薄野小噺 #50 経営者たるもの、利益の追求と仕入れ先の信頼関係を築くというバランスが大切という話。
『山崎ノンビンテージ、12年ありますか?』
『響ありますか?』
『竹鶴ありますか?』
最近だとベルエポックやクリスタル、ヴーヴ・クリコ等もラインナップに入ってきておりますよ。
とまぁ、
このやり取りは店頭や電話などで、ほぼ毎日交わされます。
こちらとしても在庫が潤沢にあるのであれば『どうぞどうぞ!』と、なるわけけですが、これらの商品はどれも
割り当て制。
需要と供給のバランスが崩壊しており、需要過多ともなると各メーカーさんから小売り業者に対し
『アンタのところは〇本ね』
的な感じになり、こちらが望む発注通りに仕入れさせてくれないというのが通例となっております。
そうなるとどうなるか? まーぁ当然のごとく販売先は
お得意様優先。
ススキノでのお話になりますが、個人店がメインで酒類を仕入れる酒屋というものが存在します。
ワタクシの勤める酒屋は個人商店で規模はお世辞にも大きいとは言えませんが、扱っている商品のほぼ全てのものをウチから取ってくれているという店もあるんですよ。
そうなると、
やっぱり人情として、そういった店に数の少ない商品を回したくなるというのが当たり前っちゃあ当たり前。
店頭にフラっとやってきて、数の少ない商品の在庫があるか聞いてくるススキノの住人だか転売ヤーだか区別のつかない人に潤沢ではない在庫を出せるわけはないんですよね。
やはり、
こういった時には酒屋との信頼関係が物を言います。
自身も店を経営している立場として、扱っている商品の全てを『一円でも安く仕入れたい!』という気持ちもわかります。
とはいえススキノの場合だけかもしれませんが、あまりにもそれを求めすぎて、あちこち仕入れ先を散らしていると、どうしても必要となった時に
誰も手を差し伸べてくれない。
こういった事例が起こるわけですね。
確かに、商売というものは経費に関しては最大限に利益を求め、シビアにいかないと続けることは難しいとは思うのですが、それと同時に
人との繋がりも大切。
なんじゃないかなぁと酒屋のアルバイトとバー経営という両方の視点からのお話でした。
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