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薄野小噺 #100(完) ススキノの父

ワタクシが経営するひいじいCAFEは営業面積4.5坪です。

アパートなどの部屋に直すと9畳ですね。
一般的なスナックだと営業面積は8坪なので、半分の大きさと言って良いでしょう。

と、

営業面積が狭いということは月に売り上げる金額というのも限界があります。
あえて詳しい金額は割愛しますが、一般的なスナックの月に稼ぐ売り上げの半分にも届きません。
小無し夫婦二人、二馬力で働いて何とか暮らせるというのが現状ですね。

自身、

酒屋の配達員という立場もあり、話の中で月の売り上げの話になることがあります。
そういった時にワタクシ、下手に見栄を張らず正直に売り上げを伝えると必ず

え、それだけ……?

みたいな反応をされます。
独立開業して6年、酒屋の配達員としてオーナーと接しているうちに自然と経営者目線の話になるわけですよ。
聞かれるなら逆に問い返すと、相手もなんだかんだで包み隠さず月の売り上げを教えてくれるわけですね。

その積み重ねもあり、

『こういった営業形態なら月の売り上げはこのくらいだな』という、何となくの感覚は掴めるわけですよ。
ホント、従業員の有無、どんな形態であれススキノの住人として頑張っている方々には頭が下がる思いです。

そんな中、

ワタクシのことを思っての感情が溢れる方がいらっしゃいましてね、人によっては『ずっとこんな小さな店で終わっていいのか?』とか、『経営者たるもの、規模を大きくして稼ぎまくってナンボだろ?』とか、『二店舗目、三店舗目と展望を持たないと』なんてことを言われることがあります。

まぁ、

言いたいことはわかりますし、当然のことだと思います。
一念発起して経営者になったからにはリスクを背負う代わりに勤め人だった頃よりは良い暮らしがしたい、自然なことだと思うんですよ。
なんですけどねぇ、その辺については全く興味が無くてですね、ワタクシが独立した理由は

やむにやまれず。

深く語りませんが、コレなんです。
とりあえず夫婦共働きが前提で、二人つつましく生きて行くだけの生活費を稼ぐということが目的だったので、規模拡大なんて微塵も思っていませんでした。
しかもですねワタクシ、大きなお金を動かすセンスが全く無いということを痛感したんですよ。
とはいえね、きちんと経営者として野望はあるんですよね。
それは

社会に爪痕を残す。

何か掴みどころがない野望ですよね。
これはですね、ススキノに訪れる方々の心を癒すプロフェッショナルになりたいということです。
ワタクシの店で飲みつつ他愛もない会話をすることで、日々のストレスを多少なりとも洗い流し、明日への活力を蓄えていただけたらなと思っているのに加え、当店にはありがたいことに

20代の若い方が多く訪れます。

10年、20年後には部下を抱える立場になっている方々もいるでしょう。
世の中が順調にゆけば会社の飲み会もあるのではないかと思うのです。
仮に、そんな時部下が悩みを抱えているとしましょう。
そのことを察した時に自身の店に連れてきていただける、というのがワタクシが最終的な目標とするところです。

とまぁ、

妄想が大きいですが、自身が経営者として是非とも成し遂げたいと思っているところですよ。
そんなこともあり、10年後を目標にススキノへ飲みに来る方々に

ススキノの父

と、呼ばれるように日々、精進してゆきたいと思っている次第です。

おわりに

100話に渡り『薄野小噺』を綴ってきましたが、切りの良いということで一度、完結となります。
今までお付き合いいただき、ありがとうございました。
最後に一言

ススキノ、最高に良いところですよ!

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