薄野小噺 #73 マウント取りってホント、メリットよりデメリットの方が大きいというお話。
否定からは何も生まれない。
世の中には他人の意見を肯定すると死んでしまう病にかかっているのかと思うくらい、会話の頭に『いや』とか『でも』という切り口で話すという方は一定数いらっしゃいます。
あと、もっとマズいのは
マウント取り。
これは年配層のお客様に多く見られる傾向ですね。
自分が経験してきたことをふまえ、若い方が抱いている思いと違うと『これが正解だ!』的な感じで押さえつけようとするから困ったものです。
確かに、
若い方とお話していると経験の浅さからなのか、どうみても理論が破綻している、ということも(ワタクシ視点)あるっちゃああるんですよ。
ですが、
それを間違いと決めつけるのは早計では?
ワタクシとしては一度、全てを肯定してから話を進めると全部が正しいとは言えないけれど、自身が構築した理論もそこはかとなくズレていた、なんてことも多々あるわけですね。
ここで、
ワタクシが全てを否定してしまったらどうでしょう。
相手だって面白くありませんし、否定する相手に対し友好的に話を進めようという気は起らないんじゃないか? そんなことを思うわけですね。
つまり、
これってめっちゃ損してませんか?
ってことですよ。
だって、会話というものは対象の人がどういう考え方をしているか聞きだすチャンスなんですよね。
それを年長者として偉ぶりたいのか何だかしりませんが、バッサリと斬ってしまうことで貴重な意見を聞き出せなくなるんですよ。
本当に勿体ないことをしているなぁと開業前から思っておったわけですが、それが確信に変わったのは
とあるお客さんとの事例でした。
ある時期まで週一で通ってくださっていた方でしてね、毎度毎度、香ばしい話題が好きな50代のお客さんでした。
他のお客さんが居たらえらいことになるなぁと思いつつ接客をしていたわけですが、来店されるのはいつも閉店間際で店内にはワタクシとその方のみという状態が続いたため、大きなトラブルにはならなかったわけですよ。
とはいえ、
ファーストインプレッションは最悪でした。
ことごとく『自分の意見が正しい、違う意見は全て間違えている』というスタンスでしてね、ワタクシもかなりやられました。
最初、
ワタクシもお客さんと言うことで遠慮はしておったわけですが、何度か話をしているうちに理論がガバいことに気づいたのと、あまりにもマウント取りが酷かったため二度と来ないであろうことを覚悟しつつ、一つ一つ、理論の穴を突いてグウの音も出ないまで追い詰めたところ、逆に気に入られましてね、親交を深めて行く度にですね、聞いてみたんですよ
『どうしてガバい理論でマウント取りの真似事をしてしまうんスか?』
って、
そうしたら
『酔うとこうなっちゃうんだよなぁ、どうしようもないなぁ』
なんて言ってました。
いやまぁ、それから色々と思いを聞きつつ、その方の社会的立場など聞いているうちに何となく気持ちはわかるなぁと思ったんですよね。
それをふまえて、マウントを取りたい方の傾向が
会社での地位は高いがプライベートは寂しい。
まぁ当然っちゃあ当然、全否定する人と会社以外で一緒には居たくないでしょうよ。
そりゃまぁ、飲み屋で思いの丈を発散したくなる気持ちもわかります。
ですがね、そんなこと
居合わせた人は知ったこっちゃないんですよ。
ただただ人が離れてゆくだけ、一時、人を黙らせたという気持ち良さで多くのものを失っているということに気が付かないまま損をしているんですよね。
それをふまえて結論ですが、
マウント取りってデメリットしか無い。
そんなことを思ってます。