【UFC290注目カード解説】UFCナンバーシリーズ=化け物たちの絢爛豪華血みどろダンス
*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。
➀はじめに
この記事は7月に行われる『UFC290』の注目カードについて簡単に解説しようという記事です。
フェザー級、フライ級のダブルタイトルマッチにミドル級トップコンテンダー決定戦に日本MMA界の超新星のUFC4戦目など注目度激MAXの大会ですので盛り上がっていきましょう!
また”UFCってなんだよ!”や”RIZINやブレイキングダウンと何が違うんだよ!”という方は筆者が書いたUFC紹介記事を読んでいただけるとこの記事がより面白くなりますので是非読んでいただけると嬉しいです!
②平良達郎vsエドガー・チャイレス
平良選手ももうUFC4戦目ですね。UFCの契約は基本的に4試合契約ですのでデビューから1年で4戦ですと良い感じに消化できているのではと思います。
少なくとも次の契約内容はかなりステップアップしたものになると思いますね。UFCデビューから対戦相手の体重超過が2回でそれでも試合を蹴ることなく大会に出てくれているのでUFC側も流石に譲歩する契約をすると思います。それこそ平良選手が望んでいるランカーとの試合もワンチャン狙える契約を組んでくれるかもしれません。
平良選手については過去に筆者が紹介記事を書いているので経歴やスタイルなど平良選手をより知りたい人は是非読んでくれると嬉しいです!
対戦相手のエドガー・チャイレス選手は戦績10勝4敗(6KO 4sub)の選手でアグレッシブに前に出てくるファイトスタイルが特徴です。遠間からの下段の蹴りと近距離のヒザやアッパーが得意で寝技でも下からガンガン攻めてくる見ていて非常に動きが多くて面白い選手です。
格オタ的には三角締めが完全に極まっている状況なのに全然止めないファッキン審判で話題になった例の試合の三角締めを極めた方の選手と言えばなじみがあると思います。
また今回の試合は平良選手の直前に組まれた試合が対戦相手の体重超過でキャンセルになりそこから急遽組まれた試合なので、通常のフライ級の体重125ポンド(56.7㎏)ではなくキャッチウェイトの130ポンド(58.96㎏)で行われます。
まぁそれを加味しても平良選手はあっさり勝たなければいけない試合です。
なぜならチャイレス選手は過去平良選手が一本勝ちしているヘフス・アギラー選手に一本負けをしていますので、どういう見方を相手も格下ですのでここはしっかり勝ってより良い契約を掴みたいですね。
③ジャック・デラ・マダレナvsジョサイア・ハレル
ほんとはロビー・ローラーの試合とメインカードを書いてこの記事を終わらせる予定でしたが流石にプレリムでもう1試合書いといた方がいいかなということで、この試合をピックしました。
ジャック・デラ・マダレナ選手はオーストラリア出身の選手で現在UFCで4連勝、キャリアでは14連勝中ととても勢いに乗っている選手です。
ボクシングテクニックに秀でており上下の打ち分けのコンビネーションと鋭いカウンターが特徴です。
ジョサイア・ハレル選手は戦績7勝0敗(4ko 3sub)でアメリカのローカル団体でベルトを獲った経験がありこれがUFCデビュー戦です。
ただこの試合は元々ショーン・ブレイディvsジャック・デラ・マダレナというウェルター級プロスペクト同士の超絶神カードだったのですがブレイディの欠場で吹っ飛んでしまったので、代替え選手としてハレルが招集された感じです。
正直マダレナは次戦くらいからは下位ランカーとの試合が組まれると思っているのでプレリムという無料で見れるカードではもう見れない選手だと思います。この機会に顔とスタイルを覚えておけばこれからのウェルター級戦線がもっと面白くなるでしょう。
④ロビー・ローラーvsニコ・プライス
この試合で引退を表明しているMMAのレジェンドファイターであり元UFCウェルター級王者ロビー・ローラーの最終試合はウェルター級の激闘ファイターとの血みどろ卒業式になりました。
ロビー・ローラーは2002年からUFCに参戦してキャリア中盤にはPRIDE、Strikeforceという世界最高峰の団体でも試合をしているまさにレジェンドファイターです。そのスタイルは誰が相手でも前に出て殴り続ける激闘を極めたスタイルでファン、業界関係者からも人気の高い選手です。
そんなローラーの最も有名な試合といえばUFC189で行われたUFCウェルター級タイトルマッチであるvsローリー・マクドナルド2です。
当時UFCウェルター級は絶対王者ジョルジュ・サン・ピエール(以下GSP)が引退し、そのあとの王者にローラーがなりましたがそこに立ちふさがったのがローリー・マクドナルド(以下ロリマク)でした。ロリマクはGSPと同じ出身、同じジムということやその端正な顔立ちでタイトルこそ持っていないもののUFCでもかなりの人気ファイターでした。そしてこの2人は過去対戦していてスプリットでローラーが勝利しました。
その因縁のリマッチがタイトルマッチという世界最高峰の舞台で行われるというので試合前の盛り上がりも高く、その試合もMMAの歴史上最も激しい激闘になりその年のファイト・オブ・ザ・ナイトになるなどとてつもない試合になりました。
そんな試合がYouTubeで無料で見ることが出来るので皆さんも是非見てみて下さい!
ニコ・プライスはUFCで勝ったり負けたりの戦績です思い切りの良い打撃と柔術茶帯のグラップリングで常にフィニッシュを狙う激闘系ファイターです。
冒頭でも書きましたが程よい強さとどんな局面でも攻めに出続けるプライスは激闘王の卒業式にはもってこいの人選だと思います。少なくとも両選手とも後退のネジを外していますのでローラーの最後の花道を真っ赤に染めるのは確実でしょう。ただ断言できるのは絶対にはずれが無い面白い試合ということです。
⑤ボー・ニッカルvsバル・ウッドバーン
この試合はニッカルの当初の対戦相手がケガで欠場したことで代役のウッドバーンを立てて何とか成立した試合です。ですので大会前のオッズもニッカル-2000(ニッカルに2000円賭けてニッカルが勝ったら100円増える)ととてつもないオッズのなっています。ちなみにメインイベントのヴォルカノフスキーvsロドリゲスのオッズがこんな感じですので如何にニッカルが圧倒的有利かがわかると思います。
ボー・ニッカルはレスリングのNCAAディビジョン1を3連覇にオールアメリカン4度選出、東京オリンピックの代表候補というとてつもないレスリングバックボーンを持っている選手です。
現在MMA4戦目ながらそのポテンシャルはすさまじく近い将来アデサニヤの持つミドル級タイトルに必ず挑むといわれているゴールデンルーキーです。
ちなみにまた宣伝ですが”NCAAやオールアメリカンってなんだよ!”という方は筆者が書いたバックボーン団体解説記事を読んでいただけると嬉しいです!
そんな相手と準備期間約5日で戦うウッドバーンが最早かわいそうですね。
流石にUFCは責任もって手厚い契約を結んであげてほしいです。
⑥ジェイリン・ターナーvsダン・フッカー
この2人はお互いライト級では長身でリーチが長く好戦的に打撃を行うという共通点があります。こんなセンスの塊みたいなマッチメイクをランキング内で組めるのは流石UFCですね。
ダン・フッカーは現UFCミドル級王者イズラエル・アデサニヤ、現UFCフェザー級王者アレクサンドル・ヴォルカノフスキーと同門のシティキックボクシングジムの選手です。
リーチの長い腕を活かしたストレート系のパンチに近距離ではそれを折りたたんでのヒジ、テイクダウンを織り交ぜるUFCライト級、フェザー級の門番的な立ち位置な選手です。
ジェイリン・ターナーは身長190㎝、リーチ195㎝のライト級では規格外の体の大きさを持つ選手です。
回転力と破壊力のある打撃が特徴で右フックが最大の武器です。また極めも強くストライカーながらUFCで3つの一本勝ちをしています。
激しい打撃戦が予想されるマッチメイクですがタックルに行くフッカーと極めが強いターナーということで、ここら辺の組み技の攻防やその攻防の間にカウンターを差し込めるかがカギだと思います。
塩とは違い砂糖漬けのような非常に甘い15分間が楽しめそうです。
⑦ロバート・ウィテカーvsドリカス・ドゥ・プレシ
おそらく今大会最注目カードの1つですね。
筆者はウィテカーやコヴィントンのような技術や執念で人類としての限界点に到達したような選手が好きですね。いわゆる10年に1人の天才ってやつです。同世代にアデサニヤやウスマンのような100年に1人の化け物がいるところが物語としてとてもポイント高いです。
ロバート・ウィテカーは元UFCミドル級王者でバックボーンの伝統派空手を活かした飛び込みの打撃とブラジリアン柔術黒帯とオーストラリアのレスリングの大会で優勝するほどのグラップリング能力を兼ねそろえている全局面レベルの高いオールラウンダーです。またミドル級では14戦12勝と非常に勝率も高く負けた2戦もどちらもアデサニヤとの試合ということでその強さがうかがい知れます。
ドリカス・デュ・プレシは現在UFC5連勝3つのKOと1つの一本勝利と試合決定率も高くアマチュアK-1で活躍した高いストライキング能力が特徴です。とにかく打撃でガンガン前に出るスタイルで一発もある非常に強力なストライカーです。
試合展開は一発のパワー差とフィジカルの強さを持つデュプレシが序盤からガンガン距離を詰めていきそれをウィテカーがいなしていく…という感じだと思いますので、ウィテカーがどこで距離感を見定めて攻めるかがカギになりそうです。デュプレシはMMAの引き出し的にはウィテカーの方がだいぶ有利ですので自身の得意な近距離の打撃戦をやり切れるかが重要そうですね。
文句なしの次期ミドル級王座決定戦ですね。
ウィテカー好きとしてはウィテカーに三度目の正直を掴んでほしいですがMMAオタクとしてはデュプレシvsアデサニヤを見たいという正にこんな感じの心持ちです。
⑧ブランドン・モレノvsアレッシャンドリ・パントージャ
ブランドン・モレノがデイブソン・フィゲレード以外のブラジル人選手と戦うのは2020年3月のジュシー・フォルミーガ以来ですので約3年ぶりですね。
数字を出してみて改めてフィゲレードvsモレノのタイトルマッチは長かったですね。
ブランドン・モレノは現UFCフライ級王者でメキシコ人初のUFC王者でもあります。バックコントロールからの一本勝ちが得意で近年は元4団体統一王者のあのサウル・”カネロ”・アルバレスからボクシングを習っているおかげで近距離のボクシングにも磨きがかかっている選手です。
また一時期のUFCフライ級廃止騒動で1度UFCをリリースされそのタイミングで娘の重病が発覚してしまい人生最大の危機に瀕しましたが、LFAというUFCへのステップアップを目指しやすいフィーダーショー的な団体で王座を取りながら実家の雑貨屋を手伝ってお金を稼ぎUFCに舞い戻ってきた不屈の闘志を持つ選手でもあります。
アレッシャンドリ・パントージャはモレノや扇久保博正が出場したTUFシリーズからUFCに出場した選手です。
171㎝の長いリーチを生かしたボクシング技術とバックコントロールからの一本勝ちが得意でUFC在籍期間約6年で9勝3敗(2ko 4sub 3判定)と抜群の成績を残しています。
実はこの2人前述したTUFとUFC本戦で試合をしていてどちらもパントージャが勝っています。ですがただそれも約5年前の話ですので正直参考にはならないでしょう。また選手紹介の所で引っかかった人もいるかもしれませんがこの2人はとても似たようなスタイルでここまで勝ち上がってきているという面白い共通点があります。
モレノ卓越したMMAで蹂躙するのか、パントージャの乾坤一擲の一撃がさく裂するのか、メインの試合がかなり王者有利ですので純粋にどっちが勝つかドキドキして見れるよいタイトルマッチになりそうです。
⑨アレクサンドル・ヴォルカノフスキーvsヤイール・ロドリゲス
下半期最初のナンバーシリーズのメインは自分の本拠地に帰ってきた大王の蹂躙祭りになりそうです。今のUFC王者陣で自階級で負けなさそうな王者を1人上げるとすると原宿のギャル100人に聞いてもぶっちぎりでヴォルカノフスキーになりそうです。
アレクサンドル・ヴォルカノフスキーは現UFCフェザー級王者でフェザー級では12連勝無敗のとてつもない戦績を誇る選手です。
元々プロラグビーで活躍していてオフシーズンのトレーニングでMMAを始めました。そこからその才能を開花させてMMAでデビューして徐々に階級を落としながらフェザー級に適応していきUFCに参戦しました。ちなみにプロラグビー時代は体重は100㎏ほどありミドル~ウェルター級の試合も経験しています。
その後UFCで破竹の勢いで勝利を積み重ね当時王者のマックス・ホロウェイを僅差の判定で下しダイレクトリマッチもスプリットで倒しました。
ですが如何せん堅実=地味な試合運びであまり人気のない王者でしたがvsブライアン・オルテガでグレイシー柔術黒帯のオルテガの極めを人間離れしたタフネスを見せて耐えて防衛し、ホロウェイとの3度目の決戦でもストライカーのホロウェイ相手に打撃戦で完全に支配して防衛しここからどんどん人気が実力にあってきた気がします。
その後コリアンゾンビをボコボコにして防衛数を重ね今年2月にイスラム・マカチェフの持つライト級王座に挑みます。当時ライト級で圧倒的な強さを誇っていたマカチェフに階級下のヴォルカノフスキーが後半にはあと一歩まで追い込む場面を作るとてつもない試合を見せて負けはしたもののヴォルカノフスキーの評価は一気に右肩上がりしました。
ラグビーで培ったフィジカルとタックルの強さに階級最強のストライカーのホロウェイを完全に支配するジャブとローキックのコンビネーション、階級最強のグラップラーのオルテガの極めをしのぐ組み力を持ちながらもそれを5分5R行える正に完璧で究極のファイターの1人です。
そんなヴォルカノフスキーに挑むヤイール・ロドリゲスはUFCフェザー級暫定王者でテコンドー黒帯のバックボーンを持っています。そのテコンドーで培った七色の蹴り技と下からの極めの強さが特徴の選手です。
順当にいくとどの局面もヴォルカノフスキー圧倒的有利ですがロドリゲスのこの変幻自在の蹴りを見るとワンチャンを感じずにはいられません。
ただ今のヴォルカノフスキーはPRIDE時代のヒョードル並みに無双感漂っていますのでベッティングする人はおとなしくヴォルカノフスキーに掛けるのが吉だと思います。
現代のMMAシーンにおいてUFCが頂点であることはゆるぎない事実ですが、その中でもナンバーシリーズは最もアがる興行でしょう。特に今回はダブルタイトルマッチに日本人出場と非常に見やすい大会だと思います。
RIZINやブレイキングダウンも良いですが文字通りの世界最強をこの目で見て通ぶるのもとても楽しい格闘技の楽しみ方ですよ。
⑩おわりに
今回の記事はいかがでしたでしょうか!
今回の『UFC290』は一部試合がYouTubeでの無料放送が決定して誰でも見れますので時間のある方や普段PPVの値段が高くて購入していない方こそご視聴してみて下さい!
また今UFCを見るならUFC Fight Passがおススメですので登録しましょう!
さらにU-NEXTが「UFC287」から視聴可能となりました!また他にも多くの格闘技団体の視聴が出来るようになったりと今まさにU-NEXTの登録に1番ベストな時期ですので皆様も登録して豊かな格闘技ライフを楽しみましょう!
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