見出し画像

【RIZIN.48超絶簡単解説】火を点けろ 燃え残った全てに 灰色の花冠は誰が被るのか

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


➀はじめに

この記事は「RIZIN.48」(9月29日14時開始予定)の全カードを簡単に解説していこうという記事です。
二大タイトルマッチを始め大晦日につながるような濃密な試合が目白押しな大会ですので盛り上がっていきましょう!


②カルシャガ・ダウトベックvs木下カラテ

とりあえずダウトベック選手の二つ名は岩石パンチで確定なんですかね。
これで次の選手紹介でしれっと変わっていたら面白いですが、こういう事は意外と堂々としていれば他所からは突っつかれないという良い例になりそうです。

カルシャガ・ダウトベック選手は「RIZIN.13」で朝倉未来選手に敗北してから6連勝中と勢いに乗っている選手です。
前戦の「RIZIN.47」ではZSTフェザー級王者の関鉄矢選手を実質2回KOするとんでもない勝利を収め連勝記録を7に伸ばしました。

木下カラテ選手は極真空手世界大会準優勝の経歴を持つ正に名が体を表す選手です。パンチや蹴り、膝などどの打撃でも相手を倒す破壊力が特徴です。
前戦では元DEEPフェザー級王者神田コウヤ選手を倒すなど今が上り調子の選手です。

試合展開のカギは木下選手がダウトベック選手のどの距離を潰すのかです。
対戦相手のダウトベック選手はその破壊力あふれる左ストレートが注目されますが、その前段階に当たる打撃の散らしと距離感覚も一級品です。具体的には左ハイや左ミドル、左のボディなどで上下の打ち分けと相手との距離感をインプットして飛び込みからの左ストレートや右フックで仕留めるという二段階の攻めを行います。

これに対して木下選手としては一段階目の打撃の散らしの段階で相手の出足を潰していきたいのではと個人的には考えています。なぜならダウトベック選手の二段階目の攻撃≒ダウトベック選手にプレッシャーをしっかりと掛けられているという状況=ほぼ積みですので、その前に左ミドルなどの蹴り技で接近を止めたいですね。ただカーフやインローといった相手と近くなる蹴り技は何度も出していくと合わされる危険性大なので、ラウンド終盤の下段の蹴りは注目かもしれません。

第1試合とは思えないごつい試合ですが、どう取り繕っても木下選手ガン不利なのは否めません。ただ逆に言えばこれさえ取れれば今までの負けを帳消しにできるような大チャンスでもあります。
こういう時に迷いなく進めることが格闘家は非常に大事だとは思いますが、一般人の筆者としてはそのあとに来るであろう現実のしっぺ返しが怖くて夜しか眠れません。


③新井丈vsエンカジムーロ・ズールー

ついにアフリカ大陸からの選手参戦ということで、RIZINもかなり国際色豊かになってきました。ただ日本のMMA界ではマックス・ザ・ボディとキャプテン☆アフリカというアフリカに関係のある選手がいますので、意外と慣れるのではないでしょうか。ちなみにこの両選手は片方がカメルーン出身の選手なのですが、名前だけでどっちがそうなのか当てられる人はいないレベルの難問ですので興味のある方は調べてみて下さい。

新井丈選手はデビューから9連敗を経験しながらも修斗史上初の同時2階級王者を達成した超が付くほどの激闘型の選手です。

エンカジムーロ・ズールー選手はアフリカ最大のMMA団体のEFCでフライ級とバンタム級の2階級制覇を達成した選手です。またバックボーンhが極真空手だったり扇久保博正選手と共に「TUF.24」に参加したりと日本とも縁がある選手です。

両選手同じ2階級制覇の王者なのですが、1階級下のストロー級でも倒せる打撃を持つ新井選手と割と被弾癖かあるズールー選手だとこっちが思っているよりワンサイドな試合になりそうです。

ただ不安な点としては新井選手のコンディションですね。
元々適正階級がストロー級の新井選手とバンタム級でも王者になっているズールー選手相手だとフィジカルに大きな差があるはずです。
勿論新井選手もこの充電期間の間にハードな肉体改造を行ってはいますが、今回が肉体改造明け初めての試合ですので普段の試合の時のコンディションとのギャップが大きい可能性もあります。そうなったらズールー選手のフィジカルと1発で持っていかてもおかしくありません。なので試合開始時の新井選手の動きには要注目ですね。

王者堀口選手はUFC移籍の可能性が低くてもあり扇久保選手が若手筆頭の神龍選手を完封したことで金脈かと思われたRIZINフライ級はちょっと閉山の匂いが漂ってきました。これでGPをまた行ったらバンタム級みたいに焼け野原になるのは想像に難くないですが、焼畑農業よろしく前に進むための痛みとして受け入れるしかフライ級の未来は無さそうかなと個人的には思っています。


④金太郎vs秋元強真

コロナ禍であった金太郎を出せ派閥の方は今は元気しているのでしょうか。今回の試合なんて明らかに秋元選手の踏み台扱いですので、今こそ自民党が行っている『THE MATCH』位声を挙げるべきでしょう。

金太郎選手はRIZINの人気選手の1人でどんな相手にも真っ向からスタンドで立ち向かう激しい激闘スタイルでファンの心をつかんでいます。
前戦ではダイキ・ライトイヤー選手に約2年ぶりの勝利で4連敗を脱出しました。

秋元強真選手はまだ若干18歳ながらJTT期待のホープとして注目されている選手で、シャープな打撃とノーモーションの左ストレートが武器です。
前戦では同門の朝倉海選手が苦戦したアラン・"ヒロ"・ヤマニハ選手にKO勝利をするなど今最注目の若手選手です。

試合展開のカギはお互いの散らしの質ですね。
両選手とも左ストレートが相手を倒す武器ですのでこれを当てるために相手の意識を散らす攻撃が必要になります。
秋元選手は相四つの攻防の基本である右ジャブをつついて相手の出鼻を挫いて、金太郎選手がオラオラ根性ファイトをしてきた瞬間に左ストレートをぶち当たるプランだと思います。

一方の金太郎選手は前手のジャブで組み立てようとすると秋元選手の精度とタイミングの良いジャブで止まってしまうので、個人的にはタックルを混ぜるかなと思っています。
パンチメインのストライカーの印象が強い金太郎選手ですが割と左ミドルとタックルを使って相手に圧をかけるシーンが多いです。ただ今回のように相四つだと左ミドルは相手に簡単にキャッチされるリスクが高いので、タックルを使って距離や展開をリセットしたり、レベルチェンジ(上半身を下げるタックルのフェイント。斉藤裕選手が得意)で意識を散らすのかなぁと個人的には思います。

今回の大会はこういう椅子取りゲーム的なカードが多い印象ですが、この試合が1番相性的にはしんどいかなと感じています。
ただ意外と踏み台的なカードは踏まれる側はもちろん、踏み越えていく側もメンタル的にはしんどそうですけどね。特に今回は踏む側が18歳の少年なので過度な期待すらプレッシャーに感じるでしょう。若手のビックマウスにカチンとくるのか、盛り上がるために頑張ってるんだなと温かい目で見れるのかで格オタ習熟度が出そうですけどね。


⑤萩原京平vs高木凌

この試合が典型的な下からの突き上げによる椅子取りゲーム的な試合になるくらい、RIZINに萩原京平が根付いていることが一番驚きかもしれません。

萩原京平選手は2020年の「RIZIN.22」からRIZINに参戦している人気選手ですがRIZIN通算戦績は5勝7敗現在2連敗中と現在崖っぷちの状況にいます。

高木凌選手は若干25歳ながらPANCRASEで活躍している選手です。格闘技を始めたのは高校卒業後ですが類まれなるセンスと必殺技のカウンター右ストレートでKOの山を築いています。

試合展開のカギはどちらが自分の必殺技を我慢できるかです。具体的には右ストレートですね。
この両選手は左ジャブとカーフキックで意識を散らして必殺の右ストレートを当てるという試合の大まかなプランが一致しています。ただその中でも大きな違いは萩原選手は自分から前に出てプレッシャーをかけていくのに対して、高木選手は得意のカウンターを狙うために後ろに下がることが多いです。
ですのでこの試合は同じコンセプトを持つ選手同士の試合なのですが、必殺技を出すタイミングのみが大きく違う試合といえます。
自分の必殺技が入るタイミング=相手の必殺技の打ち終わりとも言えますので、どれだけ自分が必殺技を出すのを我慢しながら相手が我慢できずに出した不用意な攻撃に合わせられるかが重要になりそうですね。

因みにこの試合はお互いストライカー同士ですがテイクダウンに行った方が負けると筆者は思っています。YA-MANvs鈴木博昭戦が顕著ですがストライカー同士の試合で慣れない組み技を選択したら、いつも以上にスタミナを使ったり拙い組み技なので相手に凌がれてブレイクからのKO…とあまりいいことが無いので、もしテイクダウンに行ったらあちゃ~って感じですね。

萩原選手が椅子取りゲームの蹴落とされる方になるとは今のRIZINは本当に代謝が激しいですね。格闘技だけではないですが下からの突き上げを受けるのは大変です。
ただまぁ現在の萩原選手のRIZINにおける立ち位置を考えるとこのあからさまな椅子取りゲームは受けざるを得ない案件ですので、ここの同系統対決を落としたら全然RIZINリストラはファンやそれ以外の人も覚悟しといたほうがいいかもしれませんね。


⑥矢地祐介vs宇佐美正パトリック

まさかの椅子取りゲーム3回戦目です。
まぁこういう椅子取りゲームが出来るという事はRIZIN常連選手という看板で商売ができるくらいの強さがある証明ですし、RIZINの地力の証拠でもあります。当たり前ですが団体に根付いたベテラン選手は団体が長く続かないとできないもんですからね。

矢地祐介選手は今回がRIZIN19戦目というRIZINを代表する選手の1人です。キャリア初期のストライカースタイルから徐々に四つからの崩しを軸とするオールラウンダーに変化をしていき、RIZINでは現在3連勝中です。
ただ前戦では念願の海外での試合で元ROAD FCライト級王者でBellatorライト級GP出場選手のマンスール・ベルナウイ選手に1R一本負けに沈みました。

宇佐美選手は高校ボクシング6冠や極真空手世界3位という輝かしい実績を引っ提げて「格闘DREAMERS」でデビューしながらもまだ24歳と未来あふれる選手です。卓越した打撃の間合い管理と破壊力が特徴で前戦の「RIZIN.47」では元UFCの徳留一樹選手に1RKO勝利を収めました。

試合展開のカギはどっちが自分のやりたいことをゴリ押しできるかです。
具体的には矢地選手は組んでテイクダウン、宇佐美選手はパンチです。

矢地選手の場合は宇佐美選手のパンチをもろに喰らえばかなりKOの危険性は高いのですぐにでもタックルか四つでテイクダウンに行きたいですが、遠目からのテイクダウンは距離感に優れる宇佐美選手にカウンターを合わされますし四つで崩すにも近づく=宇佐美選手のパンチの間合いで勝負しなければいけません。なので矢地選手としては左ミドルと右フック、関節蹴りで宇佐美選手の射線を切りつつ四つでテイクダウンするのかなと個人的には思います。
宇佐美選手の場合は正直打撃戦でのイニシアチブがかなり大きいので相手の接近とタックルを全部切ってパンチをバチコン当てるのが理想です。ただ佐々木信治戦やキム・ギョンピョ戦で露骨に組み技が穴ということが発覚したので、何としても組み技の攻防は避けたいはずです。

そして実際にこの2人がぶつかった場合は宇佐美選手の距離感を掴む速さと矢地選手の組んでからの先→極め力が弱い事から、宇佐美選手がスタンドで矢地選手を捌く時間が増えて距離感を把握する展開になりそうです。個人的には宇佐美選手の方が戦力的にも性格的にもゴリ押しを通しそうなイメージですね。

過酷な椅子取りゲーム第3弾ですがライト級の場合はこれを突破してもごつい外国人が待っているというのがかなりしんどいですね。まぁ言い換えればこの試合の勝った方が日本人ライト級代表の椅子に座れそうですが、今回のタイトルマッチの両選手に2回負けている矢地選手とギョンピョ選手にコテンパンに倒された宇佐美選手では旗振り役としてはファンも気運を高めきれないし立場が重そうというのが素直な意見です。


⑦牛久絢太郎vs佐藤将光

仕事はまじめすぎて融通が利かず持ち前の天然で時々想像の斜め下のポカを起こす方と仕事はできるものの頼んでいないことをべらべらしゃべる話の長いベテランという会社の上司にはちょっとむいていなそうな2人の試合です。まぁそもそも我の強さがなんぼの格闘技界において上司に向いているというのはあまりにも対極が過ぎますがね。

牛久絢太郎選手は元RIZIN&DEEPフェザー級王者です。無類のスタミナと練習で行ったことをしっかり出せるまじめさが特徴です。前戦ではバンタム級に階級を落としての初戦ですが太田忍選手に漬け切られてしまい黒星スタートとなってしまいました。

佐藤将光選手は元修斗世界バンタム級王者でONE移籍後も4勝2敗と勝ち越しています。バランスの良いオールラウンダーで小技と際で相手を制していくいぶし銀な技巧派のスタイルが特徴です。前戦の井上直樹戦ではハイレベルな技術戦をしたものの井上選手のステップを捕まえきれずに敗北しました。

試合展開のカギは牛久選手のコンデションですね。
正直牛久選手のバンタム級転向の是非は前戦ではちょっと図り切れないところが多すぎるんですよね。あれがただの不調なのかリカバリーミスなのかがわからないので実際のバンタム級牛久絢太郎が見えない現状展開の予想も難しいです。
強いて上げるなら牛久選手から仕掛ける攻防は面白くなりそうです。
牛久選手はオーソだと前手のフック、サウスポーだと奥足のハイキックを軸に組み立てますが、打撃のアンクル(打撃が入る角度)を取るのが上手い佐藤選手相手だと打撃戦は厳しそうです。また受け身になっても佐藤選手に老獪にいなされてコントロールされそうです。ですので牛久選手のフィジカルが万全という前提ですが牛久選手からガンガン仕掛けてプレッシャーをかけ続けることが出来れば、佐藤選手の技術でいなせない圧力で削れて行けるのではと思いますね。

ドラクエでいうパルプンテはあまりにもうまい例えですね。
ただ牛久選手最大のパルプンテであろう斎藤裕1からもうそろ3年たちそうなのはびっくりです。そう思うとそろそろパルプンテが撃てそうなMPが貯まってそうなので、牛久選手にはパルプンテかメガンテあたりで全部吹き飛ばしてほしいですね。まぁ現実には佐藤選手の小技という名のいてつくはどうでわからされそうですけどね。


⑧伊澤星花vs浅倉カンナ

浅倉選手がRIZIN参戦からもう8年ですね。安直ですが8年というのは小学1年生が中学2年生になるくらいの年月ですので、その間に1人の選手の生きざまを見続けることが出来たのは貴重であり幸福な経験であったと思います。

伊澤星花選手は現在無敗で現DEEP JEWELESストロー級&アトム級、現RIZINスーパーアトム級王者の三冠を保持している選手です。柔道、レスリングを始めとした組み技のアプローチの手札の多さと無尽蔵のスタミナが最大の武器です。前戦ではDEEPアトム級タイトルマッチで韓国のパク・シユン選手に盤石の勝利で見事ベルトを戴冠しました。

浅倉カンナ選手は2016年からRIZINに参戦している選手で、RIZINの最初の方では入場の際に制服を着ていたのですが現在はもう26歳となり人生の酸いも甘いも経験して精神的に強いファイターへとなりました。
レスリングベースの組み技を最後までアプローチできるスタミナとどんな状況下でもあきらめないメンタルの強さが武器です。

試合展開のカギに関しては正直そういうのが意味ないくらいの噛み合わせが悪い試合ではあります。
浅倉選手の強みはタックルやレスリングの攻防をフルラウンド出来るスタミナとメンタルですが、パク・シウ戦で相手がタックルを切りまくった場合の返しがないことが判明してしまいました。そうなると相手が組み技に付き合ってくれないと手詰まりになる可能性が高いです。
さらに伊澤選手レベルの組みの強さだと浅倉選手のレスリングを完封するのは想像に難くないです。なのでこの試合は正直どう取り繕っても浅倉選手の引退試合とは思えないほどあっさり伊澤選手の一本で幕が引かれそうですね。

伊澤選手の前戦の相手を考えてもRIZINが伊澤選手を持て余しているのは明白です。まぁどれもこれも伊澤選手が強すぎるのが原因ですが、そんな那須川天心みたいな事をここでぼやいてもアレなんですけどね。
正直RIZINスーパーアトム級の物語はマジで手詰まり感がありますので、おそらく大晦日にやるであろう伊澤星花vsRENAがどんだけ跳ねるかが生命線かもしれません。または大穴ですが榊原マジックでONEからハム・ソヒ引っこ抜いて来たら最高なんですけどね。

⑨フアン・アーチュレッタvsラシャブアリ・シェイドゥラエフ

まさかRIZINで本当に嘘偽りなくUFCメイン級のカードが見られるとはあまりにも信じ難いです。とても大砂嵐vsボブ・サップをやった団体とは思えませんね。ここ最近の気候よろしく温度差激しすぎて風邪ひきそうです。

フアン・アーチュレッタ選手は元Bellatorバンタム級王者、元RIZINバンタム級王者というとんでもない実績の選手です。NCAAディビジョン1でオールアメリカンになったレスリング力とフィジカル、どんな相手にも決して退かずに激闘をやり抜く激しいスタイルが特徴です。ただフェザー級転向初戦となったクレベル・コイケ戦ではクレベル選手の電光石火の足関節に敗北しました。

ラシャブアリ・シェイドゥラエフ選手はキルギス出身の選手で11戦11勝全試合フィニッシュ勝利という驚異的なレコードを持っています。ムサエフ選手やケラモフ選手のようなフック系のストレートからバックボーンのレスリングとフィジカルを活かしたパワー全開の組み技特徴の選手です。
RIZIN初戦となった武田光司戦では元ライト級の武田選手を悠々と持ち上げて一本を獲る暴力的な強さを見せました。

試合展開のカギは打撃戦の主導権争いですね。
アーチュレッタ選手もシェイドゥラエフ選手も生半可なレスラーではないので純粋なテイクダウンは出来ないと思います。なのでその前段階にあたる打撃戦でダメージや意識を散らしていきたいです。

この打撃戦に置いて重要なのは如何にリング中央をキープできるかです。
両選手とも前に出てプレッシャーをかけるのが強みな選手ですので後ろに下がる=相手の圧に下がらされるという扱いになります。そうなると強い所同士のぶつかり合いで真正面から負けたという事なので一気に試合の流れを持っていかれる危険性が非常に高いです。
個人的にはアーチュレッタ選手のリーチとスピード、シャッフルを駆使したスタンドワークでシェイドゥラエフ選手の出足を止めてペースを掴みそうです。ただこの試合の想定に関してはシェイドゥラエフ選手の底が判明していないのが厄介で、極論シェイドゥラエフ選手が我々の想像を超えるばけもんの可能性も全然あるので、もしここをあっさり勝つようならえらいこっちゃです。

現在のRIZINフェザー級は元K-1勢大躍進が目立ちますが裏テーマとしてはシェイドゥラエフ選手のようなゴツいアジア勢をどうやって避けるかがあると思います。
現状タイトルマッチへの近道が上にいるクレベル選手を避けて下から来るアジア勢から逃げ切りつつ、現王者の鈴木千裕選手相手にトラッシュトークやSNSを盛り上げるという終わった現状なのはあまりにもやばいですね。これでRIZINが大晦日に平本蓮vsシェイドゥラエフ、久保優太vsクレベルみたいなゴツすぎるカードを組んだ暁には今までの非礼を詫びて頭を丸める覚悟です。まぁ多分やらないですけどね。

⑩元谷友貴vs太田忍

とりあえずこのカードの話の前にTAP OUTTVは泣いて良いと思いますね。ウキウキで行ったであろうRIZINとの仕事でまさかあんなに不評が来るとは思ってなかったですからね。思うに視聴者がライコンに求めてる佐藤映像の重厚でちょっとしんみり、でも最後は上げてくれるドラマを想定してたらTAP OUT TVのポップ調が最悪の噛み合いをしたボヤなのかなと思います。ここでTAP OUT TVが「ライコンに来た批判コメ返信してみた!」とかやったら流石にユーチューバーが天職です。

元谷友貴選手は2015年の「SARABAの宴」からRIZINで計19戦しているとてつもない選手です。代名詞と言える独創的なグラップリングに近年は手数と首相撲の強さを前面に出すスタイルで勝ち星が安定してきたイメージです。前戦では古巣のDEEPでダウンを奪われる場面はあったものの格の差を突き付ける一本勝ちで連敗を阻止しました。

太田忍選手はリオオリンピックグレコローマンレスリング銀メダルの実績を引っ提げてRIZINにやってきました。圧倒的なレスリング力とフィジカルにTHE BLACK BELT JAPANで培ったMMA力が特徴です。前戦ではBellatorのダブリン大会で初めての海外選手を相手に1R一本勝ちを収めました。

試合展開のカギは前戦からの太田選手の進化ですね。
この試合はリマッチで「RIZIN.37」で行われた前戦では序盤から飛ばした太田選手を元谷選手が四つと膝で対応していき最後は圧倒しました。

では今回どうなるかですが、正直前回と変わらないような試合展開になると個人的には思っています。「RIZIN.46」の記事で書いたのですが太田選手は苦戦した展開でも格上相手でも一発逆転を狙えるかめはめ波のような必殺技が無いんですよね。となると自力勝負=レスリングのゴリ押しになるんですが、それだと前回の試合の焼き直しになると個人的には思っています。

ただ前戦で海外初戦初海外勢相手に堂々とした勝ちっぷりをした今の太田選手なら前回よりかはチャンスがあると思います。また元谷選手も年齢の影響か打撃の反応が鈍くなってきた印象があるのも追い風でしょう。だからこそ前回よりも負けた時の言い訳がつかない状態である今回でこの試合を落としたら太田選手のタイトルマッチは泡沫の夢となるでしょうね。

両選手とも地力が高く格下には負けないものの重要なところで勝ちきれない印象があります。ただメインで次の王座が決まる以上は勝ち切れないとかなんとかは言っている場合ではないでしょう。ただとりあえず試合後のライコンはTAP OUT TV主導になる事だけは確定ですかね。


⑪井上直樹vsキム・スーチョル

多分両選手とも世界線が違えばRIZINに参加すらしないルートがあったと思います。そんな2人が何の因果かここでベルトを賭けた試合をするもんだから本当にわかんないですね。ただ実に面白い事なのは間違いないです。

井上直樹選手は19歳という若さでUFCと契約した日本軽量級トップの選手です。打撃、組み技、寝技どの局面でも隙が無く現在27歳ながら非常に完成度の高いスタイルを持っています。前戦では佐藤将光選手に究極の技術戦を制して堂々とタイトル挑戦に名乗りを上げました。

キム・スーチョル選手は元Road FCバンタム級王者、元ONEバンタム級王者、現Road FCフェザー級王者である韓国のバンタム級では実力、実績共に最高峰の選手です。前戦では元PANCRASEバンタム級王者の中島太一選手に右ストレート→左フックの失神KOで日韓対抗戦で韓国軍大将の意地を見せました。

試合展開のカギは井上選手陣営の長期戦用のプランです。
井上選手とスーチョル選手の相性を考えてみると、井上選手が過去負けている扇久保選手やアーチュレッタ選手のような根性ファイトを得意としているスーチョル選手には、何か策を講じないと流石にしんどいと思いますね。
言ってしまえば前半逃げ切り型の井上選手と後半追い上げ型のスーチョル選手なので重要なのは2人の力量が交錯する時、具体的には井上選手のスタミナが落ちる時とスーチョル選手が上がり調子になった瞬間にどっちが有利を取るかがこの試合の勝敗を決定する点かなと個人的には思っています。

ではその瞬間がいつになるかというと井上選手のタックルですね。
井上選手は速いステップと鋭いジャブがスタンドの大きな武器ですがこれを維持するには凄まじいリソース=スタミナを割く必要があります。そうなると後半に相手に試合のテンポを取られたらりスタミナを使う攻防になった場合に対応し切れない時が多々あります。

ただ前戦の佐藤将光戦では佐藤選手を自身の得意なスタンドのジャブの差し合いの攻防に限定させて3Rに自らタックルに行くことで、相手からの自分が不利になる組み技のアプローチを防ぐことでスタミナを維持することに成功しました。
スタミナが減る最大要因は自分が慣れていないリズムで動きことや自分とは違うリズムの相手に無理に付き合うことなので、自分の心地よいテンポで組みの主導権を握るなら問題ないと思います。

どういう試合展開になっても激烈ハードな名試合になるのは間違いないと思います。ただ両選手とも常人では理解できない狂気Switchがあるのでそれを早く押した方が高速決着するかもしれません。
ただどちらが勝っても大晦日はパトリック・ミックス選手との試合が見たいですね。正真正銘の非UFCバンタム級最強が決まるところがRIZINで観れたらそれこそ黄金階級が黄金たる証だと思います。


⑫ホベルト・サトシ・ソウザvsルイス・グスタボ

多分この2人の年代がギリギリPRIDEを見て日本に夢を持っている世代だと思うんですよね。これ以下の年代だとUFCに興味が行くと思うんで。
そんな2人がさいたまでタイトルマッチを行うことはいまさらですが感慨深いですね。時を超えたノゲイラvsヴァンダレイといったところでしょうか。

ホベルト・サトシ・ソウザ選手はその圧倒的な極め力と毎試合MMAに適応していくセンスの高さで現RIZINライト級王者になった選手です。現在のMMAでは珍しい下からの寝技を得意としていてまさに1回でもミスをすればどんな相手でも極めることが出来るとてつもない極め力を持っています。
前戦の中村K太郎戦では序盤から打撃で圧倒してスタンドでのハイキック→パウンドとストライカー顔負けのパワフルなKO勝利を収めました。

ルイス・グスタボ選手は往年のヴァンダレイ・シウバのような荒々しいファイトスタイルが特徴で179,5㎝あるリーチを生かして一気にフックをぶん回しながら飛び込んできます。またRIZINでは寝技の攻防がほとんどないですが実は柔術黒帯と組み技も隙が無い選手です。
前戦の堀江圭功戦では最後までどうなるかわからない激しい打ち合いを制してタイトル挑戦権を獲得しました。

試合展開のカギはどこでサトシ選手が組むかですね。
最近奥手奥足のパワフルな打撃を積極的に使うようになったサトシ選手と柔術黒帯で組まれても意外と問題ないグスタボ選手ですが、この試合はどこまで行ってもサトシ選手の”極”とグスタボ選手の”拳”の純粋な力比べです。
なので両選手とも相手の得意分野で熱中しないでそこを冷静にしのげるかが大前提です。しのげなかった場合一気に仕留めれる火力の高さが両選手ともあるので対応をミスった瞬間にゲームオーバーです。

そのうえで重要なのはサトシ選手の組み付く瞬間がどこにあるのかという事で、筆者はグスタボ選手の右ストレートかなと思っています。
グスタボ選手は元UFCフェザー級王者マックス・ホロウェイ選手のように腕を下げて前に出した構えで打ち下ろすようなストレートを打ちます。
ただホロウェイ選手と違ってグスタボ選手はリーチが長く、ストレートを打つ場合は右の脇あたりに大きなスペースが空きます。そこにタイミングよくサトシ選手がすっぽりハマるイメージですが、それまでにグスタボ選手の一発がズドンと当たってそのまま…というのも容易に想像できるくらい実に面白い試合です。

この試合はRIZINライト級GPでつけた火種が最高潮に燃える瞬間でもあります。PRIDEから火を貰ってRIZINライト級で育った2人が大きな炎となって強敵と戦い続けてその火の価値を上げ続けたからこそ、この2人によるタイトルマッチが感動的な作品になる予感が大いにします。

ただこれをやった後のRIZINライト級は正直どうなるかわかりません。
日本人エースも不透明でBellatorとのパイプもどこまで維持できているかわからないので、これからの物語がどう進むかは中々カオスな状況でしょう。
ただ賽は投げられました。後はどうなろうと進むしかありません。
燃え残ったRIZINライト級で何色の灰の世界が新たに始まるのか、さいたまに確かめに行きましょう。


⑬おわりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか!
この「RIZIN.48」の視聴やチケット購入は今からでも間に合いますので、下部のリンクから自分の都合の良いPPVを買ってみて下さい!

この記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitterで反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!

ここまで読んでいただきありがとうございます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?