっています。
またそんな選手たちを多く輩出しているダゲスタン共和国出身というのも理由の1つですね。気になった方はダゲスタンについて筆者が過去に書いた記事があるますので、良かったら読んでみて下さい!
次戦は1月に行われるUFC311でランキング10位のヘナート・モイカノ選手と行います。
この試合は元々ランキング1位のアルマン・ツァルキヤン選手と行われるはずでしたが、ツァルキァン選手が試合前日にケガでの欠場となり代役で急遽決まった試合なのです。
2025年のMMA最初のビックマッチだったこの試合が飛んだのは個人的にも大いに残念です。となると今回の試合でライト級でのモチベーションが切れて、かねてからマカチェフ選手が口にしていたウェルター級での2階級王座挑戦も現実味を帯びてきますね。
・おわりに
今回の記事はいかがでしたでしょうか!
今回のこの記事ではフライ~ライト級の王者をまとめましたので、次はウェルター~ヘビー級の王者とストロー~バンタムの女性王座をまとめた記事も書こうと思っています。
またこの記事は階級の王座が変わるたびに更新していく予定ですので、もし気になった方はスキやフォローをして定期的に確認して頂けると嬉しいです。
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