秘密
高校を卒業してすぐ就職した雛子。
雛子は親元から離れたい為、
県外で6ヶ月間研修がある会社を選んだ。
いきなり県外に就職したいと言っても、
母親に反対されると思ったからだ。
姉が就職した時のことを教訓に、
期限付きで戻ってくるなら大丈夫だろうと睨んだ。
案の定思った通り、渋々ながらもOKをもらった。
出発の日、
これからが不安ながらもワクワクの方が勝っていた。
集合場所へ行くと、
たぶん一緒に行くであろう男の子が椅子に座っていた。
他の人はまだ来ていない様子である。
一番最初に会ったこの人。
克彦と結婚する事になるのはまだまだ先の話である。
社会人となり仕事は大変だったけど、
同期は仲が良く一緒に集まって遊ぶことが多かった。
同じ研修に来ている先輩には恵まれなかったが、
本社の上司やパートのおばちゃん達には、
本当に可愛がってもらってとても楽しかった。
本社の先輩は、かっこいい人がたくさんいた。
しかも、本社の中でもかっこいいお兄様達が、
雛子をめっちゃ可愛がってくれて本当に楽しかった。
その中にいる、正彦さん。彼には彼女がいた。
それでも雛子は密かに正彦さんが好きだった。
奇跡!想いって伝わるのね、お互い好きであった。
その頃、本社の同期の子にも好きって告白された。
克彦とも曖昧な関係であったが、告白された。
全部同時期、しかも研修も終わるって頃に・・・
こういうことってダブるのね・・・
克彦とつきあうことを決めた雛子。
そして6ヶ月の研修は終わり地元に戻った。
新会社は研修してきた人達が一から全部立ち上げた。
めちゃくちゃ大変だった。
しかし、やりがいはすごくあった。
若い子が多いせいか、社内恋愛が多い会社だった。
みんなオープンで、
雛子と克彦が付き合っていることも皆知っていた。
しかし、雛子に寄ってくる奴がいた。
1人目1個上の先輩、2人目6個上の先輩
3人目5個上の中途採用の人、4人目1個下の後輩
なぜか夜勤のおじさんにも、個人的にお土産とか
しかも毎年誕生日に貴金属プレゼントされた。
そして5人目2個上の真澄君。
彼とは男女4~5人でよく飲み会や遊んだりした。
ずっとそんな関係だった。
背が高くて、優しくてとってもいい先輩だった。
克彦のことも相談したりもしていた。
ある時、真澄君が結婚することになった。
結婚前にいつものメンバーで飲み会をすることになった。
帰りに雛子を送ってくれた、真澄君。
うちらお互いに好きだったんだね・・・
次の日、一緒に飲んだ女の先輩に聞かれた。
「2人で帰ったけど何にもなかった?大丈夫だった?」
「なんにもあるわけないじゃんw」と雛子は嘘をついた。
昨日のことは誰にも言わない、ずっと秘密の出来事。
・・・・・そして雛子は克彦と結婚した。