AIが次々と人間の行為を代替するようになった時、最後に残る人間の価値とは何でしょうか。それは何がほしいかを描くことができるかどうかであり、キカイが生み出すものにダメ出しをできる力です。「こういうことがいいよね。こういうものが美しいよね」といった感性を持ち、その人なりに感じる「心のベクトル」というべきものです。そのベースにあるのは、その人なりの知覚です。知覚とは周囲の情報を統合し、その意味を把握することです。同じ経験をしても、人によってその知覚できる広がりも深さも多層性も、全く違います。これはどこから来るかといえば、その人の知的経験、人的経験、そして思索経験です。